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☆初投稿作品☆「From where I stand 」  作者: 山河新(ユーリー)
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神在月ー9

2019年も残りわずかですね。

穏やかに年を越せる事を祈ります。

長い衣を纏い金の宝冠を被り片足を組んで頬杖をついたポーズの「弥勒菩薩」の姿をした大天使バラキエルは金色(こんじき)の光を放ちながらその場にいる人々に呼びかけた。


「お待たせいたしました。正しき人々よ。これより皆様に“永遠の命”を捧げます。私についてきてください。」


その声は、先程ザドキエルがそうしたのと同じような

天井から降り注ぐかのようなそれだった。


“弥勒菩薩”の姿に思わず膝をついて合掌する者、驚きの表情を浮かべる者


様々に一人また一人と、神聖な魂たちの形作る「光の扉」へと足を運び出した。


「光の扉」を取り囲む聖なる魂達はいつしか天上から降り注ぐ荘厳な(がく)の音に合わせて全員が歌いだしていた。


天使達は「アレルヤ」を歌い


仏教の観音菩薩や天部の神々はそれぞれの「マントラ」を斉唱し


他の多神教の神々はそれぞれの自然の美しさを賛美する歌や人々を祝す歌を歌った。


これらの響きは見事なハーモニーとなって天上高く、大地の隅々まで広がり、正しき人々の心を揺さぶった。


地上に生きていた人々の誰もが、これ以上に素晴らしい音楽を耳にしたことはなかった。


オリコンチャート4週連続一位の楽曲も


毎年年末恒例の大所帯でやる「第九」の合唱も


裸足で逃げ出す美しさだった。


地上で人間風情が“金目当て”や“人気取り”や“話題作り”のために作り出したような自己満足極まりない、自分の欲を満たすためだけの軽薄な音楽など

この響きに比べたらゴミくず同然だった。


高次元の天使達や神々の汚れのない美しい歌声は人々の魂を自然と洗い流し“光の扉”を通りやすくする効果もあった。

一人の天使は一時歌を中断すると人々に歓迎の言葉をかけた。



「ようこそ。皆様の到着を心よりお待ち致しておりました。さあ、正しき魂の皆様にとっておきのプレゼントです。」


“光の扉”を無事くぐり抜けた正しき魂の人々は雲の上に直下(そそり)たつ大樹の前にたどり着いていた。


「こちらは“生命の樹”です。これより皆様にこの“生命の樹”の実をお配り致します。」


天使の一人がそう言って合図をすると、周りにいた他の天使達、観音菩薩や天部達が籠を持って宙に浮き上がり、次々と“生命の樹”の実をもいでいった。


籠が“生命の樹”の実でいっぱいになった天使達はそれを抱えながら再び下に降り一つづつ並んで立って待っていた正しき魂の人々に配っていった。


「どうぞ。お召し上がりください。これを食べれば、皆様に永遠の命が宿ります。皆様は“われわれのよう”になります。」


天使に促され実を受け取った人々の一人がそれにかじりつくと、途端にその人自身が神々しい光を放ち出した。


「おおっ!」


実を食したその人は、見るからに神々しい、古代日本神話に登場する神の一柱のような姿に変身していた。


みずらを結った頭には後光をかかげ、金の宝冠を被り青銅の剣をもち、古墳時代の衣装に身を包んだ姿はもうどこから見ても「神道の神」の姿だった。


地上では五体満足でなかった者も皆実を食した途端に満足な体に生まれ変わっていた。


続いて次々に実を口にし「神の姿」に変身をする者で溢れ

ついに天界には「神々」「天使」「仏」しかいなくなっていた。

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