鉄仮面の真意
彼らは自分が悪いとはこれっぽっちも思っていません。
「この餓鬼、どこから湧いてきた」
ナットがパームを追って潜入したのは、ベイラーの栽培場といべき島。名前などないような孤島の中で行われていたのは、大量の栽培と、無用となったベイラーの破棄。ベイラーの命をなんとも思わない行動にナットは叫び、嘆き、悲しんだ。ここには、今までナットが生きていく中で培われた、ベイラーと共に生きる関係性などを、真っ向から否定してくる人間達しかいないのだと見せつけられ、体がどうしようもなく固くなってしまう。
そして、倉庫の中で泣き叫んでしまい、一味に見つかってしまった。しかし、心身共に疲弊しきったナットに、反抗する力はすでに消え去っていた、今までの頭の冴えが嘘のように、いとも簡単に捕まってしまう。捕まったナットの瞳には光はなく、体から生気が失われている。
「まぁ人手にはなるだろうが……いや、まさかこいつも作業員なのか? 」
「旦那に聞いてみるしかないなぁ……」
「(……だんな? )」
ただ、頭の片隅で、その言葉を聞き逃さずにいる。この島で何度か聞いた、この一味の、おそらく長とも言えるような名前。そして、ここの長と言う事は、その人物こそ、この島で行われている非道を実行させている張本人である可能性が高い。本来、あくまでそれは可能性でしかないが、精彩の欠けた今のナットには、旦那と言う名の人間こそが、諸悪の根源であると認識する。そうする事で、かろうじて己を見失わずに済んだ。もはや、脅迫観念一歩手前の、自己防衛であった。
「(あんなことをする人が……旦那……)」
「何事かね」
そして、捕まえた一味に声をかける人間がひとり。白い豪華な衣装。詰襟できっちりとしたその服装に違わぬ、男らしく、それでいてスマートな体型。服の装飾は最低限ながら、金色があしらわれている。とても荒くれ者にはみえないが、首から上が、全ての異様さを醸し出している。
丸い円柱状でできたその頭は、鈍色をしており、金具の一部が錆びている。目にあたる部分は、不恰好な丸い形をしており、それが返って不気味さを感じさせる。鉄製の仮面を被った紳士。そう呼ぶべき男が、そこに立っている。
「旦那!こいつ、作業員の1人ですかい? 」
「いいや。年端もいかぬ少年を労働に使うほど困窮していないとも」
わざとらしく首をかしげるその仕草以外は、物腰は柔らかく、言葉使いもここの一味に比べてずっと整っている。その格好をしている以外は、好印象すら与えそうな男だった。だが、一味の人間が言った言葉を、ナットは聞き逃していない。間違いなく、この男のことを、旦那と呼んだ。しかし、呼ばれた男は、想像と何もかも違っていた。外見こそ異常であったが、想像よりもずっと、普通の人間の物腰をしており、ナットは拍子抜けする。
「ここはいずれ、来るべき誕生の場となる内のひとつ。部外者に入ってきてもらっては困る……だが、一体彼はなぜそこまでぐったりしている? まさか痛めつけたのではないだろうね? いけないなぁ。この場での暴力は」
そして、この男はあろうことか、ナットを心配しはじめた。おもわず一味がたじろぎはじめる。冷や汗すら流し始める彼らをよそに、当の囚われの身であるナットはといえば、状況を飲み込めないでいた。
「ち、ちがいますよ! 俺たちがみつけた時には泣き叫んでいやがったんだ」
「ほう。見つけた場所というのは? 」
「ここからまっすぐの置き場です」
「ほぉ。祭儀場をみたのか」
「(……さいぎ、じょう? )」
そして、その場所の名前が明らかになる。その言葉と、現実としてナットが見たものがまるで紐付かずにいる事で、混乱はさらに続いた。
「子供は物事を感じる力が強い……感受性というが、あそこは少々刺激が強い。暖かいベッドで寝かせてやりなさい。……少年」
座り込んだナットに、鉄仮面の男が近づく。不思議と、ナットには恐ろしさを感じなかった。そして、ナットの頭を男が撫で始める。鉄仮面の奥でみえる肌には、火傷の後が見える。
「その心はいずれ、我々に必要になってくる。……落ち着いたら私の乗ってきた船がある。それで港町まで帰ろう。いいかね? 」
その男は、優しくナットに語りかける。言葉が返せず、だが、おもわず首で肯定してしまった。
「では、私は作業にもどる。彼を丁重に扱いたまえ。くれぐれもパームくんにみつかるなよ? 彼は優秀だが、少々人の使い方が雑なところがある」
「わ、わかりました」
「縄もほどきたまえよ」
役目は終えたと言わんばかりにその場をさる鉄仮面。陰鬱さなどなく、むしろ颯爽としている。だが、ナットはさらに混乱を極めている。
「(……あれが、旦那? あれが……なんで……あんなひとが)」
ナットが想像していたのは、パームのような男だとばかり思っていた。こちらを嘲笑い、煽り、奪い取る男。しかし目の前に現れたのは、格好以外はいたって普通の、紳士的な男だった。
「(あれが、演技だとして、あれが、嘘だとして、なんで? )」
ナットの思考がさらに深みのはまっていく。それは毒に体が侵されたように、じっくりと効いていくように何も考えられずにいた。考えれば考えるほど、なにもわからなくなった。
◆
「ああ、旦那か……悪いな、こんな格好で」
鉄仮面の男は、その足でパームアドモントに会いにいった。パームといえば、なぜか上半身裸で、布で汗を拭っている。細く、骨ばった体つきであるが、筋肉による隆起もある、体のしなやかさを感じさせる体格をしていた。体を一通り拭き終えるのを待って、鉄仮面の男が続ける。
「一体どうしたんだね? 」
「この洞窟の中でキルネックがいたんだ。ちっとばかしてこずった」
「ほう。それはいけない。君が駆除を? 」
「ああ。噛まれたら流石にあぶなかったぜ……で、何か用か? 」
「なに。君にまた一仕事頼もうとおもってね」
「……旦那。金貰ってる立場のやつがこんな事言うのも変だがよ」
「君が前置くとは珍しいな」
「茶化すな……ちと人が良すぎねぇか? 」
「…… いや、何のことかね? 」
「普通はお咎めってやつがあるはずだ。今日始めて見せてもらったが、あのザンアーリィとかいうベイラー、旦那がつくったんだろう? それを壊したやつに、なにもお咎めなしで、しかも仕事を頼むとくる。どう言うことだ」
布を頭にかぶり、どかりと座るパーム。布の合間からみえる眼光は鋭く、この後の返答を気にしている。パームは今日、この島がベイラーを人為的に作り出す場だと知った。それまではどこからか連れ去ってきた物だと決めつけていたが、ナットと同じく、植木鉢から新たに生まれるベイラーを目撃すると、素直に信じることができた。 だが今は、その件を含め、鉄仮面に問い詰める。鉄仮面の方はと言うと、心底困った様子で返答をし始めていた。
「……君の仕事ぶりには感謝しているんだ。君がいなければ、私の計画は3年、いや5年は遅れていた」
「それよ!! その計画ってやつ。一体なんなんだ。『龍を殺す』のは知ってる。そのための空をとぶベイラーが居るのはわかる。お空にいる龍に会うにはまず飛ばなきゃいかねぇ。だが、あのベイラーだけで龍が殺せるとはてんで思えねぇんだ」
パームが気にしていること事。それは、自分に持ちかけられた計画の全貌だった。龍を殺すという名目のもとに、この島には様々な人種の人間が集まっている。出自のわからないような者。その身を売られた元奴隷。人種も性別のバラバラだが、皆一様に、仮面の男が行おうとしている計画に賛同し、働いている。その事実がパームをさらに苛立たせる。
「ここにいる連中は、このパーム様が集めてくるような荒くれ者だけじゃねぇ。明らかに育ちのいいのから、頭のいい連中までたくさんだ。そんな奴らを一体何をする気なんだ」
「……君は、私を疑うのか? 」
「そんな訳はねぇ。ゲレーンの『渡り』のことを教えてくれたおかげで、俺はなんとかここにいるようなもんだ。感謝もしている。協力もする。だから、何をしたいのかをおしえてくれりゃいいんだ。もし教えてくれねなら……」
『渡り』とは、ゲレーンのにある、諜報を生業とする組織の名前であり、その長は、オージェン・フェイラス。カリンが国で唯一嫌っているその男は、ゲレーンの国内国外問わず、さまざまな情報を集め、ゲレーンの平和を維持するため日々奔走している。無論、その組織の名が『渡り』と言う名である事以外、公の場では姿を表さず、だれも組織に属する人の名前を知る術はない。そしてパームは、その『渡り』のことを事前に知っていたお陰で、命からがら逃げおおせた事がある。 誰から『渡り』の事を聞いたのか。そはは、この鉄仮面の男が事前に、ゲレーンにパームが潜伏する際に教えていた事だった。
少なからず感謝の意を述べつつ、パームが、決意の元に言葉を選ぶ。その言葉を言ったが最後、今までの、この鉄仮面の男から受けていた恩恵を全て投げ打つ可能性がある。それでも、パームはたった一つ、自身の納得を得るために、一つの賭けに出た。
「この先の仕事は降りる」
絶縁状をちらつかされ、鉄仮面の男は動揺する。今まで、パームが金額以外で口出ししてきたことはなかった。それが、突如としての別れの前兆を持ち出される。鉄仮面の男は、ここではじめて、パームに対して驚愕していた。
「……大きくでたな」
「だが、教えてくれるなら、金はいつもの半分でいい。それでもダメだってのか」
反対側に座り込む鉄仮面の男。松明が仮面の鈍く照らし、パームの眼光はまるで動かない。両者とも微動だにせずに、ただ時がすぎていく。パームの条件は、今までの彼の態度からしてみて、極めて異常と言ってよかった。彼は、自分が手に入れる物が多くなるのならば、仲間だろうとなんだろうと切り捨て、全て自分の物にするような男だった。支離滅裂としていながら、自身の目的のためならば、その言動と行動全てを偽る事にまるで躊躇なく、邪魔と分かれば仲間を排除することもある。
「(その彼が、ここまで追い詰められている……納得しないと動けない人は居る。どうやらパーム君はその人種だったようだ……で、あるならば……私のとるべき道は1つだ)」
やがて、仮面の男が意を決したように言葉を紡ぎ出した。
「目的は伝えてある通り。だが……まだ、手段が用意できずに居るのだ」
「なんだ。結局でまかせかよ」
「そうではない……アーリィベイラーの数が足らないのだ……その乗り手も」
「足りねぇって、今日でたしか9体。まぁ乗り手もそろえなきゃならないが……それにケーシィのベイラーもいる。10体のベイラーでまだたりねぇってのか。一体いくつ必要なんだ」
「ざっと、100体だ」
「100!! 」
その数を聞いたパームが思わず立ち上がった。数そのものもそうだが、これから先にかかる手間と時間に考えを巡らす。
「俺がアーリィに慣れるのにすくなくとも二週間かかった。それでも早ぇほうだ。他の連中は俺より先に慣らし始めて俺より遅く慣らしが終わってる。今から100人のベイラーと、100人の乗り手を用意するってのか! 気の長い話に巻き込んでくれたモンだぜ。旦那。それまで金が持つのか」
彼が考えているのは、これから先長い時間、自身に支払われている金がいったいいつまで支払い続けられるか。どう考えても長くかかるこの計画に、自分がいったい何年、この仕事に関わって、いったい何年、金を受け取れるのか。
「君の懸念はもっともだ……だが金の心配はしなくていい……私の金は、私が死ぬまで尽きることはない」
「ほう。言い切るねぇ」
「問題の時間は……ここ以外でも、すでにベイラーの栽培は行われている」
パームが目を丸くする。ここのような場所が、ほかにもあるというのは聞いたことがなかった。
「ここが起点ではあるのだ。各地の栽培場の情報や、ここで集めた情報はすぐに共有し、ベイラーの栽培に生かされている。今日ここにきてベイラーの栽培が安定したのは、他の栽培場で得られた情報をもとにしたものだ」
「……それで、100のベイラーと、100の乗り手で、龍を殺せるってのか。よく今までやる気を落とさなかな。その心意気だけはすげぇとおもうぜ」
その問いの瞬間。場の空気が変わる。重々しい空気が漂っていたこの場に、別の空気が入り込んでくる。それは歓喜の空気。
「いいや。これは通過点にすぎない」
男は、楽しそうに笑っていた。表情など見えないはずなのに、声色で笑っているのがわかる。
「龍を殺せるのは、たった1つのベイラーと、たった1人の乗り手。それがいればいいのだよ」
「あん? 100のベイラーで龍を殺しにいくんじゃねぇのか」
「必要ない。そのベイラーは、100のベイラーを凌駕するベイラーだからだ……見たまえ」
男はそう言うと、懐から一枚の絵を取り出す。すでにボロボロで、長年使われているのがよくわかる。
「これは、ある遺跡で発見された絵の模写だ。絵描きに描かせた……私の信念を支える絵だ」
「ほう」
「この遺跡に、私はいた。見つけたのはもう何年も前になるが……」
白黒で描かれたその絵を見たパームは、すでに何度目かわからない驚愕の表情する。そこに描かれていたのは、確かに龍を殺している1人のベイラーだった。脳天を剣で貫き、龍はなげくように上を向いている。背景は炎で巻かれていおり、争いの最中であることは明白だった。そして、その下にいる人々は、なぜか、龍が殺されたと言うのに、両手をあげて喜びを表している。
「遺跡にあった絵は、色がついていなかった。だが、かつての歴史の中で確かにあった事実なのだよ……そして、龍を殺したものは、英雄として讃えられ、その英雄が、慕う者達を集め、ある国を作ったのだ」
興奮を隠せない様子の鉄仮面に対し、パームの方は冷静そのものだった。首をひねり、足を組み、手を顎に当て、かなり退屈そうな顔をしている。
「……それ、おとぎ話ってやつだろ。真に受ける奴がいると思ってんのか」
「ああ。真に受けているとも。その国は、いまこの世に存在しているのだからな」
「ああ? 」
「……その国の名は、ナガラと言う」
「……おいおいおいおい。そいつはぁ」
その国の名を知らない者はいない。なぜならば、その名は、今やいくつもの国を治める最大の国の名。皇帝のおわす最大の帝都。年に一度、近い遠い関係なく要人を集めさせ、会議をさせることで、自身への反抗芽を潰す。抜け目のない全ての国の頂点。なぜ要人は素直に応じるのか。それは、その国の国力と軍事力が、他と比べてあまりに強大で絶大であるから。
「まさか。旦那が龍を殺す理由は……」
「ああ。私は帝都を手に入れる。そのために、この、龍を殺したベイラーを生み出す……そして、その龍殺しのベイラーの、たったひとりの乗り手に、君に英雄になってほしいのだ」
「お、俺が乗り手? い、いや、旦那がなるんじゃないのかよ」
パームは訳が分からなくなり、鉄仮面の男に狼狽ながら問う。龍を殺す為に、1人のベイラーを生み出す。そして、その乗り手になるのが、鉄仮面の男ではなく、自分だと言う事が理解できなかった。そもそも、彼にとって初めての単語を耳にした事でその意味がさらに分からなくなる。
「旦那が乗れば、その、なんだ。エイユウ? って言うのになれるんだろう?」
「……私は無理だ。こう見えてもすでに年がいっている。計画が成就したとしても、長くはいられないだろう。だからこそ、君のような若者が必要なのだ……そして、そのベイラーはもうすぐこの場に現れる。アーリィと違い、こちらは作り出すことはできなかったが……呼び出す方法があるのだよ」
「ベイラーを、呼び出す? 」
「ああ。祭儀場はそのためのものだ……といっても、まだ半年は先になる……納得したかね? 」
仮面で隠れていても、声と仕草で笑っているのがわかる。それはあざ笑うでもなく、蔑むものでもない。かとって、嬉しくて笑ってるのでもない。それは幼子が、いたずらの下準備を完璧に整え終え、あとは親が引っかかるのを待っているといったような、純粋で無垢な笑顔。パームが発する笑い声と似ても似つかない。だが、そのいたずらは、あまりにも大それている。いたずらである罠を作るのに、何十何百のベイラーを犠牲にしていようとも、仮面の男には関係がなかった。ただ一つの目的の成就のための、必要な犠牲だと考えている。むしろ、犠牲とすら思っていない。彼はただ、必要だから、そうしただけに過ぎない。
「なぁ、一個だけいいか」
パームが聞き返す。それは己の人生観には無い言葉。己の中は無い名詞。
「英雄って、なんだ? 」
パームは、好奇心のまま親に聞き回る子供のように問う。
「英雄ってのは、好きな時に奪えて、好きな時に与えてやれるのか。英雄っていうのは、誰からも奪われなくなるのか」
それは、今まで己の中に言葉がなかった在り方。ただ、己がずっと追い求めた、名前も知らぬ理想の姿。鉄仮面の男はパームに逐一答える。
「もう奪わなくても良くなる。奪う必要がなくなるほどに、人々は君にひれ伏し、その行いや言葉ひとつに供物をささげるようになる。君の気まぐれで女はまたがり、君の気まぐれで男も踊る。英雄になった者はそれが許されるのだ」
「……そんなもんに……俺は、なれるのか。もう、俺の命が奪われないように出来るのか? 俺が持っている物が奪われなくなるのか」
そして、仮面の男は答えた。
「君にはその素質がある……君の、今までの仕事がその素質を証明している。君は、ベイラーを従わせる事への才能に溢れている。君なら、この壁画に描かれた、ベイラーを超えるベイラーを操れる。そして操れた時こそ、君は、龍を殺し、人々を龍の支配から解放する英雄となるのだ」
わずかな時間、沈黙が流れる。ほんのわずかな時間が過ぎると、やがて、洞窟内に、1人の男の、静かな笑い声が響き始める。始めに、パームにとって、この鉄仮面の男の計画については心底どうでもよかった。ただ、他の仕事よりも明らかに実入りがよく、かつ、自身に合った仕事であるために、惰性で行い続けていただけに過ぎない。それが、その計画が成就した暁には、自分の根本の部分を変える事ができると知ると、胸のうちからあふれんばかりの野心が生まれ始める。彼は今まで奪い続けてきた。それは、かつて彼が、命以外の何もかもを奪い尽くされたから。奪い尽くされた時、彼の中である原則が発生する。
『人は、奪い奪われ続ける』
その原則の元、盗賊になり、金銀財宝、人から獣まで、ありとあらゆる物を奪ってきた。時に自身が痛めつけられようとも、すぐさま逃げ出す事で自分の命だけは奪わせないように立ち回ってきた。 それが。今度は、もう、自分の命を奪われなくなると言う。それは、彼が生を受け、自分で物を考えられるようになった時から、ずっと欲しがっていた、安住と非強奪の世界。それが手に入ると聞かされ、パームは笑う。それは、どこまでも耳障りな、しかし、いつもより長く、小さい。だが心底楽しそうな声をしていた。
彼らは自分の考えに間違いなど無いと思っています。




