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登場する男性のうち、潤は、妙子の叱責や愚痴も含めて、比較的よく描けていると思うが、その他の人物は、陰影を施されていない人体デッサンのように感じられる。
状況に応じて、作者によって作られた便宜的人物のように思えるのである。
人物像が、形骸化されていない。いわゆる、ステレオタイプなのが気になった。
典型的なのが、石橋、宮城、瀬川の描写で、『威圧的なパンチパーマに金縁眼鏡。斜に構えた風貌が、まるでヤクザっぽいのだ』『金髪にピアス。外見も喋り方も、まるで男性のような女性で、胸にはさらしを巻いていた』『日本人離れした格好のいい顎ヒゲが思い浮かんだ。その童顔には似合わない眼鏡の奥のシャープな瞳を光らせた。頼もしい雅量を持った男だった』など。
これは通り一編の概念的な描写で、人物への独自の鋭い観察からくる個性的な表現とは言えない、と思うのである。