眠るベイラー
ロボットだって寂しいんです
自分の体が別の人間によって切り開かれる光景が、目に焼き付いて離れない。ガインの行った大手術を終え、一息ついているものの、まだ自分の体でないような感覚が残っている。一方で、ガインとネイラの息のあった手際を素直に賞賛したいとも思っていた。
《練習すればガインさんみたくなれるかな》
《さぁな。この方法を考えてくれたのはネイラなんだ》
《やっぱり、難しい?》
《難しいなんてものじゃないぜ! 1人じゃできる気がしねぇよあんなの》
《そうか。ガインさん、赤目になってたもんな》
《おう。赤目の事は知ってるんだな》
《僕はまだ一瞬しかなれてないよ》
《ほー……はぁ!?》
ガインが急に驚く。その声があたりのベイラーにも聞こえ、変に注目を集めた。
《なんでレイダに勝ったのかいまいちピンと来てなかったが、まさかお前、決闘で赤目になったのか? その日のうちに? 》
《う、うん……あれって、やっぱり難しいの?》
《当たり前だ! 練習もそうだが、よっぽど乗り手のことを知らなきゃできっこない! 俺だって、ネイラと赤目になるまで半年もかかったんだぞ》
《そ、そっか……》
《お前の乗り手って、姫さまだろ? よくもまぁ》
ガインが姫さまと言った直後、ただでさえ注目を集めていたコウに一斉にベイラー達が群がった。ガラス状のバイザーになった目が、精神的にも物理的にも爛々と輝いている。虹色の線が走るようなその輝きは、ベイラーの感情を表すもので、ほとんどは興奮や高ぶりに呼応して起きる現象だった。
つまり今、コウを囲むベイラーは興奮気味で、虹色の光が鬱陶しいほど瞬いている。目に優しくない状態に陥った。
《お前! お前が姫様のパートナーになったのか!?》
《そ、そうです》
《名前は! 付けてもらったのか!》
《コ、コウといいます》
すぐさま質問が飛び、それに応えると、今度は大歓声が起きた。
《会えてよかったなぁ!最近じゃ、連続で三人立ち上がらなくって、もう姫様しょげかえっちゃっててなぁ!!》
《よかったよかった! なぁ!》
《乗せたいのは山々だが、俺ら一人乗りだしなぁ》
《姫様がこれで明るくなるー!!》
《やったー!!》
ベイラー達の安堵と喜びによる喝采は、もはや万歳三唱かくやといった騒ぎであった。それほど喜ばしい事なのはコウでも理解できたが、ひとつ気になる事発言を耳にする。そのことを聞くべくガインに話かけたいが、周りの騒ぎがそれを許さない。埒が明かない状況を打破したのはネイラの声だった。
「ほら! コウくんが困ってるじゃない! ゆっくりと散りな! 走るんじゃないよ! ガインは疲れてる。もう今日は治してやれ無いからね! 」
ネイラの言葉で、ベイラー達はいそいそと、怪我をしないようにゆっくり散っていく。治せるベイラーがガインだけであり、そのガインが手伝わないというのだから、無理からぬ話であった。
《わりぃ、俺が無用心だった》
「いいよ。あんたが悪いことじゃないさ」
《ネイラさん、三人っていうのは、一体何の事ですか……?》
「姫様、生まれたてのベイラーを見るのは四人目なんだ。コウ君がその四人目」
《ほかの三人は?》
「立ち上がることを選ばなかった。遠くに行くことを望まなかったのさ。この地でソウジュの木の力になるって決めてね」
《立ち上がらない。っていうのは、ベイラーではよくあるんですか?》
「まー、そうだね。あのソウジュの木から落っこちて、体のどこも壊れてない奴が、一応立てるか否かの選択を得られる」
ベイラーは、生まれたあと、すぐにその場で立ち上がる必要がない事を初めて知る。もし立ち上がらなければ、コウはあのままソウジュの木の栄養分となるのだと分かった。
「ソウジュの木見たろ? あの色とりどりの実が、ベイラーさ。で、熟せば落ちてくる。殻がそれで割れて、お前たちが出てくるわけだ」
《まぁ、不幸がないわけではないんだ》
《不幸?》
「この国にもいるけど、体が欠けて生まれてくるやつがいる」
《欠ける? 取れてしまうんですか?》
「いや、元から無い子として生まれるんだ」
生まれながらに体の部位いずれかが無い。それは人間でも大いにあり得る事であったが、コウ自身まだそんな人物と出会った事はない。後天的な理由で失う事の方が人間は多いが、ベイラーの場合、手足が切れてもくっつくので、後天的に失うことはまず無い事になる。
《腕がねぇやつは大変だ、転んでも支えられねぇ。あと、足だな》
ガインが思い出すように語る。それはカリンがまだコウに出会う以前の、2人のベイラー達の姿。
《一人目と二人目は、足が無かったんだ。どっちも片足》
《足が、ない》
《足がねぇと遠くに行けねぇ。腕で這っていくのもいいが、それだってたかが知れてる。サイクルが滑らかになるのだって、ずいぶん遅くなる》
「そのふたりは姫様が声をかけても、そのまま立ち上がらずに、ベイラーは木になることを選んだ。三人目は五体満足だったけれど、その子も木になった」
《……なんで? 》
コウは一瞬理解できず聞き返した。なんら不便もない状態で、なぜ立ち上がらなかったのか。だが次のネイラの言葉で、不意を撃たれた。
「勝手に生まれて、勝手に生きろっていわれても、ベイラーは生きる事は出来ないよ。だって、ガインやコウくんは遠くに行くことができるだけで、別に今ここで木になってもいいんだもの。だれも咎めない。
《咎めない? 》
「だって、ベイラーは、人間と生きなくてもいいんだから」
ベイラーの生存の理由。それは遠くに行ってソウジュの木になる事であるが、別にそれを果たさずとも、誰も咎めない。誰も、文句は言わない。それはかえって種の存続にかかわる事になりかねないが、それでも、人間と共にいる必要性は皆無である。ベイラーは人間の手を借りれば遠くにいけるが、借りずとも歩くことはできる。そしてもし手足がなくとも、再び自らをソウジュの木の栄養として還り、その栄養はまた新たなベイラーを生む。
「それがベイラーって生き物だよ」
《でも、僕はまだ木になりたくないな》
「どうして? 」
《どうしてって》
言葉に詰まる。それはネイラと、そしてガインの真剣な眼差しが、コウに有耶無耶な言葉を生み出す事を阻んでいる。なぜこの国の姫に答えたのか。すこしでも邪なものあれば許さないというような空気がある。
カリンという女性が、この国で如何に慕われているのか。それを証明するような空気でもあった。
《……姫様の為に何かしたい》
そんな彼らに、嘘や誤魔化しを行うことは、彼らへの、ひいてはカリンへの侮蔑である。故にコウは、馬鹿正直に答える。
《僕は姫様の声に応えた。幸いこの体は五体満足だ。僕が何で生まれたのかはわからないけど、少なくとも今は、姫様を置いて木にはなれない。それは僕がカリンに言った言葉を、あの決闘を全部嘘にする行為だ。それだけは絶対にできない》
偽りなく、そして伝わるように、言葉を選び己の本心を語る。
「……なるほどね」
稚拙なその言葉は、どうやら及第点以上だった。ネイラは満足げに笑い、ガインに乗り込む。
「よく分かったよ」
《そう、ですか》
「でも、今日はここでじっとしてること」
《え!? ここで!? 》
「まだ治りきってないの。転んだら意味ないのよ? 」
《でも、姫様とまだ》
「いいこと? 」
《せめて会いに行くくらい》
「両足縫い付けるけどそれでも? 」
《じっとしています》
「……よろしい」
《じゃぁなコウ。また共に》
手を振り去っていくガインの肩が、ずっとカタカタと震えているのをコウは見逃さなかった。笑いをこらえるのに必死であるガインと違い、コウは己の傷の具合がどんなものなのか気が気でない。一方のガインは、静止されたコウの滑稽さと同時に、その目についてずっと笑っていた。
《あいつ、姫様の事を話すときずっと目が光ってるの気が付いてんのかな》
「不甲斐ないのよ、ほっときな。姫様にあったらすぐ収ま……らないかも」
《そりゃなんでだ?》
「光りすぎるかもね」
ネイラも、同じように笑っていた。いつの間にかもう彼らに、コウへの不信感は無くなっていた。
◇
夜になるの、明りが無い事も相まって非常に静かで不気味だった。他のベイラーは自分の乗り手の元に帰ってしまい、コウはひとり孤独に座っている。ここはガインたちの医務室であり、さまざまな道具や本が収まっているのを、夜になって始めて気が付く。
《ここはどういう世界で、なぜ僕はこの体になったんだ? 》
夜の孤独も、ずっと頭の中をめぐる疑問のおかげで暇を感じなかった。コウは一家そろって、他の日本人とさほど変わらない。無宗教で、しかし神様が居ないとは信じていなかった。鳥居に粗相をすることもなく、年末年始には神社に祈りをささげる、ごく一般的な家庭だった。
そんなコウは、この生まれ変わりに何か意味があるのかとずっと考えていた。カリンという相手に出会えたのは、この上なく有難いと感じつつ、そもそも死んでいる上に、人間以外の体である。神様のいたずらにしてはずいぶん回りくどい。
《……ああ、この世界の月は二つなのか》
巨木を加工した自然的な城の窓から、月の光が差し込んでくる。その色は青白く、知っているものと同じだが、少し違う。地球でみた月より若干小さいものが二つ、空に浮かんでいる。やはりここは己の地球ではないことを自覚させた。
《星座も違うのかな……あれ、たしか潮の満ち引きって月が関わってるんじゃないっけ? 二つもあると大変そうだけど。いやそもそも海があるのかどうか》
自分の思考を遮るように獣の遠吠えが聞こえてくる。山を下る最中に出会う事はついぞなかったが、山に行くのにわざわざ集団で、それもベイラーを伴って移動していたのは、今思えば、それは強暴な生物が山にいる事でもあった。
《……やけにデカかったな。あの鳥》
唯一みかけた脊椎動物は遠目で見た鳥であったが、落ちてきた羽が大人とかわらなかった。どんなサイズなのか想像もできない。
未知の環境、未知の肉体。さまざまな考え事が頭をよぎっては通り過ぎていく。そうこうしていると、近くで人間の足音が聞こえてきた。一瞬。ネイラが自分の事を見張りにきたのだと考え、視線を向けずに声を掛けた。
《ネイラさん、僕は別に動いたりしませんよ》
「しー」
首を窓から動かして視線を移す。月明かりが照らす場所までその人物が来た為に、その人物が誰だったのかようやく知り、同時に仰天してしまう
《姫様!? 》
「静かに……傷は痛むの?」
カリン・ワイウインズ。この国の王、ゲーニッツ・ワイウインズの娘……正真正銘の、まごうことなきお姫様。山の中でみたドレスはもう脱いで、いまは寝巻きを身に付けている。
コウの乏しい女性服の知識では、それがネグリジェという寝間着であることはわからない。デザインはそこまで凝っていない。しいて言うならば、腰に縛りつけたリボンが目を引いた。それは女性の美しいくびれを演出するのに一役買っているが、同時にどうしてもその恵体が強調された。出っ張るのである。
《デザインに視線誘導の意図を感じる》
「でざいん? ゆうどう? 」
《なんでもありません》
「で、傷はどうなの? 」
《だ、大丈夫です。ガインさんが針を抜いてくれました》
「じゃぁ、あれを見たのね?」
《あれ?》
指をぐわっと開くジェスチャーをする。コウはその仕草ひとつも、可愛らしいと感じる。
「みーんなまとめて『サイクルツールセット』なんて言われてるわ」
《サイクルツールセット》
「20個の道具を一気に出して、その気になれば全部同時に使ってしまうの」
《全部一気に!?》
「一度、崖から落っこちちゃったベイラーを、大掛かりに治しているのを見たわ。一瞬だったけれど、全部の指が虫の足みたいにわなわなと蠢いていて、ガインとネイラには悪いけれど、あれは正直、その、気持ち悪かったわ」
《それは》
20本あった指の内、コウに使われたのはせいぜい5本ほど。それがあの20本すべて、それも同時に動くとなれば、それはもうウネウネ動くのは想像に容易い。それが全身を伝って、切り刻まれたり貼り付けられたりすれば、それは気持ち悪い。治療であるので断ることもできない。
《見なくてよかったです……姫さまは、どうしてここに?》
「自分のベイラーを見に来ちゃいけない?」
《いけなくはないですけど、もう寝る時間では?》
「そうよ。でも、昼間にコウの中で寝過ぎたわ。目が冴えちゃって」
《でも、あまり見つかったらまずいんじゃ》
「少しだけ。それとも……嫌?」
上目遣いで尋ねる。カリンの服は決して胸元がゆるい訳ではない。しかし、リボンのせいで強調されているのと、足は今はそのふくらはぎと太腿を晒している。コウには刺激が強かった。
《(……なにより、断ることを想定してない問いかけだよなぁ)》
カリンは絶対の自信をもって尋ねてきている。確信犯である。
《嫌じゃありません。でも、余り夜更かしすると明日に響きます》
だが、それとは別に、すでに深夜である。カリンもあの決闘で疲れていた。仮にも王族の彼女を夜更かしに付き合わせる訳にはいかないと、コウの常識が抵抗する。カリンに対し、やんわりと、それでいて、あなたといる時間がとても心地のいいものだと、伝わるように言葉を選ぶ。
「なんか言葉に含みを感じるのは気のせい?」
《気のせいです》
「なら乗ってもいいわね?」
《……》
予想外の攻勢に、コウがおもわず無言になった。今コックピットに乗られた場合。意識と視界が共有される。それはお互いに考えていることが筒抜けになるという事であり、今の考えをカリンに共有されるのは、気恥ずかしいというレベルではなかった。
《その、勘弁していただけると……》
「そう。ところであなた、目が光ってるのお気づき?」
《ふえぁ!?》
間抜けな声が上がる。すでにコウがどんな状態だったのが、カリンには丸わかりだった。
「そんなに扇情的?この格好。それとも、この格好があなたの趣味に合ってるの?」
《この目の光でそんなことまでわかるんですか!?》
「なに、そんなことまで思っていたの?」
《しまった!?》
カリンのブラフにまでまんまと引っかかり、もはや勝ち目などなかった。 コウは全面降伏の構えをとる。両手をあげたいところだったが、左腕は損傷が激しく動かすことができない。右手だけで降伏の意図を示す。
《ええ、勘弁していただけると》
「細かくは聞かないであげる」
《ご、ご配慮痛み入ります……》
「だから、少しでいいから……お話しましょ?」
《はい》
カリンがすぐ傍までくる。ベイラーが座る椅子は当然人間より大きい。その椅子にもたれかかるようにして、コウと目を合わせながら会話が続く。
「聞きたいことがあったのだけど、いい?」
《さっきまで考えていたことでなければ、なんなりと……》
「コウは生まれた時、ここのこと、それにベイラーのことを知らなかったけど、別のことを言っていたわね。なんて……ええと、生まれ変わり、とか、そういう」
《はい。信じられないでしょうが》
「生まれ変わる前のこと、覚えているの? 家族はいるの?」
シームレスに会話が行われたことに、コウがおもわず聞き返す。
《信じているんですか? 僕の、その、生まれ変わりのこと》
「あなたに初めて乗ったとき、ばーっと、私の知らない光景が浮かんだの」
《そんな物まで共有されるのか》
「でも、だからって訳じゃないわ。あなたがそう言ったから信じているの」
コウは、この時、今までの自分の人生を悔いた。人と極力関わらない事。興味を持たないこと。そうすることで自衛していたつもりだった。
だがそれは自衛ではなくただの拒絶であり、身を守る術ではない。コウは相手に、どうすれば自分を信じてもらえるか、その方法を持たない。持つ必要を、感じてこなかった。
今はじめて、コウは、カリンが信じる自分であり、自分が信じてもらえる自分になりたいと強く願い始めている。
《……家族は、三人でした。姫様からすると、平民の立場です》
まずは、自分を知ってもらう事を選んだ。ささやかな歩みだが、大きな一歩である。
「そう。一人っ子なのね」
《父は、ジャーナリストで……ああっと、記事を書いてるんです》
「キジ? 書くって事は、本を作るのと似てるのかしらね」
《はい。その本を書くために、いろいろなところに行っていました》
「素敵」
《そう思います。でも、家にはあまり帰ってきません。母も、パート……仕事で》
「お母様はどんなお仕事を? お父様のお手伝い?」
《いいえ、別の仕事です。パンを売る仕事をしてました》
「まぁ! それじゃあ、コウのお母様はパンが焼けるの!?」
「ああ、いえ。職人が焼いたパンをそのまま売りに出すだけで、自分が出すわけじゃ」
カリンとの会話は、突如、忘れていたものを思い出させた。というよりも、コウにとってそれが普通すぎて、特別なものでは無かった。
「どうしたの?」
《ああ、いや、その》
「言ってみて」
《……父が帰ってくるとき、必ず連絡してくれるんです。この日に帰るって》
「ええ」
《その朝は、母がパンを作るんです。僕の世界では、ベイラーのような人たちがいない代わりに、うんと道具が発展していて、職人以外でも、簡単にパンが焼けるんです》
「すごい世界ね。ベイラーがいないのは、ちょっと寂しいけれど」
《3人で、パンと、簡単な軽食をとる朝。なんでもない日なんですけど、それが、僕には……とてもうれしかった……なんで忘れてたんだろう》
「コウ。どんな日でも、‘‘なんでもない日’’なんていうのはないわ」
《それは、どういう? 》
「‘‘あなたが生きてた日’’よ。それを‘‘なんでもない日’’なんて言ったらダメ」
《はい》
「……いいことを思いついたわ。だから今日はもう寝るわ」
《長々とお話しして、すいません》
「今度は、私の話をきかせてあげる……眠り方、わかる?」
《実は、わからなくて……暇しています》
「まぁ! それはダメよ!」
《この体、疲れないので大丈夫です。皆は違うんですか?》
「寝ないことに慣れちゃうからダメなの! いい? 私が乗ったとき目を開けたでしょう、その要領で閉じてみればいいの。少し経てば眠れるはずよ」
《あ、ありがとうございます……姫様》
「カリンでいいわ。私の身分の事で気を使ってくれているのでしょう?」
コウはまだ、カリンの身分ついての話はしていない。だというのにこうも見抜かれてしまい、おもわずため息が出た。
《……カリン》
「なぁに? 」
医務室から出ていくカリンを呼び止める。その際、振り返った都合で長い髪からさらりと翻る。その髪は月夜に照らされ、まるで女神がそこに居るような錯覚にさらされた。
《(あー、今も、目が光ってるんだろうな)》
「コウ? 」
《……おやすみなさい》
「ええ。おやすみなさい。また共に」
カリンも去り、再び1人になったコウ。静寂の中で、ゆっくりと目を閉じ、やがて静かに眠りに落ちていった。