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異世界移動が斬新すぎる


「場所は部屋じゃあなくなったみたいだが………なんだ、ここは………?」


周囲の様子がおかしい。

まず、風が強くて喋ることも困難である。

そして景色が目まぐるしく移動している。

すぐに連想したのは、台風の日―――いや、まるで飛行機の上か何かなのか?

何か―――機械の上に、俺は乗っている。

椅子の上に、足を広げ、跨っている。

俺は移動している最中である。

そして、その風景の過ぎ去り方は―――どこかクルマに乗っていた時に似ている。


「あ、あれ?」


女神よ、異世界に転生したのは、有り難いが―――ヤバいぞ、状況がわからない。

町の中を希望する。

と、言っても遅いのか、今更―――人が近くにいる場所で、せめて地面の上に普通に転生させてほしいのだが、どうやらそれすらも叶わなかったらしい。


遊園地に、メリーゴーラウンドとかいうものがある。

そういう遊具がある―――馬に乗って回るアレだ―――そのような騎乗のポーズになっている、俺。

そうだ、はっきり言ってしまえば乗馬の姿勢―――俺の体勢は近い。

何に乗っているかどうかもわからないままに、俺は運ばれていく。


だが景色がわからない。

台風か何かのように、風圧がすごくて、ゴーグル越しでもわからない。

霧の中を進んでいる、モヤの中を彷徨っているような感じだ。

白い靄のようなものが多い。


まてよ―――ゴーグル?

気が付けば眼球の前にはレンズがあった。

こういうものは買った覚えがない上にどこで売っているのかも知らないが―――しかし。


「こ、ここが『異世界』―――こ、これが異世界だって?」


しまった!

俺はここで、遅まきながら、遅ればせながら、騙されたことに気付いた。


「あの女神、だ………ッ、騙しやがったな!」


そもそも死んだ俺を異世界に生き返らせてくれるなんていうハナシが、そもそもにして胡散臭かったのだ。

しかも無料。

金もとらずに、こんな話があると思う方がおかしい。

なんで騙されたんだ

なんだか少し頭がハッピーそうな女神だったから、信用してしまったが、とんだ悪女だったようだ、畜生。


―――聞こえる?ミチユキ。


女の声がした。

頭の中に、女の声がした。

脳内に直接話しかけているのか………流石は女神、人間離れした能力を使いやがる………!


「ここよ」


違った。

彼女は真後ろにいた。

人間離れした能力とか、実際は全然せずにフツ―に話しかけてきた。


「うおっ………!お前、あのレースクイーンか!どういうことだ、これは」


後ろの席………というのも不思議だったが、彼女は後部座席にいるような位置関係だった。

ここはどこなんだ、どこっていうか、そのどこ、が今現在進行形で移動中なんだが―――。


「落ち着いて聞いて、まずあなたのステータスだけど、最初は脳内に表示するわ」


「って言うか普通に後ろに乗っているなよ、女神だったら俺の頭の中にこう………テレパシーとか出来ないの?」


「うるさいわね!アタシそれに苦手なの!ステータス出すわよ!」


―――――――――――――――


NAME名前 ミチユキ

LVレべル  1

EXP経験値 0

JOB役職  飛竜乗り(ドラゴンライダー) 


SKILLスキル  短剣使いC 商法D 治癒B 乗馬スキルB 乗虎スキルB 生物飼育C 

対流圏飛行A  竜操技術 SSS


―――――――――――――――




「―――う、うおおっ!」


頭の中に、ステータス画面が表示された。

そして俺の名前も―――他にも情報(データ)が羅列されているのが見える。

頭の中に記載されている、というのは何とも気持ち悪い状態ではあるが―――。


「なんだこりゃあ!」


「あなたの能力よ!なんの能力もなしに転生は出来ないわ。前世の―――つまりあなたが日本にいた頃の能力がスキルに変換、影響するわ!」


「………!な、なんなんだ、ステータスってことは―――強いのか?これってどうなんだ」


「戦闘能力で言えば()()ね―――すごいわ、いやあ恐れ入ったわ、アナタ本当に男の子なの?」


「すまんかったなあ!」


「これは典型的な運び屋体質(タイプ)ね! 対流圏飛行を持っているのなら、空は自由よ!ちょっと待って―――なに?『竜操技術』(ドラゴニング)SSS(トリプルエス)って、こんなのは初めて見るわ!」


「なに?ドラゴニぃが、………何だって?」


不意に、視界が明るくなった。

そうして世界が開けた。

そこで俺の今までの視界の悪さ、白いノイズの影響が晴れた………いや、晴れたのではなく、俺が抜けだしたのだ。



俺の周りを覆っていた、出どころ不明の霧は、深い森に広がる霧ではなかった。

そもそもが、霧ではなく空に浮かぶ雲だった。


俺の下には広大な緑の大地が広がっていた。

俺は―――竜に乗って、その大地のはるか上を、浮いている。




緑の大地には、ところどころに木製の小屋が見える―――豆粒のようだが、あれが家だろう。

そして向こうには城らしきものも見える。

中世の街並みを連想する。

俺は異世界の空を、飛んでいた。











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