ドッグファイトベイラー
「美味しい」
「姫様、ジャムは作れませんでしたが、クリームを作ってみました。これも如何ですか? 」
「ありがとう。いただくわ」
龍石旅団が全員集まって、テーブルを囲みお茶をしている。他のベイラーは中に入れないため、館の外で思い思いに過ごしているが、カリンとマイヤのベイラーだけは、近くに居なかった。
「コウの空の散歩、というかあれはむしろ訓練か。アレ大丈夫なのか? 」
「それが、ヨゾラったら張り切ってまして」
「アーリィ・ベイラーと一緒になったとはいえ、どうなんだカリン」
「ふが(何が? )」
「……別に取ったりしないからゆっくり食べてくれ」
「ごめんあそばせ」
カリンがマイヤ手製の菓子を堪能している最中、コウは現在、ヨゾラと散歩という名の飛行訓練をしている。訓練とは名ばかりで、実際はヨゾラがコウの事を完全に手玉にとって遊んでいる。
「人の形から鳥の形に変わるのはずいぶん大変そうだが」
「コウが言っていたけど、『ヒコウキ』って乗り物そっくりだから大丈夫だって」
「ヒコウキ? 」
「コウの世界で空を飛ぶ乗り物。いろいろな種類があるそうよ」
「それはあれか。分類の名前が「ひこうき」なわけだ」
「ええ。ひこうきの中でも、特に早く飛ぶのを「セントウキ」というんですって」
「セントウ……戦闘か。コウの世界でも争いがあるのか」
「そうみたい。コウはとても平和な国に住んでいたらしいけど」
マイヤのお菓子も一通り楽しみ、お茶を飲もうとしてふと思い出す。
「コウの世界って実はけっこう進んでいるのかも」
「なんだ。全然知らないのか? 」
「知らないというより、分からないのよ……理解できないというか」
「理解できない? 」
「コウは、鉄と石でできた家の多い街で、その街では大きな箱が乗り物があって、コウはそれに良く乗っていて」
「ちょ、ちょっとまってくれ。なんだそれ」
「なにって、私がコウとたまに共有する景色を例えるなら、そう言うしかないの」
「石と、鉄? わざわざ家を鉄で作るのですか? 」
「わざわざ作るんですってよ」
「はぁ……たしか、コウ様の世界にはベイラーはいないのでしょう? またずいぶん手間のかかる事をなさるのですね」
マイヤとオルレイトがそれぞれ景色を思い描く。カリンの言っているのはビルと電車のことであるが、この世界にはどちらもそれはない。さらには彼らの中で鉄の使い方はあくまで鋳造で一つの品を作る方法しかない。部品をつくり、つなぎ合わせて鎧にするように、家も同じように作るというのはとても非効率に思えた。同じ手間で、木をつかった家なら暖かく、大きく作ることができる。ゲレーンの森は人の何倍も大きい。
コウの話に興味がでたのか、双子が目を輝かせて尋ねる。
「姫様! コウの世界ってほかにはどんなのがあるの!? 」
「ボアボアは!? いるの!? 」
「それがね、動物はずいぶん小さいらしいの」
「小さい? どのくらい? 」
「ええと……キールボアみたいなのは、大人でもこのくらいだってコウが」
カリンが自分の腰より低めの高さを示し、双子が首を同時にひねった。
「それ、リオよりちいさいよ? 」
「弱そう」
「大丈夫かそれ。コウ達の住人ってじつはとても小さいとか」
「コウがいうには、私達の世界の動物が大きすぎるんだって。キルクイみたいなのもいるらしいけど、こんなものよ」
人差し指と親指で5cm幅の大きさを示す、バッタでそれだけあれば大きいほうだが、25cm以上の生物を普段目にしている彼らにとって、それはもはや虫の範疇になかった。
「コウの世界って不思議だねぇ」
「ねぇ、姫様、コウの世界にも狩人っているのかな」
「数は少ないけど、居るみたいよ。コウの知り合いにはいないみたいだけど」
「狩人が少ない? なら森はないのか? 」
「コウの住んでる場所にはなくって、ああ、でも川はあるみたい」
「なら、魚をとってたべてたのか? 」
「うーん。どうもそうじゃないみたいなの」
「なんだそれ?? 」
質問攻めにされるカリン。おもわずうんうん唸りながら、言葉をひねり出す。
「(そういえば、コウの事をみんなに話したこと、あったかしら)」
カリンは普段コウと意識を視界を共有している。コウの考えることはカリンに筒抜けであり、コウが自分の世界について想えば、その風景も目にすることができる。だがその風景がカリンの世界や常識とあまりにかけはなれ、伝えることは非常に難しい。
「もうちょっと、コウから話を聞いておけばよかったわ」
「川があるのに魚を取ってないってことなのか? ならコウは何を食べてた? 」
「……ミルフィーユ? 」
「これか!? コウの世界にもあるのか!? 」
「ああ! もう! ちゃんと説明するから!! 」
「オルオルうるさーい! 」
「姫様の邪魔しないで! 」
「……すまん」
話を聞けば聞くほどオルレイトの質問が増えていき、話が全く進まない。カリンも自分の理解を超えたものを説明しているため時間がかかる。ついには双子が痺れをきらしてオルレイトを叱った。隣で菓子をつまむサマナが付け加える。
「ちなみに、カリンの言ってることは大体事実。話を大きくしたりしてない」
「もう! サマナまで!! ってそんなことまでわかるの? 」
「嘘をつくと本人に流れができるんだ。それが今カリンの周りにはない」
「へぇ。そうなの」
「なんだ。カリンは嘘をつく予定があるのか? 」
「ないわよ! 」
「姫様、僕も気になる。コウの世界のこと」
「もうナットまで。わかったから……マイヤ、お茶のお代わりをくださる? 喉乾いちゃった」
「はいただいま」
ゆるやかに流れる時間の中で、どこから、どんなことを話そうか。
「(きっと夜までかかてしまいそうね)」
切り上げ時を間違えると晩御飯が食べれなくなる。そんなことを想いながら、お茶のお代わりを待った。
◇
《アハハ!! コッチダヨー!! 》
《こ、このぉ!! 》
一方。コウとヨゾラは、4丁目の空を文字通り飛び回っている。お互いに飛行形態となっているが、悠々自適に空を他の住むヨゾラと比べ、コウが必死の形相で追いかけいる図になっていた。ヨゾラは、同じ空を飛び回る仲間ができた事を喜んでいる。砂漠に来てからというもの、空を飛ぶ機会は戦いの中でしかなく、こうして自由に時間の許す限り遊ぶように飛ぶのは得難い体験だった。
《コウガ、ウシロニ、イル! 》
《本当は隣にいきたいんだけど、な!! 》
コウが加速をかけて追いかける。しかし、するりとヨゾラはその視界から消え、いつのまにか遥か彼方か、もしくは自分の上か、もしくは下へと移動している。
《(なんでだ!? さっきから目の前にいたはずのヨゾラが、気が付くといつもいなくなってる! 俺が追い越してるのか? )》
そして今まさに、コウよりはるか上空に悠々と飛行しているヨゾラを見つける。
《今度こそ!! 》
コウの翼の端がわずかに開く。2対4枚の翼に炎が纏われ、一気に加速していく。高度はぐんぐん上がり、ヨゾラとの差が詰まっていく。
《ワーキター!! 》
ヨゾラは心底楽しそうな声をあげながら、その舵を進行方向から左下に切る。コウも追いかけるようにして左下に傾いていく。
《まだまだぁ!! 》
傾きながらコウがさらに加速していく。炎はそれに応えるように激しく燃え盛り、コウを前へ前へと押し上げた。
《(加速も、最高速度も負けてないはず。なのに! )》
もう何度目かになるヨゾラの真後ろの姿。人になり切れないアーリィベイラーの試作品として作られた彼の体は真横からみるととても薄い。二つのサイクルジェットが怪しく光る。その光を何度も見ておきながら。それでも。
《(なんで俺は、ヨゾラの前に出れない!? )》
すでに昼を超えてからずっと2人は飛び回っている。無論途中で着陸し、休憩のようなことをするが、それもヨゾラが速く早くとせがむ為とても短い。コウは、カリンがコクピットにいないことを何より安堵している。
《胃の中なくなっちゃうだろ。こんなことしてたら》
急旋回急降下急上昇。何度もなんども繰り返している。もしコクピットの中に人がいたらとおもうとぞっとする挙動ばかりしていた。
《それでも追いつけない!! 》
《コウー》
《なんだー!! 》
ヨゾラがふと声をかけてきた。距離はさらに詰まり、もう少しというところで追い抜ける。そんな距離まで来ていたが、突如としてヨゾラが減速し始める。
《な!? 》
《ハヤクシナイトブツカルヨ! 》
《あっぶな!? 》
減速してきたヨゾラを、軸回転、いわゆるバレルロールで回避する。間一髪の挙動で激突だけは避けることができ、さらには、ヨゾラを追い越した喜びをコウは噛みしめた。
《やった! 追い越し―――》
噛みしめた、はずだった。
しかし、視界に映る景色がコウの高揚感を一気に消し去る。ヨゾラは、先ほど左下、つまり旋回しながら降下していた。追いかけているコウも同じように降下している。螺旋のようにぐるぐる回るようにして下っていったならば、当然の帰結としてコウとヨゾラは地面へと向かっている。
ヨゾラは順当に減速し、上空へと免れる。しかしコウは追いかけることに頭がいっぱいで、自分が降下している事に気が付かなかった。
《コウ!! ゲンソク!! ツバサヲツカッテ!! 》
《(駄目だ! 間に合わない!! )》
何もしなければ、そのまま地面へと激突するコースを取っている。先ほどまで最高速度に達することしか考えていなかったコウの状態では、すでに減速できる距離になかった。減速できたとしても、再上昇するまでの時間もない。
《コウ!! 》
ヨゾラは、自分がはしゃぎすぎてしまった事を後悔した。コウはまだあの形態に慣れておらず、しかし自分を必死に追いかけてくれるコウがうれしく、同時に自分ひとりでどこまでできるか試してみたくなった。そして自分が思ったより、空を自在に飛べることができることがとてもうれしかった。
しかし今、そのせいでコウが危ない目に合っている。
《コウ! ゲンソク、シテ!!》
自分はすでに減速してしまい、コウの元に行くことはできない。それがどうしても、もどかしかった。空が不自由だと初めて感じた。
《減速……いや! 》
だが、この状況で、コウは減速しなかった。
《コウ!! 》
《心配するな! たぶんできる!! 》
《タブン!? 》
速度を維持し、機種だけ地面と平行になるようにできる限り引き上げる。目の前にぐんぐん迫る地面に恐怖心が煽られる。
《(駄目だ! 今さら減速したらそれこそ元にもどれない!! なら! )》
このまま減速するよりはと、コウが覚悟を決める。ここでつまらない怪我を負いたく無いというもあったが、ここで墜落すれば、せっかくヨゾラが楽しく空を飛んでいるのに、その気分を、その想い出を悪い物にしてしまう。それは、それだけは、絶対に避けたかった。
《コウ! ブツカル!! 》
《うぉおおおお!! 》
恐怖心を少しでも緩和させようと本能的に叫び声が出た。その瞬間。
コウが飛行形態から変形し、人型へと変わる。両足を投げ出すように前へと放り投げて、砂漠にたいしてできうる限り平行に着地するように角度を調節する。
《(ダメ! アノハヤサダト! コウガコワレル!! )》
ヨゾラが、コウの取ったその行動を恨んだ。
人型となって無理やり着地する。その技法を試した人間は確かにいた。だがそれはあくまで十分な減速ができた場合に限る。今のコウは最高速度に達しようとしている速度であり、そのまま着地するのは、地面にむけて自分から衝突しに行くようなものであった。
そしてヨゾラは、同じように壊れて空が飛べなくなった仲間達を知っていた。
《コウガ、コウガコワレチャウ!! 》
それは絶対に嫌だと、ヨゾラが下降しようとしたとき、コウが叫んだ。
《来るな!! 》
《デモ! 》
ヨゾラが向かうのをコウが制する。
《なんとか、する! 》
地面はすでに目の前。着陸するには速度が速すぎる。
《(アア! マイヤニ、ナンテイエバ!! )》
すでにヨゾラは、マイヤになんて謝ればいいのか考え始めた。子供がかけっこで膝を怪我したのとはわけが違う。今まさにコウがバラバラに砕け散ってしまう。なんていえば良いのだろう考えている中で、すでにコウが地面に激突しそうな、まさにその瞬間だった。
《いけぇえええええ!! 》
サイクルジェットを調節し、片足だけで、砂漠に着地する、だがあくまで着陸はしない。地面に平行になって飛びながら、足だけ砂漠につけている。
タッチ&ゴーという飛行操縦士の技能がある。飛行機を着陸させたのちに、素早く離陸させる操作であり、飛行機を操るパイロットの訓練科目のひとつにもなる重要かつ高度な技能である。滑走路の状態が悪く機体が静止できない場合や、飛行機が横風に煽られ、安全な着陸ができない場合などに用い、もう一度着陸を試みるべく、行われることがある。
コウはその技巧の存在を知っていた。頭の片隅に残っていたその技巧をこの緊急時に無意識に選び取り、自分の体に合うようにアレンジして実行して見せた。
《ガ、ァアア!!?? 》
足に衝撃が走る。砂漠に一条の跡をわずかに残しながら、足一本の力を振り絞り、ぽんと蹴り上げる。同時に、体を飛行形態へと変形させた。4枚の翼が展開したとき、炎がコウを包む。
《とべぇぇえ!! 》
そして砂を一気に巻き上げながら、コウは空へと舞い戻った。
一連の動きをみていたヨゾラ。その隣へと体を寄せるコウ。2人の間にサイクルジェットの音だけが響いている。思わずヨゾラが先に声をかけた。
《コウ! ネェ!! ダイジョウブ!! 》
《……あちゃぁー》
《ヤッパリ、ドコカ、コワレタノ!? 》
ヨゾラの声が今日一番、泣きそうな声で問いかける。だがコウはヨゾラの心配をよそに、きょとんとしていた。
《さっき衝撃で膝が割れた。片足がプラプラする》
《ホカニハ!? マダトベルノ!? モドルレ!? 》
《飛べるって? 》
《ツバサガ、ワレテタリシナイ? トベル? 》
ヨゾラは、コウが他の仲間と、あの孤島のアジトで捨てられた自分や他の仲間のように、飛べなくなっていないか不安で仕方なかった。今も、コウが何をしたのか全く分かっていない。だが何か無茶をしたのだとは理解していた。
《大丈夫だよヨゾラ》
《ホント? 》
《本当だ。それにほら》
コウがその体を左右に揺らす。炎をまとった翼が揺らめいて光る。いつのまにか太陽は傾きはじめ夕日が顔をのぞかせていた。
《今日、初めてとなりに並んだぞ》
《……ソッカ》
《ヨゾラ、早いなぁ》
《ハヤイ? 》
《まったく追いつけなかった》
《……ソレ、タブンチガウ》
《違う? 》
ヨゾラはコウの周りをロールしながら続けた。
《コウ、オオマワリ、シテル》
《大回り? 》
《ミテテ》
ヨゾラが加速し、コウの前へと出る。
《イマカラ、コウノ、ウシロニ、イク。マッスグトンデテ》
《わかった。速度落とそうか?》
《ダイジョウブ。オイツク》
《わかったわかった》
ヨゾラの言葉を守り、速度を保ちつつまっすぐ飛ぶ。するとヨゾラはそのまま体を地面に対して水平にしたまま加速していく。コウの視界でもたしかにぐるりとおおきく回ったあと、背後についたのが音で分かった。
《イマノガ、コウノトビカタ》
《……なぁんか変だ。わかんないけど》
《ツギ。ヨゾラノトビカタ》
もう一度ヨゾラが前に出る。その時。
ヨゾラは体を地面に対して垂直になるように倒し、そのまま機首を上に、コウから見れば横に倒す。次の瞬間、板ペラが風に舞い上がったかのように勢いよくヨゾラが後ろへと流れていった
先ほどとは比べ物にならいほど早く、一瞬でコウの後ろにつくヨゾラ。
《(今のだ! 今のを何度もやられていつの間にか目の前に居ない!! )》
ヨゾラが自然と行っていた飛行こそ、現代戦闘機で行われるマニューバのソレであった。戦闘機同士のドッグファイトで行われる高度な飛行方法である。
《ヨゾラノ、トビカタ、ミタ? 》
《見た!! 》
《……デキソウ? 》
《わからん!! 》
目の前でまざまざと見せつけられた高度なマニューバ。 しかしそれができる気がしない。理由は自分が空を飛んでいる姿勢にあった。
《(俺の頭の中で、今、この姿はそのまま走ってる姿と同じなんだよなぁ)》
今、コウの姿は飛行機のソレだが、体感として体は走っているのと同じ感覚だった。ヨゾラを追いかけている最中もずっと自分は空を脚で走っているような、そんな感覚。
《(前はサイクルジェットの推力をそれぞれ調節してたけど、今、それは自分の体の一部で調節っていうより、力を入れるか入れないかのオンオフの切り替えだけになった。便利なんだけど……)》
コウと体はアーリィベイラーと融合してできている。欠けた体をお互いが補い合ってできたその姿は、アーリィとも違う別の物。
《(自分の意思で変形はできる。この感じは、自転車に乗れない自分が想像できないのと同じだ。たぶん、これも認識なんだなぁ)》
《コウ? 》
《ああ、悪い》
《コウ、ノリテガイタラ、マタ、カワルトオモウ》
《乗り手、カリンか。カリンが乗って飛んでみればまた違うのかな》
飛び続ける最中、眼下に4丁目が見えてくる。長いドックファイトのせいで離れすぎていた彼らがもどりつつあった。
《ネェ、コウ》
《ん? 》
《マタ、アソンデクレル? 》
その声色は、どこかびくびくしていて、まるで怒られるのを待っている子供のように、か細かった。また自分のせいでコウが壊れそうになってしまったら。今回は運よくなんとなかったが、またコウが危なくなったらどうしよう。そんな不安が見え隠れしていた。
そんなヨゾラを安心させるように、ゆっくりと、大きな声で話す。
《ああ。また遊んでくれ》
《―――ウン!!》
一番元気な声で、ヨゾラが返した。不安の影はもう見えない。
《さて、夜になる前に帰ろう。》
《ア! ヒカッタ!! 》
《ああ。みんなも呼んでる》
《ウン! 》
4丁目の一番大きく長い道に、ぽつぽつと明りが付き始める。
コウやヨゾラのために用意された特製の滑走路である。荒れ果てた道を整地する際に、カリンの鶴の一声で出来上がった区画。その両端には灯りが等間隔に備えられ、空高く飛び上がっていてもしっかりと見えるように工夫されている。
やがて、2人はその道にむけゆっくりと降下していく。
《……あ。膝割れてるんだった》
《ア》
《まぁなんとかなるさ!! 》
《エー》
結局、コウは着陸の際に膝から下を壊し、滑るようにして着陸した。ほとんど墜落と同じだった。そしてコウは3日間の飛行禁止令が言い渡される。
「飛び方より降り方を習いなさい!! 」とはカリンの言である。




