女神パメラちゃんの日常
ハァーイ、私、女神のパメラよ。
いまは異世界に来ているの。
いきなり誰だあんた―――って言われそうだけど、私よ私。
ワタシワタシ詐欺。
スピード狂のミチユキくんの案内を務めているスタイル抜群の美少女に決まっているじゃあない。
今は彼のサポートがお仕事よ。
ミチユキくん一人だけ異郷に行かせるわけにもいかないからね。
女神協会では基本的に転生者には一人、初期サポーターが付くのよ。
昔はそうじゃあない時代があったという話も聞くけれど、どうもトラブルが絶えなかったらしいわ。
確かに、意図せず知らない土地というか世界に放り出されて平気なわけは無いけれど………。
買い物から帰ってきた私に、ミチユキ君は出迎えてくれないのです。
きっと恥ずかしいのねこんな超絶美人だから。
初期から飛竜使いになるなんて、かなり個性的な転生者であることは間違いないわ。
おや、今は裏庭で、飛竜の体鱗を磨いているわ。
洗車ならぬ洗竜の途中のようね。
晴れて天気のいい休日をエンジョイしているわ。
「グルルル………」
見上げるほど大きい飛竜の鳴らす音は、普段は怖いけれど今は安心しているみたい。
現在、泡だらけよ。
尻尾がゆらゆらと揺れているわ。
ミチユキくんもご満悦、満面の笑みです。
「うはは、すごいぞ、かっこいいぞー、俺の飛竜」
大空の覇者、飛竜と言えども、いつも空を飛んでいるわけではありません。
いまはミチユキくんの運んできた桶で、水を掛けられています。
「お前の目つきはいいなぁ………瞳は怖いんだが、目つきに艶があって、マツ〇車のヘッドライトを彷彿とさせるなぁ………最近のスポーツカーなんて、みんなマ〇ダ顔なんだけどさ………」
ミチユキくんは竜の顔を覗き込みつつ、ごしごしと洗っています。
「やっぱり翼がネックだけど………洗いにくいな。クルマとは全然違うし―――でも昔一度見た、ガルウイングみたいなもんだと思えば、楽しいな」
竜は再び、くすぐったそうに喉を鳴らします。
「おいこら、動くな、アレだな、洗ってるときに排気音鳴らされたら困るんだよこっちも」
木桶を再び運ぶミチユキくんは飛竜の背中に何とかよじ登り、ばしゃあ、と水を掛けます。
心なしか、気持ちよさそうにも見えます飛竜ちゃん。
「ほおら、こんな感じか―――やっぱり目つきがアレだなお前は。最近のスポーツカーのヘッドライトに酷似している―――ちょっと丸っこいけどイケメンだなぁ」
竜が首を傾げ―――ない。
彼と言葉は通じていません。
でもなんだか楽しそう。
ううむ。
私の担当するミチユキ君が、転生者がこの世界を楽しんでいるようで、いいのですが。
………いや、なんだか不機嫌になってしまいますよ。
彼の笑顔はこの私に向けられたものではなく、飛竜に向けられているのです。
それが何か、それを思うと、ううん。
ちょっとうんざりだわ、私。




