水無月ー5
波乱万丈の2018が過ぎて行きます。穏やかに安らかにどうか最後まで過ごせると良いのですが。
本編もお楽しみ頂ければと思います。
ドアをすり抜けベランダから空へと
小莱こと、白衣観音は智輝こと、大天使ザドキエルに抱えられながら共にに飛び立った。
「まず、一番最初にする事は不眠症で眠れずに困っている人の祈りに答え、安らかな眠りを与える事です。」
ザドキエルはそういうと空高く掲げた手の指をパチンと鳴らした。
そのとたん、足元にに広がる家々、マンションやアパートの窓に青白い光が灯った。
「これらは皆、眠れずに苦しんでいる魂です。」
「こんなに沢山…」
ザドキエルの見せた光景に白衣観音はため息をついた。
「悩める人々よ。どうかこの一時でもその苦しみを忘れ、疲れた頭と心を休ませて下さい。さあ、この手にあなたたちの全ての苦しみを委ねるのです。」
白衣観音がそう言いながら空中に片足を浮かせると何処からか光が集まり雲に乗った一輪の大きな蓮の花が現れた。
彼は静かにそれに足を置いて乗るとふわりと宙に浮かび
右手を前に差し出し左手を肩ぐらいの高さに掲げ手のひらを上に向けたポーズを取った。
その体勢をとるや否や、左手の手のひらには七色に光る先の尖った珠、「如意宝珠」(にょいほうじゅ)が現れた。
これは仏教の世界での“全てを意のままに操る”最強のアイテムだ。
一方の右手にはまるでブラックホールのような黒い渦が浮かび
各家々からまるで掃除機でほこりを吸いとるように
人々の悩み苦しみが具現化されたどす黒い塊が次々に集められていた。
ブラックホールで人々の悩み苦しみを吸い込む度、左手の如意宝珠は光を増しまるで昼間の太陽のように明るく輝いた。
「人々よ。安らかにお休みなさい。」
白衣観音がそう呟くと、空からハラハラと蓮の花びらが降り注いだ。
地上は美しい七色の光に包まれ、人々は皆穏やかな夢路に旅立っていた。
「これで宜しいですか?」
白衣観音は再び合掌に戻りながら傍らで見ていたザドキエルに言った。
「はい。素晴らしいの一言です。この通り何も言うことはありません。」
ザドキエルは感銘を受けた表情で深く頷きながら答えた。




