ベイラーとショーテル
「数は、まぁまぁ居るな」
「ゆ、弓構えろ! 来るぞぉ!」
聖女の軍勢が即席の弓矢を番える、弓矢の強度も練度も足りていないが、弓兵は、存在そのものが戦場での脅威である。弓兵は戦列を組み、前線で矢を放ち、迫る騎兵を撃ち落とす事で勢いを削ぐ役目がある。矢の威力は、張られた弦の強さ次第ではあるものの、弓の名人でなくても、矢は鉄の鎧を貫通しえる。そんな矢が、生身の人間に当たればどうなるかなど、火を見るより明らかであった。
「放てぇ!」
指揮官らしき男(一番派手な鎧を着ている)が号令をかけると、矢が一斉に放たれる。真っすぐ飛んでいるのが多くなく、素材も質素な物でできている為か、本来弓兵が持つような矢の飛び方をしておらず、時にたわみ、時にゆがみながら。不格好に進んでいく。これだけみれば、なんら問題ないただの威嚇射撃程度だが、いかせん数が多い。何より、たった一人、ライ目掛けて放たれており、矢がほぼ面の構成となっている。こうなってしまっては、避ける事も防ぐ事も出来ない。そして、ライは鎧を着こんでいない生身の体である。足や胴体に一本でも当たれば致命傷だった。
「少しは戦いを知ってる奴がいるか」
迫りくる大量の弓矢に対し、ライはその場で動かない。避ける事も出来ず、鎧も無ければ防ぐこともできない。ならば、彼が取れる手段はおのずと限られていく。
「だが相手が悪かったな」
彼の体は、右腕に傷がある。彼の生涯で最も重要だった戦いで受けた名誉の傷であり、その影響で、腕は肩から上に上げる事ができない。それは剣士としてあまりに致命的な障害だった。だが、彼にとってその障害はさほど意味を成さない。
ライは左手で、ゆっくりと己の獲物を握る。ナイフのように小ぶりだが、その峰は柵のように等間隔に空いており、一見すると構造上非常に脆く見える。武器の名はソードブレイカー。相手の剣を『噛ませる』ことによって無力化する、非常に技術力の要る武器である。そして、ライはその技術力に置いて、右に出る者はいない。
ライが抜き放ったソードブレイカーを、迫る一本の矢に噛ませた。いくら構造上脆いとされるソードブレイカーでも、木製の矢と比べればその耐久は段違いに高い。いとも簡単に矢を叩き折っていく。
一本降り、一本降り、そしてまた一本降り。己に降りかかる、致命傷になりえる弓矢だけを的確に、正確に左手一本で叩き折っていく。その光景は、花園で生えすぎた花を手折る庭師のように、正確かつ素早い。面で迫っていたはずの弓矢は、その数十本のみを残し、ライの体には結局、傷一つ負わせることはできなかった。彼の周りには当たらなかった矢が刺さりきり、その光景は、ライが矢の畑の中に佇んでいるようにも見えた。
「な、なんで当たってないんだ」
聖女の軍勢は狼狽えに狼狽えた。アレだけ放った矢が一本も当たらない事。そして何より、その防ぎ方が、たった一本の、奇妙なナイフもどきで行われた事実を、彼らは認めるのに時間が掛かった。
「下手だからさ」
狼狽えている彼らに向かって放ったライの言葉は、あまりにも無慈悲な事実であった。叩き折った矢を踏み潰しながら、ゆっくりと彼らに向かって歩きだす。すでに返り血で染まっている風貌。そしてその腰には、今だ抜き放たれていない、別段珍しくもない、この帝都であれば容易く手に入るような、量産品の剣がある。ともすれば、聖女の軍勢の中にも、ライが持っているものと同じ剣を持っている者さえいる。なぜ剣を抜かないのか、聖女の軍勢には理解できなかった。
「我が義妹ならば、君らの降伏を勧めただろう」
パキ、パキ、パキと、刺さった弓矢を踏み潰す音と、ライの声が重なる。その声色は、ありとあらゆる憤怒を、無理やり覆い隠しているような、腹の内が底冷えするような声であり、その声に恐怖を覚える。彼の言う義妹が、一体誰の事なのか、聖女の軍勢には全く分からないのが、さらに拍車をかけた。そして、時折、何故か刺さった弓矢を抜き取り、器用に指と指の間に挟んで持ち上げていた。
「なぜなら、あの子はとても優しい。敵味方の区別をどうやってつけているのか、俺としては分からんほどだ」
一歩ずつ近寄る。まだ剣の間合いではない。そう悟った弓兵の一人が、再び矢を番う。その行動に端を発して、他の弓兵も、恐怖を押しのけ矢を構えようとする。如何に練度が低くても、矢を番えて構えなおすのにさほど時間はかからない。狙いを定め、もう一度矢を放とうとした。
「だが、俺は今、怒りに震えている。お前達がいると、俺の子供が、妻が、安心して眠る事ができない」
ゆっくりこちらに近づいてくる剣士が、一体何を言っているのか、もう聖女の軍勢にはどうでもよかった。今は、この恐怖を煽る剣士をどうにか始末しなければならいと使命に駆られ、矢を放つ。
放つ、その瞬間、ひとりの弓兵の頭が跳ねた。首から噴き出る血を浴び、ひとりが絶句し、ひとりが絶叫し、ひとりが気絶する。
「なんだぁ!?」
「飛び道具なんて持っていなかったのに!?」
「い、いや、まさか」
絶叫した者の首がまた飛ぶ。絶句した者の首が飛ぶ。三人の首が飛んだ時点で、何が起きたのかを悟る者が現れる。そして、悟った事を後悔した。
「矢を、投げた?」
確かに、矢はライの足元に大量に落ちていた。それは自分達か彼に向かって放ったものだ。そしてライは、その矢を拾い、長いシャフト部分を取り除き、矢尻だけを抜き取り、ソレを投擲した。投擲する際、矢じりにわざと回転を駆け、回転ノコと変わらない状態となり、命中した相手を切断せしめている。
「素手で、矢を投げて、首を弾き飛ばした???」
ライが行った事を正確に理解し、そしてその理解が間違っていない事を認めた上で、聖女の軍勢の全員が、その例外なく恐慌する。
「ふざけるな!? あんな化け物と戦えるか!」
「堕ちベイラーを! 奴を踏み潰せ!」
そして、彼らにとっての切り札を投入する。コックピットが割れ、中身が丸見えとなったアーリィ・ベイラー。通称『堕ちベイラー』は、文字通り、墜落したベイラーである。変形して空を飛ぶ事も叶わず、しかしベイラーとしての機能は損なわれていない。帝都に点在していた堕ちベイラーだが、帝都ナガラと商会同盟との戦争で、その数が爆増していた。
「俺たちは効かないぜ!」
「……そうだろうな」
割れたコックピットから顔を覗かせ、ライに勝ち誇る五人の堕ちベイラーとその乗り手。否、乗り手たちは、自分達が勝ったと思っていたかった。すでに聖女の軍勢は、ライをただならぬ脅威と感知している。これ以上行動される前に彼に対処しなければ、こちらがやられると彼らなりに覚悟していた。
「踏み潰してやるッ!」
「お前たちの相手はこっちだろうが!」
だが、ここにはもう一人戦士がいる。鉄の鎧を身に纏い、十分な加速を経た突進をお見舞いするのは、ホウ族の戦士、アンリー。
「クソ! 鎧持ちのベイラーなんて聞いた事ないぞ!」
「囲め! 囲んで叩け!」
アンリーの駆るベイラー、シュルツを囲うように堕ちベイラーが立ちまわる。腕が十全に動かない者や、武器がつくれなかったのか、その腕に無理やり鉄の塊をしばりつけ、ハンマーにした者など、聖女の軍勢は堕ちベイラーの活用に余念がなかった。五対一。数であればシュルツの不利である。
《お前たちのようなベイラーも聞いた事ないがな》
「やれぇ!!」
「「「「うぉおおお!」」」」
各々、凶器以上武器未満の道具を無造作に振り落とす。その攻撃を、シュルツは避ける事もせず、鎧の防御力に身を任せて打ち込まれる。バキバキと甲高い音と衝撃が身体中に響いた。
「や、やれる! やれるぞ!」
「このまま叩いて、聖女様に捧げるんだ!」
聖女の軍勢が狂乱しながら、シュルツを的として暴行を続けていく。ガキガキと何度も何度も叩きつけ、斬りつけ、打ちのめす。金属同士がぶつかり合う独特で耳触りな音が戦場でかき鳴らされる。
「……なんだ?」
やがて、何度目かの攻撃の後、ひとりの乗り手が首を傾げた。彼の駆る堕ちベイラーは、その手に鉄塊を括り付け、ハンマーとして何度も叩きつけている。甲高い音は良く聞こえるが、しかし手応えが一向にない。
「こ、声もあげられねぇか」
「ベイラーひとりを捧げれば、きっと聖女様も喜んでくださる」
「あ、ああ。きっとそうさ」
すでに彼らには正常な判断が下せない。異常といえる状況に身を置き続けたせいで、状況を正確に理解する速度が格段に落ちていた。その思考速度の低下は、ことさら接近戦では致命傷となる。
「シュルツ。もういいか?」
《ああ。手の内はだいたい分かった。行くぞ担い手よ!》
「おうさ我が剣!」
シュルツの目が赤く光り輝く。ベイラーの目が赤く光るのは、乗り手とベイラー双方の意思がひとつになった証。
「《サイクルショーテル!》」
彼らは両手に、奇妙な形をした剣を生み出す。片刃の半月状をしており、通常の剣よりも間合いが狭いように見える。
「そんな武器で何ができる!」
ひとりの堕ちベイラーが、その身を突進させ、シュルツを転ばせようとしてくる。アンリーはその愚直な攻撃に感心しつつ、ショーテルをくるりと回転させ、その足目掛け振り下ろす。
「こうできるッ!」
半月の内側に足が入ったその瞬間、手の内をクルリと返し、堕ちベイラーは見事に足を引っかけ、そのまま盛大に転んでしまう。中にいた乗り手は勢い余って外に歩折り出され、体を強かに打ち付け、そのまま気絶してしまった。
「な、なんだ今のは」
「教えてやらん!」
ショーテルはその形状、真っ直ぐ突く事が難しい。だが、半月状の刃は、振り下ろすだけで、斬る動作ではなく、切っ先を刺す動作となる。アンリーは振り上げたショーテルを、堕ちベイラーの肩目掛け振り下ろす。当然堕ちベイラーはその攻撃を防ぐべく、持っていた棒状の道具を、盾代わりとした。
だが、その盾の動作こそ、アンリーの狙い。
盾をすり抜けるようして、切っ先は正確に堕ちベイラーの肩を抉り取り、半身がズルリと削り落ちた。堕ちベイラーはそのままバランスを崩し、尻餅をついてへたり込んでしまう。
「なんだ? 俺たちは何をされているんだ!?」
「言っても分からんだろうさ!」
ショーテルの特性。それはあらゆる剣戟の中でも、初見での回避性が著しく低い事にある。剣で受けようにも、盾で受けようにも、その湾曲した刀身を前にすり抜け、そしてその切っ先は、正確に対象を斬り裂く事ができる。
もっとも、ショーテルの形状からその特性を見抜く事は、剣士としての能力はもとより、観察眼と洞察力のある人間でなければまず気が付かない。そして、狂乱している聖女の軍勢たちは、そのいずれかも持ち合わせていなかった。
「な、なんで防げないんだ!?」
「ま、また斬られた!? どうして!?」
ひとり、またひとりと、シュルツのショーテルを前にして切り刻まれていく。ただでさえ墜落し機能不全に陥りかけている堕ちベイラーは、体が欠け重心が崩れてしまえば、戦う事はおろか、歩く事も、立つ事さえままならない。
「これでぇ!」
《最後!!》
そして、五人目の堕ちベイラー、その腰から下を横薙ぎで両断する。下半身と上半身が分かたれ、乗り手は強制的に地上に下ろされてしまう。そうして、今や動くベイラーはシュルツだけとなった。
「さて、加勢しに……」
《……アレは、要らんだろ》
「……」
堕ちベイラーを倒し、聖女の軍勢と戦って居るライの元に駆け付けようとした時、その壮絶な光景が目に入った。
ライに凶器を振り上げた者は、その腕をきりおとされ、ライに決死の突きを放った者は、その突きを意図も簡単にソードブレイカーで防がれ、そしてその一瞬の隙に逆に突き返され、ライを集団で囲もうとした者は、囲む前に回り込まれ、その足首裏を斬り裂かれ、走る事が出来なくなった。
技量、技能、技巧。なにひとつライに及ばなかった聖女の軍勢達は、ライの手で、ひとりひとり丁寧に、死なない程度に、だが確実に苦しむ手段を受けていた。以外なほどまき散らされる返り血は無く、その代わりに、あたり一面には、痛みに悶え苦しむ者たちの合唱が行わている。
「剣士でもなければ戦士でもないのなら、こんなものか」
そして、当の本人、ライは、一切息を乱す事なくただ茫然としていた。その手に持った剣は、人の肉を斬り裂き、突き破り続けた事で血に濡れ、刃が零れている。その姿を見て、聖女の軍勢達の戦意は削ぎ堕ちていた。
「も、もうやめてくれぇ! 降参だ! 降参する!」
「……」
「こ、コレも捨てる!」
その眼は、確かにライを見て怯えていた。言葉通り武器を捨て、弓兵たちも矢を捨てた。圧倒的な力を前にして、彼らは、一旦の服従を選んだ。そして、ライに頭を下げ、許しを請う。
「だから、命だけは」
「……捨てるのは武器じゃない」
「武器じゃ、ない?」
「お前達の体に巻かれたソレを捨てろ」
「――ッ!」
ライが指さすソレ。彼らが聖女の軍勢が軍勢足りえている理由。それは、マイノグーラの髪の毛を結んだ腕輪や指輪。彼らが、聖女から貰った、もとい、|賜った《たまわった》物である。
「ソレを捨てられるなら、降参を認める」
「――そ、それはぁ、それはぁ!」
指揮官らしき男は、その手に指輪をはめていた。その指輪にきらりと光るのは、あのマイノグーラの髪であった。彼女が使う結晶と同じように、淡く透き通りつつ、わずかに輝いて見える。そのせいで、遠くからでもよく見えていた。
「どうした? 捨てろよ」
「―――」
指揮官らしき男は、鼻息を荒くしながら、ライの言う通り、その指輪に手をかけ、指から引き抜こうとする。だが、緊張と恐怖で指がうまく動かないのか、カチカチと音が出るだけで、一向に外れる気配がない。
気配がない、というよる、外すのを躊躇し続けている。
「フゥー!――フゥー!」
「……」
ライの顔は無表情だが、剣を握った手には血管がうっ血するほど強く握られている。やがて指輪を外そうとした何度目かで、男はその場で動きを止めた。
「……」
「で、できない!」
男は激昂し、真っ直ぐライに突っ込んでくる。先ほどまで降伏を懇願していた男の行動ではなかった。なにより、そんな事をしてもライに傷ひとつつけられないのは、今まさにうめき声を上げて倒れ込んでいる彼の仲間たちを見れば明らかであった。明らかであったが、やはり彼にもまた判断力が残っていない。
「あのお方から授かったのだ! 外せるものか!」
「だろうな。みんなそう言う」
それだけ言って、ライは刃を振るう。右手にもった剣を左手に。左手にもったソードブレイカーを右手に持ち帰る。こうする事で、左手で剣を振るう事ができる。なにより、ライの怪我は右腕であり、左腕は全く問題ない。ソレはつまるところ、ライは左手ならば、腕を大きく上げる事ができる。彼の利き手は右手であり、本来の威力よりずっと下がってしまう為に、この手段は用いる事は少ない。
だから怒りに満ちた彼と、そして埋めようのない技量差のある相手であれば、左手でも全く問題なかった。
指揮官らしき男の視界が、ぐるりと回転し、そのまま動かなくなった。男は最後まで、自分が一体、誰と戦っていたのか把握する事は無かった。
◇
指揮官が死亡してからは瓦解は速かった。聖女の軍勢は蜘蛛の子を散らすようにその場から逃げようとしている。だが、誰もかれもライの受けた傷が大きく、走れもしなければ歩けもしない。匍匐前進できれば良い方で、ほとんどの者は、体を這って、まるでミミズのように動く他なかった。
「……」
その光景を、ライは冷めた目で見ていた。いくら聖女の軍勢を倒しても、そして降伏させようとしても、同じ事の繰り返しであった。彼らの心には必ずマイノグーラがおり、そのマイノグーラの隷属から逃れようとしない。彼らは、マイノグーラの庇護を受けたいその一心で凶行に及び続けていた。
「……やはり、マイノグーラを」
ライは己の唇を噛む。自身の技量を疑った事はない。だが彼が今まで修めてきた武術や技巧は、あくまで対人の技術である。だが、マイノグーラをはじめ、猟犬やアマルガムイスラに対して、ライの剣はあまりに無力であった。なにより、対人ではない剣を知って居るのが、彼の悔しさを何倍にも膨れさせている。
「上手くいかんものだな」
「あー、サーラの王様、終わったかい?」
「ん、ああ。終わった。もう動けまいよ」
頭上からシュルツと、その乗り手アンリーが語りかける。すでにこの場は収まり、あとは、アマルガムイスラと、空中で激闘を繰り広げているマイノグーラとの勝負となる。
「一旦、他の皆と合流しよう」
《あの緑のベイラーが何か秘策があるようだ》
「承知した。また運んでくれるか?」
《無論》
血を拭い、剣を納める。その剣はすでに人を切り続けすぎて酸化が始まり、刃が赤黒くなっていた。
「合流場所は?」
「占い師様の場所へ。最初にあたし達が来た場所になってる」
「わかった」
そうして動きだそうとした時、ライの背後で、うめき声が一段と大きく強くなった。さきほど斬り伏せた聖女の軍団が、あからさまに苦しがっている。
「……剣士よ。何した?」
「いや、俺は何も」
《まて、奴らだけじゃない。見ろ》
変化はそれだけにとどまらない。さきほどまで戦い、そして行動不能に陥れてアマルガムイスラの体が、不自然に起き上がっている。そして、頭に見えるパーツが、ある一定の場所に向いて動かない。
「デカブツまで? 今度はなんだ?」
《……アレの目が》
「何?」
地表の軍勢達は、逃げるのを止め、頭を下げ始める。そしてアマルガムイスラの目線(頭はあるが顔が無い為、ライの推察となる)が、ある場所で止まる。その視線の先には、ずっと沈黙を守っていた、あの正六面体、ティンダロスがある。
その正十二面体、正面にあたる場所には、巨大な眼球と瞼がある。今まで、その瞼はずっと閉じられてたままだった。だが、その瞼が、ぴくぴくと、微かに動き始めている。
目覚めの時が、近づいていた。




