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イモール・ウェルギリウス 2





ビィ・ブロックに向かう最中、アオギ=マウンテン出身の飛竜乗り(ドラゴンライダー)にして飛竜騎士団のトップ、リオン・ヴェルシムは思案していた。

先程あった飛竜、そしてまだ彼は名を聞いていないが、あの搭乗者、ミチユキについてである。



「クリスの言うとおり、実在するとはな………」


あの飛竜………。

クリスがナツナ=マウンテンの亡霊、幽霊だと騒いでいる飛竜。

あれにスピードでクリスが負けたというのか、どうも、嘘をついているようにも見えなかったが。


自分の弟が飛竜乗りのレースに負けたことに関しては、ある程度納得がいった。

やはりな―――と。

そもそもが考えなしにガムシャラに突っ込んでいくような性格の弟である。

あんな突っかかり方をしていては、いつか足元をすくわれるのは目に見えているというものだ。

まだまだ少年と言って差し支えない奴の性質、威厳がまるでない―――。


だが、期待もある。

野性味あふれる竜操技術、センス。

その気性は、下手をすれば竜よりも荒っぽい。

どっちが操縦者なのだかわからないというあいつの飛び方は、卓越した部分もある。

宮殿の貴族の前では上手く隠せているが―――いや、どうだろうな、確証はない。


そんな弟がどこかで派手に負けるのも、良いだろう。

敗北は終わりではない。

それに負けて悔しがりはしても、例えばショックで飛竜乗りをやめるなんて言い出すことはない。

そういうこともわかっていた。

そういうヤツだ。


次はスキルの恩恵も受けて、上手くリベンジを果たすかもしれない。

そうだ、前回ゴースト・ドラゴンに………非現実的な速さに負けた時には、スキルは使わなかったらしい。

ならば今回はあっさりクリスの勝利で終わる可能性もある。

………まぁ、あいつのフェルグランドのスキルはシンプルだ………。

発動してもガムシャラに突っ込んでいくような性質だから、不安は残るがな。




「だが、解せないな………あのゴースト・ドラゴンについては」


クリスの証言通り、実在した。

だが、弟を上回るものには、見えないな………。


知らない種族の飛竜だ。

だが、驚異的には見えない。

数えきれないほどの飛竜を見てきた自分は、一目見ただけでその飛竜を、ある程度の戦闘力は把握できる。

それは飛竜乗りとして数年で知識と、あとはそういう勘が育つのだ。

そして宮殿勤めの飛竜乗りともなれば、飛行能力の高い品種の情報など、ひっきりなしに入ってくる。


仮に普通の町人として暮らしていても、危険なモンスターとそうでないモンスターの知識くらいは、生きている以上、耳に入ってくるものだ。

最低限生活に必要なモンスター知識というものはある。

知らない子は親に怒鳴りつけられる。

それならまだよい方で、うかつになわばりに入り込み怪我をする、もしくは命を落とす。


あの飛竜についての情報は耳にしていないが。

翼の大きさ、胸から肩羽(かたばね)にかけての筋量………肢体の動き。

体格(ガタイ)はデカくなかったし馬力はありそうにない。


馬力(パワー)を大雑把に見積ると、クリスのフェルグランドを百として………噂のゴースト・ドラゴンは七十五………いや、七十………?」


あの飛竜が、実際に飛んでいる姿を見たわけではない。

見てはいないが、そう的外れではないだろう―――驚異的なモンスターである要素は皆無だった。

悪い飛竜ではないが、圧倒的に良い飛竜でもない………飛行能力に関しては。

こうなると他の要素………固有スキルなどの特殊条件によってクリスが負けたという事か。

………くくく。

情報(データ)でものを考える―――生きているモンスターを数値で表現しようとする、俺の思考は、仲間内では気味悪がられることもあるのだが、な。


そして、もう一点………気がかりな点があるとするならば。

飛竜ではなく、飛竜乗り(ドラゴンライダー)

そちらの方、乗り手の方に問題があるのか?

経験豊かで、飛竜との結びつきが強いのならば飛び方にも天と地ほどの差が出る。

あのゴースト・ドラゴンの乗り手(ライダー)は、しかし歴戦の猛者には見えなかった。

深い皺が刻まれたベテランだというわけでもない。

およそクリスを上回る逸材にも見えない………。



まあ、人間離れして速いゴースト・ドラゴンも昼間に現れてしまえば、怪物でも何でもない、ただのよくいる一匹に過ぎないという事だろうか。

今は放っておこう、並の敵でないのならば、いずれ俺が相手をすることもあるだろうが―――。


目的地に近付くにつれ、周囲の空に見える、飛竜の数が増えてきた。

戦ったことのない種族もいる―――敵は多い。

その中で、どれだけ強く、速いか。

速いという事はこの世界を制することに必ず役立つ。

それは今日これから始まる、レースのためではなく、俺の悲願でもある。

是非やり遂げたいと考えている、有意義極まりない計画―――。

商会のレースだけではない。

この先の世界の動きでは必要となる―――。


「準備しておかなければならない―――、この世界で最も速く飛ぶための理論をな」


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