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十二話 回想 ③

大通りをスイル商会に向かって歩く。

周りには様々な種族がいる。

アルファベートは特に “種族による差別が無い国“ として名を轟かせているため様々な種族が暮らして居る。

そんな大通りを歩いて居ると途中様々な屋台が店を構える “屋台街 “に差し掛かる。

大通りと交差する一つの通りの俗称で辺りにいい匂いが立ち込めている。


ぐぅぅぅぅっ


腹の虫が鳴く、考えて見ると最後に食事したのは半日前それ以降何も食べてない・・・、腹が減る訳だ。

スイル商会に行く前に少し買い食いしてもバチは当たらないだろう。

本能が赴くままに屋台街を散策していると肉を焼く香ばしい匂いに誘われて一件の屋台にたどり着く。

焼かれていたのは何かの肉の串焼きだった。

人族のおっちゃんが店主の屋台で


「おっちゃん、これ何の肉?」


俺が尋ねると


「フォレストボアの肉だよ。坊主、一つどうだい?」


「一つと言わず三つくれ」


「毎度、熱いから気を付けな」


代金を渡し串焼きを受け取る、この世界の通貨は中央大陸では


錫貨 十円

鉄貨 百円

銅貨 千円

銀貨 一万円

金貨 十万円

白金貨 百万円

ミスリル貨 一千万円

オリハルコン貨 一億円


と、なっている。

串焼きは一本鉄貨一枚、安い。

早速口に運ぶ、味付けは甘辛いタレで付けてあり噛む度に肉汁が口の中に広がる。


「美味い。おっちゃんこれ後四十本追加で」


「そんなに食うのかい?腹壊すぞ」


「いやいや、一人で食う訳じゃ無いよ。土産だよ土産」


「分かった、今から焼くから待ってな」


屋台のおっちゃんが串焼きを次々焼いて行く、その間俺は買った串焼きを食べながら待つ。

僅か数分で四十本の串焼きが焼き上がる。


「はいよ、お待ち。代金は少しオマケしとくよ、また来てくれよな」


代金を払い大量の串焼きを受け取りアイテムボックスに収納して俺は、更に屋台街を散策する。

次に目にとまったのはスープの屋台、沢山の野菜とベーコンが入ったスープで一杯日本円で百五十円程、売って居るのは恰幅のいいおばちゃんだった。


「おばちゃん、スープを一杯いいかい?」


「あいよ、鉄貨一枚と錫貨五枚。熱いから気を付けな。器とスプーンは返却しておくれ」


スープの入った器を受け取る。

旨味の溶け出した琥珀色のスープにキャベツや玉ねぎ、人参、ブロッコリー等の野菜が沢山入っている。

スプーンで掬って一口・・・、


「美味いっ」


「ありがとよ。見慣れない格好だけど旅の人かい?」


「まぁね、そんなとこ。おばちゃんこのスープって作るの時間掛かる?」


「そうだね・・・、量にも寄るけど二時間有れば作れるけど、何でだい?」


「仲間にも喰わせてやりたくてさ、鍋と材料を持って来るから作って貰えないかな?」


「そんな事急に言われても無理だよ。それなら鍋ごと買って貰った方が助かるよ」


「いいの?おばちゃんが良いなら鍋ごと買うけど」


「本気かい?鍋の代金と合わせると結構な値段になるよ?」


「大丈夫、そこそこ金持ってるから」


俺の言葉に


「なら鍋の代金とスープの代金合わせて銀貨二枚と銅貨五枚、本当に払えるのかい?」


俺は銀貨を三枚渡し


「迷惑掛けたから釣りはいいよ。また来るから美味いスープ喰わせてくれよ」


「あっはははは、分かった待ってるよ又来な」


スープを鍋ごと受け取り再びアイテムボックスに収納する。

エクセレートでは、アイテムボックスやストレージの魔法は特に珍しく無く普通に使っても気にするやつはいない。

腹も膨れたしそろそろスイル商会で買い物を済ませて島に戻らないと朝までに島にたどり着かない。

屋台街を出て大通りを歩いて居ると後ろを誰かが着けてくる。

屋台街で爆買いしたのが不味かったのか、ならず者に目を付けられたようだ。

基本的にこの国は治安がいい、しかし何処にでも落伍者は居る。

簡単な話だ、自分で金を稼ぐより稼いだ奴から奪った方が楽出来る、犯罪と解っていても楽するために平気で人を傷付ける屑は何処にでも居る。

楽して金が手に入る、犯罪とは麻薬と一緒で一度始めると止められなくなる。

敢えて細い路地に入り着けて来る奴を待ち伏せする。

路地に入って来たのは細身の男、身なりは確りしている。


「木に登っても豚は豚」


男が呟く。


「何者だ。何故その暗号を知ってる?」


「スイル商会から参りました、メイスと申します。会頭の命でお迎えに上がりました。御目に掛かれて光栄です殿下」


どうやら商会からのお迎えだったようだ。

“木に登っても豚は豚“ この暗号はアルファベート王家がお忍びの買い物の時に使う暗号で、『どんなに地位が高かろうと同じ人だから同じに扱え』との意味がある。


「その暗号を知っていながら何故迎えに来た?」


「会頭に陛下より『息子は方向音痴だから誰か迎えを寄越す様に』と連絡が有ったようで・・・」


「スイル商会は城の西側だろ?」


「はい、しかしここは東側に成ります」


どうやら道に迷っていたようだ。


「認識阻害の魔術を使ってるのに良くわかったな?」


「陛下が『多分変な格好をしてると思う』と仰ったらしく・・・、失礼ですが変な格好をして色々買い込んでいる様でしたので殿下かと思い後を着けさせて頂きました」


「今の格好変?」


「ええ、少し」


俺の格好は変だったようだ。

それからメイスに連れられて三十分程歩く、小さな商店が並ぶ中でも一際大きな店舗・・スイル商会の店だ。

三階建ての建物で店の中に入るとかなりの賑わいを見せている。


「何かお探しの物は御座いますか?」


メイスが聞いて来る


「取り敢えず食品が見たいかなぁ、その他にも色々買うから悪いけど案内して貰える?」


「畏まりました」


メイスの案内で食品・雑貨・食器・衣類等を見て回りながら買い物を済ませて行く。

スイル商会は様々な物を取り扱いしておりフロアでそれぞれ違う商品を置いている。

一般の客にも頼まれたら案内を着けるらしく周りにも結構案内されている客がいる。

そして最後にある物の売り場にたどり着く


「ここが “家“ を扱う場所です」


家、今回の買い物のメインディッシュ。

魔術を使いドールハウスサイズにされた家が展示されている。

中古から新築まで様々な家がある。


「手頃な値段で二軒欲しいけどオススメって何かある?」


「二軒ですか?おおよその事は聞いておりますが、大きい物を一軒買った方がお得ですよ」


「男女で分けないと万が一何か有ったら困るからな」


「それでしたら・・・」


そうして選んだ二軒の家とその他に買った物をアイテムボックスとストレージに別けて収納していく。


「野菜類が少し高かった気取って何か有ったの?」


「はい、最近野菜農家の獣害が酷く・・・、特にペガサスによる被害が今年は多くなっております」


ペガサス・・、漫画やアニメ等ではファンタジーの代名詞の様な存在。

しかし、エクセレートでは農家の敵、集団で飛来して作物を食い荒らす害獣だ。


「冒険者ギルドでも見かけたら積極的に狩る様に指示されている様ですが・・・、なにぶん警戒心が高く難航している様です」


「なるほど、俺も見つけたら狩る様にするよ」


買い物を終えて店の外に出る。

人目の付かない所に移動して飛翔の魔術を発動、島への帰路に着いた。



これからも頑張ります

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