表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆初投稿作品☆「From where I stand 」  作者: 山河新(ユーリー)
14/130

霜月ー4

オリンピックで日本人が続々メダルを獲得しているようで誇らしいです。


北野天満宮でも梅の花が咲きだしてています。


受験生の皆さまにも暖かい春がきてくれるよう祈ります。


店で出される“まかない”は全て先週の分の売れ残りの惣菜を温め直したものだった。


蒸籠にレタスの葉を一枚敷き、人数分ちょうど売れ残っていた海老焼売を並べ、


鍋に水を入れて沸騰させその上に蒸籠を置き蒸気で蒸す作業を手際よく米奇(マイケイ)がやり


その隣で小莱(シウロイ)がお粥を煮立たせ、智輝は中華鍋でこれまた売れ残りの青椒肉絲を炒めなおしていた。


13時を指した所で従業員全員一斉に昼御飯に入る合図を店長である壽康(サウホン)が出したのだ。


この料理は客に出すものでは無いので味がどうであろうと関係ない分気が楽だ。


その上、料理の練習にもなる。


しかもIH“電磁調理機”なので、鍋から火柱が上がる事も無いので安心して料理に集中できる。


最高だった。


(イップ)君がIHに慣れてル人デ助カタヨ。 」


棚から人数分の皿を出しながら壽康(サウホン)が言った。


「はい。俺の実家もオール電化なんですよ。IH便利ですよね。」


手元の火力調節ボタンを操作しながら智輝が言った。


「前に東日本大震災があったでしょ?それで火が出るガスのコンロだとまた何かあった時に火事になりそうだからってIH に変えたんですよ。」


米奇(マイケイ)が蒸し料理のタイマーを設定しながら言った。


「そうなんだ。確かにガスはある意味危ないからその方がいいですよね。」


智輝は米奇の日本語の上手さに感心しながら答えた。


米奇も華僑で日本人ではない。


父親の壽康や、香港人の小莱と話す時は流暢な広東語で話している。


英語も得意なようで、謂わばトライリンガルというヤツであった。


店の手伝いも喜んでしてくれるし、何より可愛い。


きっと自慢の息子だろうと智輝は思った。


ふと気になって小莱の方を見ると、今度は珍しくこちらを見ていなかった。


整いすぎと言っても過言では無いほど綺麗なその顔は横から見ても非常に魅力的だった。


長い睫毛が影を落とした切れ長の目は何とも言い様のない憂いを帯びており、智輝は思わず何かが胸にこみ上げてくる感覚を覚えるのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ