ベイラーと偉大なる力
「本当に、グレート・ギフトだ。でも」
「王様のベイラー、なんか元気がないような? 」
グレート・ギフトが、簡易的な椅子に座り、その体を預けている。ゲレーンが故郷のリオ、クオ、ナット、オルレイトは、そのうなだれた姿を見て首を傾げている。両足の形が崩れかけているのは以前からだが、船の中で座る姿は、どこか気迫が無い。
「なんか、疲れてる? 」
「……君たちにも、そう見えるか? 」
ゲレーン王、ゲーニッツが問う。
「どうしちゃったの? 」
「……おそらくは」
《お、おお。我が、友の子よ》
弱々しい声が頭上から聞こえてくる。その声は、そよ風のように、弱々しい。
《月明りも、少ないな。今日は、出歩かぬ、ほうがよい》
「ギフトよ」
《おお、幼子もいるではないか。早く、宿に、帰るのだ》
だがギフトは、人の心配をするばかりで、自分の事を語ろうとしなかった。
「ギフトよ。お体に、何かあったのですか? この国についてからという物、ずっと同じ調子ではりませんか」
《何、しばらく、休めば――》
「驚いたな。グレートって嘘をつくのか」
二人の間を切り裂くように、口を挟むのはサマナだった。無礼ともとれる口調だったが、ゲーニッツも、そして他の全員がだれしも動揺した。
「君は」
「サマナだ。サマナ・フリフラッグ」
「なぜ、グレートが嘘をついているとわかる? 」
「あたしは心が読める」
「心を? まさかシラヴァーズと……メイロォと同じか」
「メイロォの事を知ってるなら話は速いな」
「ああ。よく弄られたよ」
以前、ゲーニッツはメイロォというシラヴァーズと出会っている。その際は、メイロォによって、自身が祖父になる宣告を受けた場面だったが、今、メイロォと同じ力を持つ少女が目の前に現れた事に、驚きを禁じ得ない。
「さて王様。グレートの言葉、アレは本心じゃない」
「本心ではない? 」
《なつ、かしいな。混ざった子か》
グレート・ギフトが今までにない反応を示す。
「ソレ、レターにも言われたな。昔にはあたしみたいなのが一杯いたんだろ? 」
《レター。ああ、その名も、懐かしい。離れてずいぶん経った気がする》
「昔話をしに来たわけじゃない」
砂漠で出会ったグレート・レターと、目の前にいるグレート・ギフトがどんな関係なのか、サマナは気にならないと言えば嘘になるが。今は、ギフトが嘘をついた理由を聞く方が先決だった。
「何か、隠してるのか? だから、嘘をついたのか? 」
《……シラヴァーズの血が混ざった者がいるならば、隠し立てできんか》
「グレート・ギフト。やはり貴方は」
《我が友の子よ。済まなかった》
ギフトは体を折り曲げて、謝罪を行う。あっけなく自白した事にサマナは虚を突かれたが、同時に、彼に悪意が無い事も読み取れた。
「謝らないでくれ。グレート・ギフト。だが、何故」
《この体は、ついに終わりの時を、迎えようとしている》
「終わり? 」
《長い刻を、歩んだ故に》
「まさか、その不調は、ギフトの力を使ったのもあるのでは」
《……否、と答えられたのならば、善かったのだが》
ゲーニッツがサマナを見る。普段であれば、ゲーニッツがギフトの言葉を疑う事は無い。それは彼らの一族が築き上げた信頼に泥を塗る行為と言える。だが、ゲーニッツを、この国に住まう人々を覆う現状を救うには、確実な情報が必要だった。
ゲーニッツの視線を受け、サマナがグレート・ギフトの心を視る。
「嘘じゃない。力の、使い過ぎ……―――」
「そう、か」
落胆すべきなのか、安心すべきなのか、ゲーニッツの心は揺れた。もしグギフトが疲弊しているのなら、これから先に、ギフトにその力を借り受けたいと願いでなければならない事に悲嘆する。
「(やはり、この状態のギフトに、力を使わせるわけには)」
「サマナちゃん? 」
「どうしたの? 」
重苦しい空気を双子が変えた。サマナへと近寄り、肩を揺らし始める。当のサマナはと言うと、虚空をみつめてその場から動いていない。
「……」
「オルオル! 」
「なんかわかる!? 」
「お前らなぁ……まぁ診てみるが」
オルレイトが催促されつつサマナを見る。双子のように肩を揺らしても反応はなく、試しに頬をつねっても、サマナから声も上がらない。直立不動でいる時点でなんとも言えない雰囲気があった。
ふと、試しに脈を測ろうと首筋に手を当てた時、オルレイトの顔が引きつる。
「(脈がない!? そんな馬鹿な!? )」
オルレイトは、即座にサマナの胸へと耳を当てた。脈も無ければ、心臓の鼓動も聞こえない。
「(さっきまで普通に話してたのに!? どうして!? )」
オルレイトの心配は最もだが、心臓の鼓動を感じようとするには、必然腰に抱き着くような形になる。その突拍子な行動は、周囲の人間に多大な誤解を与える。特にリオとクオは、オルレイトのその脛に蹴りを繰り出す。いくら体格差があろうと人体急所である事には変わりなく、オルレイトはその一撃で悶絶した。
「なにやってるのオルオル! 」
「馬鹿! 変態! スケコマシ!
「どこで覚えたんだそんな言葉! それよりサマナ息してないぞ!? 」
「「え? 」」
その様子をみたギフトが、心底驚いたように告げる。
《まさか、そこまで読み解けるのか》
「ギフト、一体何を」
《我が友の子よ。少女を、こちらに》
「あ、ああ。オルレイト君、手伝ってくれ」
「ハイ! イタタ……」
脛をさすりながら、サマナを担ぎ上げ、グレートの元へと運ぶ。運んでいる最中も、サマナの息が戻る事は無かった。
「何がどうなってるんだ」
《今、この混ざった子は、我らの力を読み解いている》
「読み解く? 」
《それは我らすら忘れた……否、忘れておかねばならぬ事。だがこの混ざった子は、読み解けてしまったようだ。だがそれは人の身にあまる。呼び戻さねば》
そこまで言うと、ギフトは手を伸ばし、指先でサマナの頭に触れた。
《戻っておいで。混ざった子。そなたが居るべき宇宙はソコではない》
ギフトの、木の肌でできた指が、優しく頭をさする。すでにギフトの指は、他のベイラーよりも脆くなっているのか、サマナの頭をさすっただけで、ポロポロと木片が散っていく。
指が何週かした後、サマナは息を吹き返し、そして盛大にむせた。それはまるで、いままで呼吸の仕方を忘れていたかのような仕草だった。その仕草でさらにオルレイトは不安が加速し、思わず胸に耳を当てる。再び、腰を抱きしめるような形になる。身長差がある為に仕方なかった。
「ゲッホ! ゲッホ! 」
「サマナ!? 無事か」
「な、なんだ? なんであたし、ってコラ離れろ! 」
サマナが意識を取り戻すと同時に、視線を下に向けると、そこにはオルレイトがなぜか自分の体に抱き着いている意味不明な状況があった。すかさず、サマナの渾身の右ストレートが、オルレイトの顔面に炸裂する。身長差、ウェイト差によりダメージはさほどでもないが、仲間からの二度目の攻撃で、彼の心は非常に弱った。
「……僕何かしたか? 」
「しただろうが!? 」
「まて、顔が赤いぞ。すこし安静にした方がいい」
「誰のせいだ!? 」
オルレイトの心配をよそに、サマナは激昂し続ける。見かねギフトがやんわりと制しつつ、サマナに問いかける。彼女が突然意識を失ってしまった間に見た物に、ギフトは見当がついていた。
《混ざった子、何を見たのか、教えてはくれないか? 》
「見た……そうだ! ギフト! あんたすごい力だな!? レターも凄かったけど、あんたのはこう、方向性が違う! 」
「サマナ、グレート・ギフトの力が何なのか知ってるのか? 」
「まってくれサマナ君。オルレイト君。あまり力の事を話さないでくれ。彼の力は、公にするべき力ではない」
「ゲーニッツ様、それは、どういう? 」
ゲーニッツは、ギフトの力がなぜ秘匿されるべきかを端的に説明した。無論、内容は伏せつつであるため、説得力は落ちる。
「強大な力だ。故に、ギフトをめぐって、無用な争いを起したくない」
「そんな力、なのか」
「まぁ、確かに、暴動、いや、戦争になる可能性すらあるなこりゃ」
「そ、そこまで? 」
「そこまでだ。というかよく隠し通してたな」
「口が堅くてね」
冗談なのか本気なのか分からないような口調だったが、サマナもそれ以上追及しなかった。それより先に、ギフトに確認せねばならない事がある。
「グレート・ギフト。その力、あんただけの物じゃないな? 」
《――やはりそこまで読み解いていたか》
「グレート・レターも、力を使う時は慎重だった。単純に気分屋だからだと思ったが、内情はずいぶん違うみたいだ。けっこう大変だったんだな」
《……気分屋なのは元からであるな》
「性格じゃねぇか!! お前らそろっていい性格してんなぁ!? 」
「ま、まってくれサマナ」
当事者同士の話が進みすぎて、オルレイトは時折置いてけぼりになる。必死に話に食らいつくべく補足を求めた。
「サマナ、僕らにわかるように説明してくれ。一体君は何を見たんだ? 」
「あれは――仕組み、というか」
「仕組み? 」
「のっぽ。お前グレート・レターの力、覚えてるか? 」
「覚えてるさ。好きな物を、好きなだけ、別の場所に移動できる力だろう」
「とんでもないよな」
「ああ。とんでもなかった」
砂漠で出会ったグレート・レター。彼女は、いわば瞬間移動能力を有していた。運べる物は、無機物、有機物問わず、そして量さえ意のままだった。
「その力、なんの制約も無かったよな」
「ああ。多少疲れていたみたいだったけど」
「レジスタンス数十人送りとどけて、ただ疲れるだけなんて。変だろ」
「言われてみれば、確かに」
「グレート・レターは、どこかで帳尻合わせをしてるんだ」
「帳尻合わせ? 」
「それが、サイクルの原則だ。生えては削れてを繰り返す。レターの力は『生える』代わりに、何かを送れる。カリン達が、体を治す代わりに眠るように」
「なら、レターはあの力を使った後、何かを『削って』いるのか? 」
「削ってない。レター自身は」
「話がわからん。何が言いたい」
「グレート・レターは自分を削らない代わりに、星に縛られている。この星そのものの、膨大な力を借りて、彼女は力を使っているんだ」
「ほ、星? じゃぁ、ブレイダー達も」
《その名も懐かしい……昔は剣だった。そうか。いつしか剣士になったのか。我らは、星々から力を賜っている。それが偉大なる力》
「……」
オルレイトは、ただ呆ける事しかできなかった。少なくとも実感はできなかった。何より、今の状況と言動が、まだ結びつかない。
「それが、どうしてギフトの不調とつながるんだ」
《今、偉大な力は、別のベイラーに受け継がれようとしている》
「受け継ぐ? 」
《そして、我が体は、元のベイラーへと戻るだろう。そうなったが最後、もう、サイクル・ギフトは使えぬ》
「な、なんでそうなる!? 星の力が受け継がれたなら、ギフトの力だって」
「のっぽ、星の力と、ギフトの力は別だ。先にギフトの力があって、そこに、星からの無尽蔵な供給がある」
「こ、困った……分からない事だらけだ」
「分からない事だらけに、ひとつ付け加えてやる」
「これ以上何を言われてももう驚けないぞ」
「おそらく、次の偉大なる力は……コウだ」
瞬間、ぺたんと、オルレイトは座り込んだ。
「なんで、そうなる? 」
「確信はない。でも。そんな、気がする」
「コウの力は確かにベイラーのソレからかけ離れているが、だからって……そんな……星から力を得るなんて……そんな事」
オルレイトの脳裏に浮かぶのは、コウの身に起きた数々の出来事。はじめは普通のベイラーだった。それがいつしか体から火を吹くようになり、不自由ながらも飛び跳ねるようになり、そしていつの間にか、変形して自在に空を飛べるようになっている。極めつけは、サイクル・リ・サイクルによる再生能力。
帳尻合わせをするならば、どこから持ってくるのか。
「じょ、条件はなんだ? 仮に、そうだとしても、だれもかれも偉大なる力を使える訳じゃないだろう!? 」
《星に、全てを捧げる事ができるかどうか。そして、己の為に使わないか》
グレート・ギフトは、オルレイトに静かに語り掛ける。
《もし、その力を、身勝手に振舞おうとすれば、すぐに星の守護者たる龍が、その身を喰らうであろう》
「龍には、そんな役目まであるのか」
「グレート・ギフト。貴方が龍に喰われていないのは、つまり」
《当たり前の事をしたまで》
そこには、断固たる意志と共に、いままでゲレーンと共に生きてきたベイラーとしての矜持があった。
《我が友の子よ。今、この地は窮地であるな? 》
「……はい。グレート・ギフト」
《龍は、人を見捨てたか》
「……はい」
《よかろう》
弱々しいくも、確かにグレート・ギフトが立ち上がる。
《ならば、この力を使う時だ》
「ですが、貴方の体は」
《最後となってもよい。それが、我が定めであっただけの事》
「ま、まってくれグレート・ギフト。ここで使うのはマズイ。一目に付きすぎる」
《ふむ。混ざった子の言う事も確かか》
「今、他の船に伝令が行っている。その後は、この船も、きっとその三隻と行き来できるように改造が施されるはず」
「――そうか。わざわざ小舟を使ってやるより、連絡通路でもなんでも作った方がいい。幸い、ここにはベイラーがたくさんいる。造るのは造作もないだろう」
「あの皇帝にも話してやらないと。今ごろ、この食糧をどうやって分配するかしか考えてない」
「食糧? グレート・ギフトの力が、なんで食糧に関係するんだ? 」
「……なぁ王様、もうコイツには話ていいか? 」
「フフ。そうだな。オルレイト君以外も、龍石旅団の皆であれば、大丈夫だろう。あとは、ライ王もだな」
「え、リオ達もいいの? 」
「クオも? 」
「ああ、私の娘が選んだ君たちならば。喜んで」
そして、グレート・ギフトの力――その手から小麦を生み出す、サイクル・ギフトの全容を知り、オルレイトは泡を吹いて倒れた。
◇
「……なる、ほど。信じがたいが、そういうものか」
「(さすが皇帝。理解は速い。というか理解できないものを、『そうであると』認識できるんだな)」
場所は変わり、船橋、船の指揮を執る場所である。カミノガエと龍石旅団のメンバーが一同。加えて、ゲーニッツと、ライ・バーチェスカが集まっている。
「食糧問題が、そんな方法で解決できるとは」
「これで、ここにいる人々は生き残れる」
「……」
「なんだマイヤ。難しそうな顔をして」
だれもが安堵している中、唯一、マイヤだけがその顔を険しくしている。眼鏡をかけていてもなお、眉間に皴が寄って迫力がある。その迫力に押されてか、思わずカミノガエが問う。
「女中よ。何か言いたい事があるなら申してみよ。余が許す」
「はい。では、僭越ながら。ゲーニッツ様」
「なんだい? 」
「その、グレート・ギフトは小麦が生み出せると仰りましたね」
「そうであるな? ゲーニッツ殿」
「ああ。相違ない」
「つまり、パンではないと」
「ん? まぁ、そうだな」
「はぁ……」
「女中よ。何をため息をつく事がある」
カミノガエの心は、数分前よりずっと晴れやかだった。コルブラットから聞かされた食糧数は、今、この船にいる人数でも二日間もつか持たないか分からない程度しかない。それ以後は餓死を余儀なくされていた。だがここにきて、食糧を生み出せるベイラーの存在によって、危機は回避された。そう彼は考えている。
「では、重ねて、申し上げても、よろしいでしょうか」
「うむ。佳いぞ」
「陛下は、パンがどのように作られるのかご存じで? 」
「ん……それは……」
「他の方々はどうです? わかりますか? 」
眉間を抑えつつ、マイヤが言う。カミノガエ、ゲーニッツ、ライ、オルレイト、
らは、答えられず首をかしげるばかり。サマナも同じで。ナット、リオ、クオだけが、たどたどしく応える。
「えっと、アレだ。小麦を、たしか粉にして」
「こねる! 」
「水で固める! 」
「はい。三人はよく手伝ってくださりましたものね」
「なんだ? ああ、人手が足らんという話なのか? 確かにこの避難民の人数を賄うだけの量を作るには大変かもしれんが」
「それだけではありません」
マイヤはぴしゃりと遮る。
「なによりここではパンは作れません」
「な、なに? 小麦があるのにか!? 」
「窯がありません。窯がないのにどうやってパンを焼くんです? 」
「「「――あ」」」
カミノガエ、ゲーニッツ、オルレイト、ライ、サマナ達の声が重なる。
カミノガエ達に関しては、彼らはいわば貴族階級であり、自身で飯を用意する事などない為に、パンの焼き方などは知る由もない。サマナの場合、パンよりも魚を主に食べていた為にそもそも知識が乏しかった。
労働階級であったマイヤだけか、この問題を直視出来ていた。
「ゲレーン王。ベイラーで釜は、作れるか? 」
「い、いや、どうでしょう」
「聞いたこともありませんわ」
再びマイヤはぴしゃりと言い放つ。眼鏡がずり落ちて、マイヤ本来の目が露わになる。眼鏡をかけなおすのを忘れている。それほどまでに呆れていた。
「こ、この船に窯は無いのか? 」
「船の調理場はあくまで保存食をマシに出来るようにするだけの物です。とてもでパンが造れるほどのもんじゃないです。そもそも焼き立てのパンなんてすぐカビるので、船の上じゃ食べれないでしょう」
「マイヤ君、分かった。分かったから」
「つまりですね」
マイヤは確かに怒り心頭だった。だがそれよりも、この後の行動こそが重要であるとも理解していた。
「窯のある場所まで、私達の生きる場所を拡大するのです! 」
「窯の」
「ある場所まで? 」
「今は船の上だけです! 食糧はおろか水さえ心もとない。でも、陸になら」
「……そうか」
マイヤのアイディアに、一番感銘していたのはカミノガエだった。今まで彼は、船の上でどう過ごすかしか考えていない。それはもちろん、陸上には、人間を悔いろ超す存在であるティンダロスの猟犬がうじゃうじゃしている為である。
だが、もし、ほんの少しでも、陸地を確保できたのなら。
「パン屋のある場所ならば、窯はあるでしょう」
「女中よ。よくぞ言った」
「女中ではありません。マイヤ・マライヤと申します。陛下」
「おお。余は生涯、貴君の名を忘れる事はなかろう」
「恐れ入ります」
「しかしパン屋か……第十二地区にパン屋があればよいが」
「あります。陛下」
オルレイトは、胸を張って答えた。それは虚勢ではない。
「旅商人が、パン屋のパンを買い上げて商売をしていました。必ずあります」
「あ! ネルソンのやってたやつ! お休み処! 」
「ああ。その通りだナット」
「なんとしても探すのだ。そして、人が暮らせる領域を広げるのだ」
混迷を極める中、彼らは初めて、明確な目的が出来上がった。
久しぶりの説明回でした。




