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ベイラー、影と遭遇す

「リオ! クオ! まだいけるか!? 」

「大丈夫だけど、かけっこはリク得意じゃないよぉ! 」

「このままじゃ追いつかれちゃう! 」

《オルレイト様、これは一体》

「奴隷王の手先だろう。無理やりにでもリオ達を手に入れようと躍起になってる」


 リクを引き連れ、さきほどからずっと追われて続けている。ミーンを先頭とし、真ん中にリクを、殿をレイダが務めていた。現れた追手は、人間が3人と、ベイラーらしき物が1人、視界の端でちらちらと映っている。大通りにでてやり過ごそうとすると、3人のうちだ1人がいつの間にか前に回り込んでおり、先に進むことが叶わない。


「(人通りがないからレイダに人殺しをさせずに済んでるが、これは)」


 大通りに出れずに、裏道のような場所をさきほどから進まされている。人間を踏みつぶす心配はないものの。助けを呼ぶことも同時に不可能になっている。


「(それに気になるのはあのベイラーみたいなやつだ。なんだ? )」


 追いかけている人間の脚力にも下を巻いているが、それ以上に付かず離れずの距離を維持し続け、こちらを監視しているようなそぶりがある。


「(それともあれは追手じゃないのか)」


 さまざまな憶測が頭をよぎるが、今はともかくカリン達と合流すべく移動をするのが先決だった。ましてや一緒にいるリクは龍石旅団の中で一番足が遅い。後ろの控えているベイラーらしきものに詰められれば逃げる術がなくなる。


「合流場所まであとどれくらいだ! 」

「道が違うけど、方向はあってる! このまま進んで右にいけば―――」


 先導するミーンが突如としてブレーキを掛けた。リクはとっさに両腕を地面にたたきつけ、急制動を行う。一番後ろにいたレイダは、止まるには距離が足りないと判断し、リクを追い越すように飛び上がった。リクの背を超え、ミーンの隣に着地する。突然の行動にオルレイトが苦言を呈した。


「いきなり止まるな! あぶないだろ」

「道がない」

「何? 」


 オルレイトがナットの言葉を聞き、前を向いたことでその事実に気が付く。目の前には分厚い壁があり、それはこの街と外周と変わらない高さをもっている。周りには家屋のようなものはなく、裏道のさらに奥まった場所であることがわかった。


「図られた!! 」

「オルレイト! 戻ろう! いまならまだ」


 ナットの提案に乗る暇もなく、頭上から三人の追手が降ってくる。三人ともレイダやミーンには目もくれず、リクのコクピットへと取り付いた。


「うあぁ!? なんか来たぁ!? 」

「リク! 追い払って! 」


 真夏に蚊に襲われたように手で振り払う。だが彼らはそんなリクの攻撃をするするとかいくぐっていく。


「なんであたんないのぉ! 」


 リオがおもわずこぼした。しかし追手はその言葉に答えることなく、リクの中にいる双子を誘拐するべく準備し始める。腰から長細い筒を取り出したかと思えば、その中の液体をたらしていく。


「クラシルスの煮汁!? まずい! 」


 クラシルス。どこの海でも採れるなんら変哲もない海藻。味も良いわけではなく、漁師の間で網にかかって邪魔物扱いされるこの海藻は、煮だすことで出る液体に特別な効果を持つ。


 その液体は、通常ベイラーのコックピットの中に入るに必要なベイラー側の許可を得ることなく、ズカズカと入り込むことできるようになる。


「わわわ!? 」

「あっちいけぇ! 」

 

 この時、追手の顔をはじめてみたリオとクオ。得たいの知らない相手に恐怖心を抱くと同時に、その顔もまた印象に残った。


「なんか、へん」


 彼らの目には、およそ生気というものがなかった。体中に見える傷痕。その傷は古い物からまだ完治しきってないものまであるのか、この逃走劇で傷口が開いており、服の上からでもわかるほどに血が滲んでいる。彼らが一体どんな境遇なのか。一瞬そちらに意識が向いてしまった。


「かわいそう」


 リオが、その言葉にたどり着くのに時間はかからなかった。追手はその言葉を聞き、ただ一言返した。青年の声だった。


「恨むなよ」


 リオとクオの胸元をつかみ、引き上げる。しょせん子供の力では振りほどくこともできず、リクの中から2人はいとも簡単に引っ張り出された。 


「これで仕事は終わり―――」

 

 青年は仕事を終えたことでほんのわずかに気が緩んだ。その瞬間、両手の甲に、それぞれ一回ずづ、鋭い剣が穿たれる。赤な血がリクのコックピットの腕で流れ出ていき、青年は悲鳴を上げる暇もなく、ただ痛みでうずくまった。


「次は、心臓を貫くぞ」


 レイダから降りたオルレイトが、剣を用いて青年の両手を指し貫いていた。すでに青年以外の2人の追手も同じように足を貫いており、すでに地面に落ち、悶えて動けなくなっている。突如拘束を解かれた双子はそのまま落下するように、リクのコクピットへと収まっていった。


「詮索はしないでおいてやる。だから今すぐここから去れ」

「……このまま、おめおめと帰れない」

「その怪我で何ができる! はやく帰れ! 医者にみせればまだ! 」

「そんな事ができれば、こんなことはしていない」


 青年の目は、まっすぐオルレイトを見返す。手傷を負わせたとはいえ、オルレイトの攻撃は急所を外している。命を奪うまでには至っていない。


「どうせ医者にかかる金もない……両手がこれじゃ盗みもできないな」

「おい、お前」

「まぁ、しょうがない」


 青年は、その血まみれの手で懐から包み紙を取り出す。その包み紙はオルレイトもよく知る、薬をおもに仕舞っておくものだ。だがその薬はほとんどは飲み薬で、両手を怪我した彼が使うようなものではない。

 

「はやまるな! 」


 オルレイトの脳裏によぎる、自決という言葉。人間を殺す毒などいくらでもある。おもわずそれを止めようと青年に近寄った。


「ここでは、お前のようなやつから死ぬのさ」


 生気のない青年の、その無表情の顔のままで宣告される。靴の底に、バネ仕掛けで飛び出たナイフが光り、そのまま無造作にオルレイトの腹に突き刺さった。

 

 暗器。それは人に如何に武器と認識されずに用いるか。暗殺、闇討ちに特化した武器である。


 青年よりあきらかに多い血の量がオルレイトの腹から流れ出る。足に力が入らず、こんどはオルレイト自身がリクのコクピットから落ちていった。


《坊や!? 》


 レイダが狼狽えながらも受け止める。脇腹に深くささった傷からはどくどくと血が溢れていく。いますぐ処置をしなければ、オルレイトの命はない。


「そいつ、いいやつだな」

《貴方に、何がわかる! 》

「この手にかかるのは、いいやつなんだ」


 ぱらりと、包み紙が落ちる。その包には薬どころか、なにも入っていないただの空袋だった。


「仕事をこなすか」

《―――ッ!!》


 リクが、怒りにまかせて両手をブンブンとふりまわす。青年はその動きを冷静に対処し、ふたたびクラシルスの煮汁をたらしていく。両腕が入れるようになるを確認し、引っ張り上げようとしたその時、リクが青年をつまむようにして持ち上げた


「へぇ。器用だ」

《いいぞリク! そのままひっぺがせ! 》

「……しょうがない、使うか」


 青年は血みどろになった手を口にあて、静かに指笛を鳴らした。ピューイと間の抜ける音が裏路地に響く。


《ベイラーを呼んだ? でもどこから? 》

「ッツ! ミーン! 上!! 」

 

 動くより先に、上からくる物体が襲い掛かった。両足でミーンを踏みつぶすように着地する。


「こいつ! どこから!? 」

《ナット! 今レイダは動けないよ!》


 上から、ベイラーが襲ってきたのは理解できた。ナットのように全身を外套(マント)でおおっており、さらに頭巾(フード)までついている。全身をすっぽりと収めたその姿はまるで地面から延びた影に見えた。


 青年はそれに乗り込むと、両目がまっすぐリクを向いた。


「あんなやつ! 」

「リク! やっつけろ!! 」


 両腕をふりあげ、前に進もうとしたとき、それ以上腕が動かないことに気がついた。何事かと目をやれば、全力で振り上げた拳が壁にぶつかった。裏路地の狭い壁のなかで、リクの巨体は大きな動きができないことをこの土壇場で気づく。


「「ひっかかった!? 」」

「捕まらなきゃ、殺していいっていわれてる。ジョウ。アレをやるぞ」

《了解。フランツ》


 頭巾をかぶった、ジョウと呼ばれたベイラーが青年の声に応える。同時にベイラーの目が、怪しく赤く光った。ベイラーが赤目になる。それは乗り手の意思とベイラーの意思が重なることでしか起きない現象。


「”恐れよ、敬え。われら獣の愚かを超えるべく血を集めよう”」


 青年が、詩を口ずさむ。彼の心の寄る辺である。


「”大皿に血を集め捧げよう、人が人であるために”」


 詩の一辺を歌い終え、ベイラーが動く。ずっと外套(マント)で隠れていた腕がようやく表れた。だがその腕は、ただの腕と違っている。


「へへーん! そんな細い腕でリクが負けるわけ……わけ…‥」 


 外套(マント)から出てきたのはただの腕ではかった。まず手がない。肘から先に、代わりに螺旋状に長く伸びる円錐がある。身もふたもない言い方をすれば、巨大なドリルである。


「サイクル・ドリル」

《突貫》


 外套(マント)の下には、何者をも穿ち貫く武器を隠し持っていた。ドリルは高速で回転し、それを突き出してなんの策もなく突進してくる。避ければそれでおしまいである。


「お姉ちゃん! あれ当たったらダメだと思う! 」

「うん! そんな気がする! 」


 双子はドリルがどんな道具なのかは知らない。だがその攻撃は明確に2人を狙っている事。威力がすさまじい事を、狩人の娘としての勘が告げていた。


「(道が狭くて避けられない!? )」


 しかしその勘に従いリオが避けようとしたとき、この立地で突撃がどれだけ恐ろしいかを理解した。真正面から轟音を鳴らして迫る突進。避けることかなわず、さらに傍には怪我をしたオルレイト。振り上げたこぶしはまだ引っかかって取れていない。


「お姉ちゃん!! 」

「クオ! 伏せて!! 」

《---ッツ! 》


 リオは、その場でせめてすこしでもダメージをリクも、体をよじり、コクピットへの直撃だけは避けようとする。


「(無駄だ。どうせ全部巻き込んでバラバラにしてやる)」


 突進を行ったフランツが、相手が目論見通りに動いていくことに気をよくしている。


 なお、円錐状のドリルは、現代ではステップドリルビットと呼ばれる物しかない。そのドリルも、それぞれ段差ごとに分かれて任意の位置で止めることで、あけたい穴の大きさを調節するための物。けして貫通させるのが用途ではない。


 ならば円錐状のドリルは意味がないのかと言えばそうではない。


 ことフランツのあやつるこのベイラー。ジョウは違っている。彼の右腕は、サイクルの回転がそのままドリルの回転と同じになっている。っそいてその刃は、サイクルを回すたびに新しく生み出され続ける。その螺旋状に高速で回るソレは、つまりもっとも切れ味がある状態を維持し続ける事でもある。それを強引に相手に押しつける突進攻撃、その破壊力は、もはや外連と笑い飛ばすことはできない。ベイラーを粉砕するに値する爆発的な破壊力である。一撃でも体に穿たれれば、()()()()()()()()()()()()()

 

「……なんだ? 」


 ゆえに、突然目の前に現れた白い壁がドリルを防いだ時、おもわず間抜けな声をあげた。


《レイダさん! やっと追いついた! 》

《コウ様! 》

「説明はあとでいいわ! 今はこいつらをどうにかするわよ! 」

「サイクル・ドリルで貫けない? なんだこの壁」


 ベイラー・ジョウのサイクルドリルは壁を穿ち続けている。だかが、それはコウも同じ。


「手加減してる暇はないわね! いくわよコウ! 」

《おまかせあれ》

「《サイクル・リ・サイクル!! 》」


 コウの体から緑の炎がほとばしる。同時に、サイクルシールドを生み出し続けた。


《同列》

「お前の右腕と同じか」

《カリン、こいつ》

「ええ、新しく作りつづけてる! 」


 砕け散っても新たに生えるシールド。刃がこぼれても新たに生み出されるドリル。双方とも性質はとてもよく似ている。


「でも! 」

《負ける訳がない!! 》

 

 であるならば、勝負を分けるのはサイクルを生やす速度。そしてコウは、その速度にはなによりも自身と自負があった。やがてそれは事実として戦いに影響を及ぼす。ドリルはコウの作り出すシールルドに押し負け、その先端から再生が追いつかなくなる。


「……こんなやつがいるのか」

《撤退》

「だな。この話を話すだけでもちがうか」


 フランツとジョウの判断はあっさりしたものだった。自分たち不利と分かるや否や、攻勢をやめ、残り2人を担ぎだし、その場から立ち去っていく。


「いいやつには、いいやつがあつまるのか」


 レイダの手の中でうずくまるオルレイトを見ながら、そのぼやきは誰に聞かせるでもなくつぶやかれ、やがてフランツと共に空へと消えた。更なる反撃を予想していたコウにとってこれはおもわぬ展開であり、燃え上がった炎がしばし行き場を無くす。

 

「あの引き際、妙ね」

《とりあえず合流できたからいいとしよう》

「そうね……レイダ? 」

《コウ様、サイクル・リ・サイクルを、お願いします! 》

《まさか、オルレイト、怪我をしてるのか》


 レイダの手のひらで、ポタポタと血が滴っているオルレイトがそこに居る。その姿をみるやいなや、すぐさま右手をかざし、炎をゆっくり浴びせていく。


「《サイクル・リ・サイクル》」

「……オルオル、大丈夫? 」

「コウが治してくれる。だいじょうぶさ 」


 立ち上がったミーンの中からナットが声を掛ける。まだいつ襲われるかもわからないため、ある程度周りを警戒していた。やがて炎が収まっていくと、腹の傷がふさがったオルレイトが起き上がる。


「この炎は……コウか」

《どこか、痛むところはある? 》

「いや、大丈夫だ……まんまとだまし討ちを受けた」

「オル。アレは一体」

「ああ、おそらくは……」


 オルレイトはカリンに、奴隷王ライカンの事を話した。そしてそのライカンが双子を手に入れようとしていたこと。今の追手はそのライカンが放ったことであろう事。


「まさかあんなベイラーが配下にいるとは思わなかった」

「しゃべっていたわね。アーリィとは違う、という事なのかしら」

「たぶんな。あの妙な右腕もベイラー生まれつきのものだろう。ミーンと同じだ」

「ライカン……確か剣聖選抜にも名が挙がっていたわね」

「それについても妙な事をいってた。ライカン自身が出場するらしい」

「ということは、腕に覚えがあるのかしら」

「ライカンの一族はずっと商人だ。剣どころかペンより重いものをもったことがあるかどうか」

「何か策でもあるのかしら」

《決闘に策もなにもあるかなぁ》

「……リク? どうしたの? さっきから動かないで」


 オルレイトの無事を喜ぼうとした束の間に、リクが引っかかった拳を引き抜こうとなんども地面を踏みしてている。地団駄を踏むような姿にも見えるが、本人からしてみれば大真面目な動作である。だんだんだんと連続して足を踏みしめ、やっとの思いで拳を抜き取った後には、リクの足跡がこの路地裏に深く刻まれていた。


「リク、おつかれさまー」

「もう狭いとこやだねぇ」

《―――! 》


 おおむね双子の意見はリクも同じであり、もし次があればこうはいかないと意気込んでいた。


 ―――足元に、自ら踏み込んださいにできた地面のヒビが広がっていくのは同時であった。 

 

「これヤバいだろ!? レイダ! 」

《はい! 》


 急いでレイダに乗り込むオルレイト。そのとっさの判断が彼の命を救った。突如として彼らをいままで支えていたはずの床がぬけ、一同暗闇の中へと真っ逆さまに落ちていく。


《まずい、崩れる!? 》

「コウ! みんなを! 」

《リク! ミーンを頼んだ! 》


 レイダとリクをコウがつかみ、ミーンをリクが掴む。さきほどくすぶっていた炎がその力を発揮する場所をえてさらに燃え盛る。


「コウ、ゆっくりよ、ゆっくり」

《なんとかする! 》


 肩、ふくらはぎ、そして4対2組の翼を最大限利用し、真っ逆さまへと落ちていく状態から、かろうじて全員がお横並びになるポジションまで変更できた。


「コウ! 」

《俺が何度墜落したと思ってる! 》


 炎はコウの体を中心に大の字にひろがっていき、ミーンを含めた他3名のベイラーを安全に着地させるべく推力をあげていく。コウの推力であれば、このまま地上に飛び出すとも可能ではあるが、共に落ちてくる落石を3人抱えながら超えていくには無理があった。


 ゆえに、墜落にならない程度の落下速度に抑え、3人をゆっくりと降り立たせる。


《……存外深いな》

「帝都の地下、かしら」

《カリン、明りを》

「ええ」


  コックピットの中から、図らずともネイラの遺品となったランプを取り出す。スイッチ一つであかりがつく優れものであり、カリンがこの落下地点を照らす。


「……地面の中に川があるわ」

《もしかしてここ、下水道か》

「下水? 」

《まぁあとで話すよ。出口を探そう……上に上がるのはちょっと無理そうだ》

「おやぁ、迷い人だ。しかも旅木まで一緒とは」


 川の中から声が聞こえ、おもわずランプをそちらに向けた。川から半分だけ顔を出し、こちらをじっと覗き込んでいた。


「人が住んでるの? いったいここは」

「『どんなところなの?』か。まぁ関わり合いたくないんだが……なんか懐かしい匂いがするな」

《カリン! 今のって! 》


 カリンの言葉を、この顔だけ半分だした謎の人物は言い当てて見せた。それはカリンの心を覗き込み、先に話す言葉をしゃべって見せた。この芸当ができる種族を、彼らは知っている。


《まさか、シラヴァースなのか》

「おや? おやおや? 同族を知ってるのかい? 」

「ええ。サーラの海で」

「あの海か……なつかしいねぇ」


 頭の半分だけだしていた彼女が立ち上がった。全長は3.4m。人よりも大きな体躯をしており、そのほとんどは下半身で構成されている。鱗はなく、イルカやクジラのようななめらかな肌。そしてよくとおる声。


「わたしゃナガラのクワトロンで通ってる。地上に出たいんだろう? こっちだよ」


 クワトロンと名乗った半魚人のシラヴァースは、コウ達を先導するようにゆっくりと泳ぎだした。シラヴァースが本気で泳げば、人やベイラーで追いつけるはずもない。それをしないという事は、すくなくとも敵意はないのだと信じ、彼らはその先導にしたがって歩いて行く。


 帝都の地下深くでの、思いがけない出会いであった。




ご覧いただきありがとうございました


先日、第1話から4話までの改定が終わりました。お時間あるときに、ぜひ読み返していただけると幸いです。

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