オアシスの街
「これが、オアシス? 」
「カリン様、ここは一体? 」
「砂漠の休憩所って聞いたけど……」
「くろいー」
「くさいー」
カリンが、マイヤが、ナットが、リオが、クオが、目の前に広がる景色に唖然としている。
「懐かしいにおいがする……なんでだ?」
「これは、いい波は望めないなぁ」
オルレイトとサマナが所感を述べており、それはおおむね低評価に向ける物であった。
《森は、人が余分な木を間引いて陽の光を木の全体へと届くようにする事で綺麗になるそうです。》
《……緑色の。それはどう言う意味だ? 》
《その場を綺麗にしようとする者がいない限り、その場は綺麗にならないと言う事です》
《真実だろうな》
《ーー!? ーー!! 》
《みんな! リクがぬかるみに!! 》
「今助ける! 皆! 」
リクが態勢を崩してしまい、コウ、レイダ、セスが後ろから押して抜かるみから脱出させるべく手助けする。腕を持たないミーン、ヨゾラがサイクロープで引っ張る形で引き上げる。
「なんだお前たち。オアシスは初めてか? 」
「砂漠だって初めてなのに、オアシスを見たことがあると思って!? 」
「はっはっは。まぁどこもこんな感じだ」
先導している。ホウ族の戦士、シュルツとその乗り手アンリーは、てんやわんやしている龍石旅団の面々を爽快に笑い飛ばして歩いていく。ホウ族の写り里から降りた一向は、丸1日歩いた後、ついにオアシスへとたどり着いた。しかしそこで彼らを迎えたのは、砂漠では久々に見た小さな森。森というには木々は小さく、林と呼ぶべきような規模であるが、それでもたしかに緑がその場にあった。次に見えるのは大量の動物が過ぎ去ったであろう跡。そして最後に見えるのは、池というより、雨の後の水溜りがそこかしこにあるような景色。その水溜りもまた茶色の濁っており、あまり飲もうとはおもえなかった。
「ああ、思い出した。うちの牧場と同じ匂いがするんだ……懐かしいな」
「のっぽ……牧場なんか知ってるのか」
「ああ。この匂いはちょうど肥溜めの……」
「オル。それ以上言わないの」
その匂いの元がなんなのかは、誰も聞かなかった。きかなくても理解できてしまった。
「街は? 」
「この先、もうすぐだ」
「オアシスにあるのではないの!? 」
「ここに人が住みたいと思うのか? 」
「……そうね……そうだったわ」
彼女らはオアシスを横切っていき、砂漠の森を通り過ぎる。そしてその先に、今度こそ目指していた場所を見つけた。最初に見つけたのはやはり目のいいカリンだった。蜃気楼が揺らめく中に、たしかに建物らしきものが見えてきた。
「砂漠の中に、街があるわ……でもどうして? 」
「どうして? 」
「てっきりオアシスがあるから街があるものだと思っていたから。水辺があるから住めるものだとばかり」
「大きな井戸が何個もある。それこそ街1つを潤せるほどの数だ」
《砂漠に、井戸ですか》
「ここからはるか西には山がある。そこの雪解け水が流れてくるそうだ。その山がどう言う物かは見たことはないが」
「それは一体だれが? 」
「占い師様だ」
「あの人が……」
「おっと。むこうから迎えがきてしまった」
「来てはいけないの? 」
「少々面倒なんだ……少しでも疑いがかかれば街に入れてもらない」
「そんなにこの街は危機に瀕しているのですか? 」
「いや。単に街の長が臆病なだけだ……来た」
アンリーが手で制する。泥まみれになってしまったリクが最後尾になりながらその使いがくるのを待つ。彼らはこの砂漠の中で徒歩でやってきた。5人ほどでやってきて、ベイラーの足元へやってきた。アンリーは顔見知りらしく、コクピットから降りてその人物と話し出した。
「……荷物が無いようだが」
「この後くる。今日はこのベイラー達を案内しにきた。好きに使ってくれ」
「そうか。なら信用しよう。アマツ様にはよくしていただいている」
ぶっきらぼうに話す男性は、この街の権力者か統治者なのか、壮年の男性で、腰は曲がっているがその目に宿る眼光は老いを感じさせないものだった。カリンがコウから降り、同じくアンリーの隣に立つ。
「カリンと申します」
「ボッファ。この街、ミーロの代表と思ってもらいて構わない」
「ミーロ……素敵なお名前ね」
「ああ。私もそう思う」
硬い握手を交わす2人。ボッファと名乗るその男の手はカサカサに乾いており、かつ指先の痛みが激しい。そして握手したカリンにしか気づけないことがあった。手のひらにタコが等間隔にできている。それは剣を扱う人間にできる特有なものだった。長年積み重なる修練の末に出来る剣ダコは、人の踵となんら変わらぬ硬さをもつ。その剣ダコがボッファはあった。カリンにもそのタコはあるが、ここまでの硬さはない。
「街の長が、剣を、お使いに? 」
「貴方こそ。いかに身なりを変えようともわかるその所作。御生れはどこに? 」
「海を越えたはるか彼方ゲレーンから」
「ゲレーン?……聞いたことがない」
「そ、そう」
自分の生まれた国を知らないといわれたじろぐカリン。常に自分の国の名とともにあったような彼女であれば、その名を知らぬと言われた慣れていない。思わず素っ頓狂な声が出てしまった。その声はボッファに不信感を与えてしまう。
「嘘は感心しないな」
「う、嘘? 」
「これから頼む仕事は大掛かりだ。できれば信用できる者に頼みたいものなのだがな。嘘をつくような者に誰が頼もうと思える」
「ゲレーンは緑の豊かな美しい国なのです!」
「そんな国から、どうしてこの街に? 」
「そ、それは……」
なぜと問われた時の答えを持たないカリンにとって難題な質問だった。答えを淀むその姿にボッファの眉がさらに深くなる。邪険になりそうな空気を感じ取り、アンリーが遮る。
「いい女には秘密がおおい物だそうだ。ボッファ」
「なら、秘密のないお前はいい女ではないな」
「おうとも! 抱えるほどの物がないからな! 」
「……まぁいい。街を案内しよう。ベイラーは待ってもらってくれ。ここはベイラーには狭い」
「そう言うことなら。皆降りなさい」
とりなしが成功し、なんとか街に入れてもらえる事になったカリン達。ベイラーから各々が降りる中、小声でアンリーへと話しかける
「(どうもありがとう)」
「(なに。本当の事を言ったまで。間違いなく、お前はいい女だよ)」
「(わ、私が? )」
「(ああ)」
するとアンリーは小声で話すのをやめ、まるで誇るように胸を張る。
「まぁ、占い師様ほどではないがな! 」
「……なんか、さっきから貴女の口からはあの人を褒める言葉しか出てこないのね」
カリンが幾度となく聞くその褒め言葉に思わず睥睨していると、その言葉を待ってましたと言わんばかりに目を輝かせている。
「そうだろうな。私は心底あの人に惚れている」
「ほ、惚れ!? 」
「ああ。大好きだ。戦いと同じかそれ以上に。だから褒める。当たり前だろう? 」
「そ、そうね」
誰かが好きだという好意を真っ向から受けてしまい、思わずカリンが顔を赤くしてしまう。そんなカリンの気もしらず、ずんずんと進んでいくアンリー。ベイラー達から降りた龍石旅団の面々が追いつい、1番歩幅が大きいオルレイトが隣に立った。その事を確認した直後に、カリンが問いかける。
「なんとか街に入れたか」
「ねぇオル。貴女、だれかを好きになった事ある? 」
「な、ななななにを??? 」
「そんなに狼狽なくっても」
「(目の前の貴女ですとは言えるものか!! )」
心の中で冷や汗をかきまくる。秘めたる想い人が目の前でそんな問いを不意打ちで投げてくればだれだってそうなってしまう。その点オルレイトは上手く誤魔化すことに成功し、なんとか話の続きを繋げることができた。冷や汗を悟られぬようにそっぽを向きながら話す。
「突然どうしたんですか? 」
「貴方のことだから、女の子は引く手数多でしょう。頭が良くて、背丈もあるし。だれか1人くらい、いい人がいるのかもしれないと思って」
「本当にどうしたんですか急に? 」
「ちょっと驚いていたのよ。アンリーと初めて会った時は仇と間違われて襲われたわ。その時の形相は今でも簡単に思い出せる……そんな表情をした人が、好きな人の事を語る時はそれはそれは穏やかで晴れやかな顔をしているの。人を好きになると、ああなるものなのかしら」
歩きながら黄昏るカリン。その横顔は心底理解できないといった表情で、朗らかに笑いながら前を歩くアンリーとは対照的だった。そんなカリンを見て、そっぽを向いていた顔を向き直し、キチンと目と目を合わせてオルレイトが話す。
「……その事だったら、この世界でのぼくたちが分かる数少ない真実だ」
「そう。なら素敵な事ね」
「はい」
「ねぇオル。私もそんな顔が出来るかしら? 」
「姫さまは好きな物は無いのですか? 」
「あるわよ。ゲレーンの皆が、私は大好きだもの……ただ、あんな笑顔になっていたかしらと、少し不安になっていたの。私は、ゲレーンの長として、民にあの顔をさせたいわ」
「……必ずできますよ」
「そう? 」
「ええ。僕が根拠の無い事を元に説得するとでも? 」
「……そうね。オルは理屈っぽいから」
「なんだか、褒められている気がしない」
「褒めてるわ。さぁ行きましょう。クチビスのことを聞いてこなきゃならないわ」
そのまま何事も無かったように歩き出すカリン。その姿を見送りながら、オルレイトの心はずっとざわめき始めている。
「(あの人はいつもだれかの為に何かをしている……それはゲレーンの姫である事以上に彼女を縛ってる。僕には、どうすることもできない。せめて誰か気づかせてくれれば……だれかか)」
そして視線を後ろへと向ける。そこには街の入り口で座り込む白いベイラー、コウがいる。オルレイトの視線に気がついたのか、手を降っている。
「それは姫さまの為に動くあいつ、だろうなぁ」
「何をいっているのです? 」
歩みを止めたオルレイトにマイヤが急かしてくる。
「僕の体は心底なぜベイラーじゃないんだろうと思ってね」
「ベイラーだったら、こうして街には入れませんが? 」
「そうだったな」
ようやく歩き出すオルレイト。その足元をリオとクオ、追いかけるようにナットとサマナが駆けていく。すべてカリンの後ろについていこうとしている。
「そろそろ、僕らが彼女をいかに好きなのか話してやらないと駄目なのかもしれないな」
「ええ。あの方は鈍感でいらっしゃいますから」
「何が『誰かを好きになった事あるか』だ。人の気もしらないで」
ぶつくさとブー垂れながら最後尾をあるくオルレイト。そして先頭を歩くカリンがふと、並んで歩いているように見えるマイヤとオルレイトを見て、ある勘違いをする。
「(はー……いや、ありえるわ。なるほど。なるほどぉ!! あのマイヤが! はー! オルもいい審美眼を持っているじゃない! たしかに女の私から見ても器量好しだもの。なるほどなるほど。時折2人して居なくなる事はあったけど、まさかそう言う事だったのね……マイヤも水臭いわ。言ってくれえればいいのに)」
オルレイトとマイヤは時折2人で『如何にカリンが素晴らしいか』を語り合っている仲であるが、それが盛大な勘違いを助長させた。
「うんうん。マイヤなら何も文句ないわ! 」
晴れやかな笑顔になったカリンの意図をオルレイトが知るのはまだ先となる。
◆
「これを見て欲しい」
ミーロの街に入った龍石旅団が案内されたのは、街の中でも1番大きな市場の中央に位置するひらけた場所。普段はここで競が行われているそうだが、お昼も過ぎた今では閑散としている。夕方を過ぎるとここは酒場に変わり、日々の労働をねぎらいに多くの人々で賑わっている。今はそこで、この街にくる危機に対しての作戦会議が行われていた。
「クチビス達が群れをなしているが、その群れの進行方向はこの砂漠の西。 山の方角へと向かっている。奴らの主食である草を求めてだ。しかしその山に向かう最中、なぜかミーロの街を通り、我々のありとあらゆる食料を根こそぎ食らっていく。 諸君らには、このクチビス達をミーロの街から離すように、ベイラーで誘導してほしい」
「誘導? 」
「理屈は単純だ。奴らの好物を餌にして大軍を誘導する。街から遠ざかればそのまま餌を離して街に戻ってきてくれればいい」
「毎年それを? 」
「ここ10年ほどだ。10年前はこの街を通る事はなかったのだが、クチビスの機嫌が変わったのか、この街を進行方向に入れるようになった。最初の年は厄災といっていいほどの被害で、この街は全滅しかけてほどだ。……だが対処法を得た我らならもうそんな憂い目には合わない」
「クチビスを狩る、と聞いていたのだけど」
「あの群れは、いわば大隊で、小さな群れがそれぞれ集まってできたものだ。誘導に律儀に従ってくれる群れもいるが、中には跳ねっ返りの小隊が大隊から逸れて向かってくることがある。狩るのはこの小隊の方だ。大隊を相手にしようものなら、命がいくつあっても足らん」
「狩る方法は? 」
「これだ」
ボッファが指示を出すと、鍛えた体をもつ兵士が台車を運んでくる。その上には、とても人間が扱うような大きさではない弓弩が置いてあった。その構造もまた普通ではなく、3つの弓が重なっているような構造をしている。それをみたサマナが思わず唸る。
「これ、弓が鉄で出来てる。壊れない? 」
「見た目よりずっとしなやかに出来ている。作り元も信用していいところだ」
「サーラでも見たことはあったけど、これはまたすごい……連射、できる? 」
「そうするために作ったんだ。取り付けに多少の時間がかかるが、撃てることに意味がある……そしてこの矢尻をつかう」
台車の隅に山積みになっていたそれを取り出し皆にみせるボッファ。剣山のように大量の針が埋め込めれている。奇妙なのは、その大量の針は打ち出された際の先端にはなく、まるで返しのように反対側に飛び出している。その構造の理由を簡単に説明してみせた。
「これをこうなげると」
「投げる? 」
その説明は、言葉ではなく行動で行った。手に持った矢尻を無造作に投げる。距離にして15mほどの位置まで飛んで行った矢尻はそのまま地面に突き刺さった。何も起きない事に疑問を持ちながら待っていると、次の瞬間、爆音と共に矢尻について居た針が空中へと大量に飛び出し、辺り一面を穴だらけにしていった。壁という壁には15cmほどの針が突き刺さり、太陽の光を受け鈍色をした輝きを放っている。これがもし生き物に当たることを考えれば、過剰といえる威力であった。
「強力だな」
「これをクチビスの群れの中心部に放てば、バネ式で解き放たれたこの針が奴らを串刺しにするという寸歩だ。これを渡しておく」
「……これ、本当に使わなくてはいけないの? 」
その威力をみたカリンが口を出した。心底使いたくないというのが言葉から滲み出ている。それを真っ向から否定するようにボッファが静かに怒った。
「これをやらねば我らの街が滅びる」
「誘導してあげればいいのでしょう? なにもこんな……残虐な方法をとらなくたって」
カリンの言葉に、ボッファは怒るでもなく呆れるでもなく、ただ驚いていた。
「残虐? 何がだ? 」
「だ、だってそうでしょう? 何十匹と殺すこの武器が残虐でなくてなんだというの? 」
「……アンリー。本当に大丈夫なのか。この娘は」
価値観の違いがありありと出てしまっている。ミーロの街に住む人々はクチビスの事を厄介者だとしか思っていない。だから大量に処分する方法を難なく行使することが出来る。しかしカリンはクチビスを踏めた動植物を大量に殺める事は、自然の営みを崩壊させる事だという認識があった。かつて自分の国で味わった事であり、事実として体験しているからこそ、彼らの作り出した過剰な武器を残虐と称してしまう。だが実被害をうけている彼らにとってはカリンの考えはクチビスに味方するような言い草であり、許しがたいものだった。
「使えない荷物をよこされても困るんだがな」
「な、なんて口を利くんだ! 」
ボッファがカリンを評した時、別の人間が怒りに震えた。オルレイトだ。
「お前はこの方がどういう人なのかを」
「おやめなさいオルレイト」
「……だが」
「困窮しているのは確かなのだから。でもボッファさん。1つだけいいかしら」
「なんだ? 」
「使う必要がなければ、これは別に使わなくていいのでしょう? 」
「……勝手にしろ」
「そうさせてもらうわ」
「配置の説明をする! 正面門に三箇所、中央と左右にそれぞれに配置する! 1番最初にクチビスに出会った者からこの煙玉をあげ、その場に援軍として集まって、一気に叩く。毎年の事とはいえ気を緩むな」
簡易的でありながら、目的が明確であるために、作戦は効率的に見えた。進路上に構え、三箇所に分散することで被害を最大限にへらし、かつ遠くにいても目立つ煙玉で他の場所で待機する者達で最後に一斉に退治する。サマナがボッファに質問を返す。
「三分の一のでクチビスと当たる……矢と矢尻はどのくらいある? 」
「ざっと50本ほどだ」
「たった50本か」
「これでも去年より10本増やしている。あの弓弩用の弓矢を作るのにどれだけの手間がかかると思う! 」
「わかった。わかったから」
「作戦は明日の明朝だ。配置の通りに動いてくれ」
少々わだかまりの残る作戦会議であったが、内容そのものはシンプルだった。それぞれ散っていく中。オルレイトがカリンに頭を下げた。
「カリン、申し訳ない。出すぎた真似をした」
「いいのよ。ゲレーンの事を知らない人いても不思議じゃないもの」
「でも、君も名乗ったって良かったじゃないか」
「名乗ったところで信じてもらえないわ。今は、クチビスの事をどうにかするのが先よ」
「そうかもしれないが……実は、僕もこの件は変だとは思っている」
「どうして?」
「10年前からクチビスはこの地に来ていると言っていた。でも10年より前は来ていなかったって事だろう?何か理由があるはずなんだ」
「……そうね。でももう明日の朝にはクチビスは来てしまうのよ? 調べられて? 」
「あの武器を僕らが、ましてやベイラー達に使わせたくはないからな」
「なら、お願いできる? なぜ10年前からクチビス達がこの街を通るようになったのか」
「図鑑の記録に残せる。やってみるよ」
「ほかの皆は、各々過ごして欲しいのだけど……できれば、オルレイトを手伝ってやって」
「「「はい」」」
龍石旅団の面々が返事をし、各々のベイラーの元へと向かう。
「できれば、あんな武器を使わないでいたいものね」
巨大な武器が鎮座している。虫を殺すには過剰かもしれないその威力は、しかし街の皆には必要な威力。自然とともに生きていたカリンにはその引き金はあまりに重い。
「原因がわかれば、こんな武器は要らないのに」
ミーロの街に夕日が沈んでいく。砂漠の例にもれず、これから気温が下がり、暖を取らねば凍えてしまうほどになる。カリンもコウへと向かい歩き出した。どうすればクチビスをきちんと誘導でいるかを考えながら。その答えはコウの元についても、出る事はなかった。




