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ベイラーと対空戦闘

「(散開したはいいけど、このままじゃ)」


 ケーシィが率いる航空騎士団が、狙撃による対空攻撃を受けた。即座に編隊を解く指示を出したのは、狙い撃ちを避ける為であったが、ハンドサインで意思疎通を行うため、再び編隊を組むのは難しく、もう一度自分たちの空母であるベイラーキャリアードに戻る選択が、ケーシィの頭をよぎる。


「(空から来る事を読まれてた。それはいい)」


 その選択をすぐに行わないのは、狙撃されている事実とは別にある。


「(狙撃してくる人、やたら目が良い。なんで方角までわかったんだろ)」


 編隊を組んでいるとはいえ、大空の中で、ケーシィ達が視認するよりも先に狙撃された。それはつまり、相手の狙撃手はあらかじめ、どこから敵が来ているのか、前もって理解していなければ先手を打つ事はできない。


「(ポランドのおば様以外で、そんな事出来る人がいるなんて)」


 アーリィベイラーの開発をはじめ、数々のベイラーを生み出したポランド・バルバロッサである。彼女も、ベイラーを用いた狙撃を行っているが、あくまで高所からの一方的な撃ち降ろしにのみ限っている。空の上、それも高度の高い相手に対して、一射目で命中させた相手に、ケーシィは恐れおののいていた。


「(まずは編隊を組み直さないと)」


 ハンドサインを行おうとしたその時、散開した内の一機が再び撃ち落とされるのを目にする。


「もう! 一体なんなの!? 」


 ケーシィは、この一方的な展開に、思わず唇を噛んだ。



「君が、この壁の守衛かね? 」

「あ、貴方は黒騎士殿!? 」


 時はわずかにさかのぼる。まだカリンが婚姻の儀を終えていない頃、オルレイト、現黒騎士は王城にそびえる壁の内部へと足を運んでいた。黒騎士の評判はすでにオルレイト自身の想像をはるかに超えており、何処に顔を出しても(仮面を被っているが)歓迎されている。その評判は帝都でも、末端の兵士にまで届いており、通常立ち入る事はおろか、近寄る事さえ憚られている壁、その内部で守衛を務める兵士にまで及ぶ。敵対心を持たれる事なく、非常にスムーズに会話が成された。


「なぜあなたのような方がこちらに」

「しばしこの壁を預かる。ご協力願おう」

「な、なんですと」

「貴殿らは、4番地区の門に赴いていただきたい」

「お言葉ですが黒騎士殿。ここは我らの管轄。如何に貴方のような方でも、部外者に任せる訳には」

「部外者ではない、と言ったらどうかな? 」

「はい? 」


 だが、生真面目な兵士はどこにでもおり、普通に考えれば、部外者の人間が、国の要所を警備を務める兵士を顎で使うような真似は許されない。この至極まっとうな反応は、黒騎士の想定内である。故に彼はあらかじめ、交渉に際し最高の切り札を持ってきている。


「これは陛下より賜わった勅命である」

「ま、まさか!? そんな物」

「真偽はその目で確かめていただく」


 黒騎士は懐から丸められた洋紙を広げる。兵士はそこに書かれた文章を見て思わず目を丸くした。


「『衛兵は黒騎士に協力されたし』……陛下の印と、秘書官殿の印まで!? 」


 そこには、勅命として黒騎士に確かに協力を認める言葉が記されている。これは、カリンがあらかじめカミノガエに頼んでいた文書であり、真偽を確かめられたとしても、カミノガエだけでなく、秘書官のコルブラッドも巻き込んでの完全なる公的文書である。


 ここで肝心なのは、『壁を任せる』や『防衛の任に付かせる』など、具体例をについてはあげておらず、あくまで協力という、文章の解釈次第では、いかようにも変容する点である。あまり外部の人間に強権を与えてしまうと、かえって不和を呼び、仮面卿との闘いどころではなくなってしまう。あくまで協力を要請するのは黒騎士の方であり、主権そのものは兵士たちにある。これは巻き込まれたコルブラッドの精一杯の配慮であった。


 しかし兵士たちからしてみれば、勅命というだけで、内容はさておき、身が震える思いである。勅命を断ればどうなるか知らない彼らではない。


「これでもまだ不服かい? 」

「い、いえ! 」

「あくまで協力をしてほしいだけだ。君達の指揮まで口を出すつもりはない」

「貴方に、壁を預ける事が、協力につながるのですか? 」

「なる。そしてシーザァー殿が第4地区で待ってくれているはずだ。あの方と合流してほしい」

「第4地区? 」

「まもなく、そこに敵がくる」

「て、敵? 」

「ここは私にまかせ、シーザァー殿と共に、門を守ってほしいのだ」

「わかりました。黒騎士殿が、そう仰るのであれば」

「(黒騎士の名が変に一人歩きしている気がするなぁ)」


 黒騎士ことオルレイトは、兵士たちから感じる、その信頼がどうにもむず痒い。


「(黒騎士というだけでこんなあっさり事が運ぶ。僕だったらこうはならない)」


 選抜闘技大会で一度、この黒い仮面で戦っただけだと言うのに、その名声と信頼は今や帝都でも抜きん出ている。それほど、弱者を助け強者をくじく姿は、見る者の目に焼き付いていた。


「黒騎士様。ご武運を」

「君もな」

「ハイ! 」


 帝都特有の敬礼。左頸動脈に右こぶしをあてるような仕草をうけながら、黒騎士は兵士を見送る。その姿が見えなくなったころに、背後の物陰に隠れていた人物を呼んだ。


「もう出てきていいぞ」

「オルオル、すごいねぇ」

「今は黒騎士だ」

「あ、そうだった」


 おちゃらけた様子のリオ。双子の姉であり、今回、空の防衛のために彼女は必須であった。


「今も見えてるのか? 」

「うん。見えてる。今クオはお空の上」


 妹のクオは、マイヤと共に、遥か上空をヨゾラで飛んでいる。双子の姉妹である2人には、ある特異な力が備わっている事が最近になって分かった。


 それは、お互いの視ているものが、双方に共有されるというもの。リオが目で見ているものはクオも見る事ができ、クオが見ている物はリオも見る事ができる。リクという、2人乗りのベイラーに長く乗っていた影響なのか、それとも元々2人が備えていた力なのかは、今となっては分からない。


 ここで重要なのは、共有に際しての、彼女ら2人の距離にある。


 ある日、リオがオルレイトに相談をもちかけた。リオからしてみれば、常日頃から姉妹で共に過ごしているとはいえ、お互いの視界がずっと共有され続けているのは、少々居心地が悪かった。


 『共有を切るにはどうしたらいいか』 その相談を受けたオルレイトはそこで、とある実験を行った。


 1人を空高い場所に、1人を地上にそれぞれ居た場合どうなるのかという物。リオが、マイヤを伴ってヨゾラの中にはいり、クオが城で待機する。そうなれば必然、リオが見る景色は、空の上の物。クオの視界には、地表に居るのに空が見え続ける。実験は、空が見えなくなった時点で終了する予定だった。


 もっと簡易的に行うべく、オルレイトは城の外に出る事も提案したが、リオがそれを却下していた。双子は一度、悪党の人さらににあっており、その危険を訴えた。空に向かうこの方法なら、王城中庭でヨゾラに乗り込み、着陸も中庭で事足りる。マイヤ以外の乗り手を、ヨゾラが受け入れてくれるかどうかが一番の懸念であったが、ヨゾラにとって2人とも気の知れた仲であり、別段拒否することもなかった。


 オルレイトはこの時、双子の距離され離れば、共有が切れるだろうと踏んでいた。リオも、実験の成否より、ヨゾラの中に乗り込める事のほうが嬉しく、クオに至っては、実験のあと自分もヨゾラに乗せてほしいと懇願したほどだった。


 そうして行われた実験だったが、驚くべき事実が明らかになる。


 空の景色は、どれだけ離れていようとも、双子の間で()()()()()()()()()()()


「リオ、もう見えてるのか? 」

「うん。空から来てる。数は……えっと、15個」

「全部アーリィか? 」

「先頭のは違う。紫色のやつ」

「紫……たしか、ザンアーリィとかいう奴だな」 


 にわかには信じがたい進言だったが、実験を手伝っていた黒騎士にとっては、信用に足る情報だった。遥か上空にあがったリオが、クオと視界を共有することで、敵の襲来をいち早く察知する。

 

「(こんな方法、気乗りはしないんだが)」


 黒騎士はわずかにため息をつく。旅の仲間とはいえリオもクオもまだ子供。2人を仮面卿が仕掛ける戦いに、できれば参加させたくはなかった。


 だが、この方法を提案したのは、他ならぬ双子であった。2人とも、この目が戦いにおいて如何に有用かを直感で理解している。ケーシィの疑念の答えは、この双子の目にあった。


「その目、宛てにしているぞ」

「うん! 任せて! 」


 リオを連れ壁の中へと入っていく。簡素な通路と階段が備わっているが、外を見るにはのぞき窓ともいうべき細い縦穴が空いているだけで、内部はとても薄暗い。


「(そして、壁と壁の間には、さらに人が住んでいるというのだから驚きだな)」


 意識が別の方向に向き、ナットからもたらされた『スキマ街』の存在が頭をよぎる。今こうして壁を登っている最中でも、スキマ街に住む人々は、身を寄せ合って細々と暮らしている。


「(最初は、王城を囲むように壁があったんだろう。その王城の外に街ができて、その街をぐるりと囲むように壁ができ、さらに内部を区切る壁ができた。スキマはその時に生まれたとみるべきか)」


 建築様式を鑑みるに、最初から壁の存在があったとは考えにくく、場当たり的な建築を繰り返した結果の、いわば余白によって生まれたのがスキマ街であった。帝都と違い運河が通っておらず、下水設備も整っていないその街は、治安と衛生が限りなく悪い。


「(そんな人々が居る事を知ってなお、放置している帝都を憎む気持ちは、僕も分からないでもない)」


 仮面卿の思惑は未だ分からない。しかい彼がこの国を襲うためにアーリィを作らせたのは間違いない。壁を超えるための飛行能力が何よりの証だった。


「(でも、カリンは憎むより先に、共に変える事を選んだ)」


 階段を上り終えると、壁の頂上にたどり着く。地区の内部を一望できるその場所には、すでに2人のベイラーが鎮座している。


《遅かったですね》

「なんだ。機嫌が悪いのか」

《姫様の花嫁衣裳が見れなかったので、少し》

「それは僕も同じだ」

《―――! 》

「リク、一杯運んでくれてありがとうね」


 黄色い肌のリク。緑の肌のレイダ。ふたりはヨゾラによってあらかじめ壁の上に運ばれていた。レイダは人間が持つにはあまりに巨大で、ベイラーが持つにもギリギリな程度の、城塞を穿つための弓弩を、リクはその4つの腕にあふれんばかりの矢を抱えている。背中にも、また別の木箱を背負っている。中には、とある武器が収納されている。これもカリンが職人に用意させた物。


「それも持ってきたのか」

《―――! 》

「まぁ、使われない事を祈るよ。準備するぞ」


 2人はそれぞれ武器を突き刺し、空からくる脅威に備えた。鈍色に輝く鋼鉄製の弓矢が、無造作に地面から生えるその景色は、黒鉄の森であった。


「このくらいか。リク、装填頼んだぞ」

《―――! 》


 商人から買い付けられたその弓弩は、何十にも重なったバネ仕掛けであり、レイダの腕力では装填もままならない。単発式で連射は効かないが、ここに、力自慢のリクという装填手が居ることで話が変わってくる。


 レイダが一発撃つ間にリクが弓弩に矢を番え渡す。それをローテーションする事で、射程が長く、壁を粉砕できるような弓矢を、絶え間なく連射できる。


「もうそろそろ黒騎士にも見えるよ」

「よし、作戦開始だ。いけるなレイダ? 」

《仰せのままに》


 レイダに乗り込む黒騎士。空からくる編隊を目視したリオは、敵がいる方向を指さす。その先に弓弩を構えて狙いをつけている。あまりに大きく、肩に担ぐような形になった弓弩の先で。確かにアーリィベイラー達がこの城めがけ飛んできているのを目にする。


「……本当に居るぞ」

「居るって言ったじゃん! 」

「すまん」


 頭で理解していても、実際にその目で見るまでは腑に落ちていなかった。付け加えるようにリオが続ける。


「やっぱり、へんせいふうに乗ってきてる」

「リオ、お前偏西風(へんせいふう)知ってるのか? 」

「うん。渡り鳥が戻る時に使う奴でしょ? 」

「まぁ、大体あってる」

「アーリィも空に乗れるから、そうかなぁって」

「リオ、すごいな」

「ふつーだよ。ふつー」


 黒騎士は素直に賞賛した。偏西風。その字の通り、西に向かって吹く風の事である。星の自転による生じるその風は、ジェット気流とも呼ばれるほどに強く広い。アーリィ達はこの風を利用し帝都に向かってきていた。


「さて、始めるか」


 迫る15機のベイラー達にむけ、迎撃すべく、引き金に指を掛けた。



 時は現在に戻る。


 待ち伏せを受けた形になるケーシィは、相手のベイラーを観察する。


「よく見たら2人いる。何あの変なの」


 こちらを狙っていない、空からみれば、ひたすら謎の作業を繰り返している黄色いベイラーには、4本腕と4つ足がついてる。


「気色悪い」


 自分たちのベイラーに翼が生えている事を棚にあげての言葉だった。高度をさらにあげ、様子を観察する。


「サイクルショット……いや、こんな高度までショットが届くはずないじゃん」


 高度1000mの距離を埋められるほどの射程を可能にしたとしても、飛行中のベイラーに宛てられる人間がどれほどいるのか。


「どんな奴が乗ってるんだろ」

 

 緑のベイラーが肩に担ぐようにいて放ってくる弓は、耳をつんざく金切り音を挙げながら、正確にベイラーを撃ち落とそうとしてくる。


「ああ! もう! 面倒くさいなぁ! 」


 ケーシィは編隊を組むことを諦め、迷わずそのベイラー目掛け突撃を掛けた。高度を下げ、急降下していく。


「仕掛けてきたか」


 黒騎士はその行動を見て、狙いを定める。紫色のベイラーは、アーリィの強化型であり、黒騎士はその乗り手こそが、この編隊を組んだ隊長だと踏んでいた。


「だがまっすぐ突っ込んでくるとはな」


 凄まじい速度で突進してくる相手だが、しかし直線状の動きは至極読み易い。もはや狙いをつけるまでもなく、弓弩の引き金を引いた。何重ものバネ仕掛けでキリキリと巻き上がった弦が解き放たれる。その打ち出された鋼鉄の矢は、ザンアーリィに向けぐわんぐわんとしなりながら進んでいく。


 命中する。そう睨んでいた黒騎士の前で、ザンアーリィの目が紅く輝いた。


「かかったぁ! 」


 ケーシィが歯をむき出しながら笑う。同時に操縦桿を引き上げ、変形を行う。空中で、それも急制動を行いながらの可変。前方向に進んでいたサイクルジェットを後ろにむけ、一瞬ザンアーリィの体が失速する。直進していたはずの標的が突如として停止したために、打ち出された弓矢は当たる事なく城下へと落ちていく。


 加速度によってケーシィの体に自身の体重の何倍もの負荷がかかり、みしみしと体が軋みながら、それでも目論見が上手くいったことに笑いが止まらない。


「へっへっへぇ! それって一発ずつしか撃てないよねぇ!」

「なんだあのザンアーリィ!? 」


 その動きに、黒騎士も、そしてケーシィの部下も驚いていた。空中で失速し、コントロールを失うのは、手足を縛られたまま海に叩き落されるような物であり、その想像し易い恐怖は、想像し易いからこそ、彼らは骨身に染みている。故に、失速しないように。失速したとしても、すぐの平静を取り戻せるように何度も何度も訓練する。


 だが、ケーシィにとって、前提が違う。


 彼女は空に居る限り、落ちる事に恐怖を感じた事が()()。空を飛べた時点で、彼女はある種人生においての最高潮に達していた。落ちる事への恐怖。墜落してしまう事の恐怖。失速してしまう恐怖。それらすべてが欠落している。そもそも彼女は落ちる事は別段、恐ろしい事と捉えていない。飛んでいるであれば、落ちる事は必然であり、皆が怖がっているのが、ケーシィからしてみれば疑問であった。


 堕ちる事が怖いなら、そもそも飛ばなければいいのに。


 一度、このことをパームに話したところ、彼は何度か唸ったあと、『それを他の人間には言わないように』と釘を刺されていた。部下とケーシィの間に断絶が生まれるのは、パームにとっては面白くなかった。


「サイクル、ショットォ! 」


 ケーシィが空中で狙いをつける。相手は高所に居るとはいえ自分より低い位置におり、棒立ちである。狙い撃つまでもなく、適当に撃ち降ろせば当たる位置関係だった。


「(マズイ! 弓弩で両手がふさがってる!? )」


 必殺の一撃が躱された事で窮地に陥る黒騎士。レイダの両手はその、超重量の弓弩を支える事に使われており、とっさに防御することができない。


「レイダ! 弓弩を捨てろ! 」

《は、はい! 》


 黒騎士の指示に従い、肩に担いだ弓弩を捨てようとする。しかしそれも、やはりあまりに重たい弓弩を投げすてるにもひと呼吸必要だった。鋼鉄製の弓矢を打ち出す、同じく鋼鉄製かつ、内部にバネ仕掛けが仕込まれた、もはや兵器といって差し支えなく、やっと両手が開くころには、ケーシィはサイクルショットを放っていた。一瞬の攻防は、ケーシィに軍配が上がってしまう。


 だが、ここにはもう1人のベイラーがいる。


「リク! アレを使うよ! 」

《―――!! 》

 

 レイダの前に躍り出るリク。そして、背中に背負った木箱を、力任せにブチ壊し、中にある武器を取り出した。辺りに破片をまき散らしながらソレを構える。


「今さら何をする気だぁ! 」


 ケーシィは所かまわずサイクルショットを乱射する。当たればベイラーの手足を吹き飛ばす程度造作も無い威力。


 そのサイクルショットを、分厚い鋼が阻んだ。


「リク、それがお前の」

「うん! コレがリクの新しい力! 」


 リクは、力自慢であるが、細かな作業は苦手だった。他のベイラーと同じように道具を作っても、どうしても造りが荒く、構造も脆い。とても戦いに使えるレベルの物は作る事ができなかった。


 それを補うために、双子と考えたのは、皆を守る盾を持つ事。厚さ20cmはあろかという、分厚い鉄の大盾。タワーシールドと分類されるその盾を2枚。普通であれば、盾を2個も持てば、その重さと取り回しの悪さで身動きが取れなくなるが、リクであればそのハンデは一切ない。元々力に加え、腕は4本ある。


「黒騎士! バンバン撃っちゃって! 」 

「わ、分かった! 」


 盾を備えた2本の腕で、レイダを守り、残りの腕で装填を繰り返す。大盾により、防御は鉄壁の物となる。


「本当、頼もしくなったな」

「えへへ」


 敵を識別する高度な観測。仲間を守る頑強な盾。リオ、クオ、リクの三名は、もはやこの戦いにおいて無くてはならない存在であった。

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