文月ー4
お楽しみ頂ければと思います。
大天使ミカエルが振りかざした剣には四方八方から虹色の光が集まり眩いばかりに輝いた。
「あの剣には人々の祈りのパワーが集められているんです。」
ザドキエルは少し離れた位置から傍で一緒に見守る白衣観音に言った。
「祈りの光、とても美しいですね。」
白衣観音も目を輝かせながら呟いた。
パワーを完全に纏いきったミカエルは巨大な翼をはためかせると光の速さで悪魔の群れに空中から突進した。
禍々しい悪魔のオーラに眩い虹色の聖なる光が注がれ、ミカエルの剣は逃げ惑う悪魔を次々に薙ぎ倒していった。
海上に漂っていた悪魔の8割近くがミカエルの手によって完全に滅ぼされた。
「ガブリエル!ラファエル!矢を放て!」
ミカエルの指揮にガブリエルとラファエルなる二人の天使は持っていた矢を弓に構え的を悪魔にしぼり空中から解き放った。
同じく聖なる光を纏った矢は悪魔に見事命中し海上は元の穏やかな凪の状態に戻った。
「私達だけで何とかなりましたね。」
ガブリエルは悪魔が消え去った凪の海を見下ろしながら言った。
「大災害は押さえられたのですか?」
少し離れた位置から見守っていた白衣観音は四人の天使に目線を配りながら訊ねた。
「はい。ここはもう大丈夫です。次へ進みましょう!」
ミカエルは頷きながら言った。
「では次は豪雨災害で苦しんでいる人々の所へ参りましょう!」
ザドキエルの提案にミカエル、ガブリエル、ラファエルの三人も頷き、白衣観音も待っていたと言わんばかりに瞳を輝かせながら言った。
「はい!今すぐ参りましょう!」
白衣観音は人指し指と親指で輪を作り、それを口に加えると笛のように吹き鳴らした。
ピイイという音が空に響いた途端上空の雲の切れ間から光と共に一頭の龍が降りてきた。
「ミカエル!あれは白衣観音様の乗り物だ。敵ではないぞ!」
ザドキエルの言葉にミカエルは頷きながら片手に構えていた剣を腰の鞘に収め言った。
「わかっているとも!白衣観音様はあれに乗って天から下って来られたのだ。現世の絵画で見たよ。」
「天使の皆様の飛ぶ速さについていくため私はこれに乗らせていただきます。」
白衣観音の足下近くまで降りてきた龍は頭を下に下げ白衣観音に敬意を払う動きを見せた。
白衣観音は静かに龍の頭の上に座禅を組み言った。
「龍よ。今から先日の災害によって苦しんでいる人々の所へ私達を導いておくれ。」




