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☆第22話 魔法の練習

「ねぇ、カナリス先生」


 こてんと首を傾げて後ろを振り向くと、杖と魔法書を持ったカナリス先生がいる。


「せ、先生? ぁ、うん。なんだ?」

「どうして私に魔法教えてくれるの?」

「……ずいぶんと今更な質問だな」


 カナリス先生が私のお屋敷に滞在してから、もう3日を過ぎている。

 今日はお屋敷の庭に来ているけど、昨日まではお部屋で魔法の勉強を教えてもらっていた。


「人を探してるって言ってたけど、もういいの?」

「もう用事は済ませたから、それは大丈夫だ」

「そうなの? よかった」


 私が笑顔でよかったと言うと、カナリス先生もつられたように笑顔になる。


「今日はなにするの? まほう? まほうでしょ? まほうだよね?」

「そうだぞ、今日は魔法だ。先日から撃ちたいって言ってただろ?」


 カナリス先生は私が杖を握って真剣に聞くと、笑いながら魔法を撃つのだと教えてくれた。


 この頃机に座って勉強ばっかりだったから、魔法がうちたくてうちたくてしょうがなかったけど、やっとうてる!


「やった! まほううてるのね!? どこ!? どこにうっていいの!?」


 キョロキョロ辺りを見渡したけど、いつも使ている台にはまとが置いていない。


 それなら、四方八方好きなところに好きなだけぶちこめるのかと目を輝かせていたら、少し距離を離したカナリス先生が私を呼んだ。


「ミリア。今日は私が的になる。防御魔法で防ぐから、ミリアはそれを狙うんだ」

「好きなだけぶちこんでもいいの?」


 さらに目を輝かせながら尋ねると、カナリス先生が少し眩しそうに目を細めて頷いた。


「いいぞ。ただし、使う魔法は魔弾マジックボールだ」

魔弾マジックボール? 私まだつかったことないよ?」

「昨日、一昨日と続けて教えただろ? 練習も兼ねてやってみるんだよ」


 確かに教えてもらっていたけど、それは使い方の心構えや手順だけ。

 まだ実技として実際にやったことがないから、本当にできるかちょっと心配。


「うん。わかった。やってみるね」


 私は魔法が使えるのが楽しみで、いそいそと準備をし始める。


 たしかカナリス先生の説明では、魔弾マジックボールは魔法だけど、魔法として一歩手前のものだと言っていた。この時点で意味がわからないんだけど、なんとなく理解することにした。


 なぜ魔法とは違うのか?

 それを質問して返ってきた答えは、魔弾マジックボールは魔法儀式をして覚えるものではないからという理由と、他の魔法は自分の魔力を形作ったり、性質を変化させているんだけど、魔弾マジックボールは自分の魔力をそのまま外に出すだけの単純なものだからみたい。


 魔法だけど、本来の魔法とは少し違う。

 魔力を形だけ整えて体の外に出すものらしい。


 うん。魔力を体の外にだすだけなんだよね。

 とにかくやってみる。


 たしか、魔弾マジックボールの練習は杖をつかわないでやるんだったっけかな?


 手をっぐっと握って小さくやる気を出してから、杖を握っていない片手をカナリス先生の方に伸ばす。

 それから集中して、魔法を使う時と同じように魔力を感じとることから始めて、それを体に廻らせる。


「いやいや。最初は杖無しでは無理だろ」


 先生がしゃっべていたと認識できても、その言葉が頭に入ってこないほど集中していると、体を廻る魔力の流れを制御できる段階に入った。


 これならできそう。


 そう思い、目を開いて先生を見る。


「――魔弾マジックボール!」

「っ!? 魔法障壁プロテクション!」


 薄く透き通った灰色の球が手から放出すると、カナリス先生が慌てた様子で魔法障壁プロテクションを張った。


 私の魔弾マジックボール魔法障壁プロテクションよってはじかれて四散する。


「えへへー。できたー」

「……口で教えただけなのに、1発で成功させるとはな」


 私がにこにこ喜んでいると、カナリス先生が何かぼそぼそ言っていた。でも今は、初めての魔法が使えたことが嬉しくてしょうがない。


 ただ、今まで使っていた魔法よりも魔弾マジックボールは少し物足りない。

 なんかこう。あっさりとしていて、気持ちのいい刺激が薄い感じがする。


「ふつうの魔法つかっちゃだめ?」

「今日はダメだ。この練習は魔法の操作を上手く出来るようにするためだから、私が指定した場所に正確に当てるようにするんだぞ」


 魔法のそうさ?

 うん。言われた目標に当てればいいんだね?


「さて、次は私のお腹を狙ってみてくれ。撃つタイミングは好きな時でいいぞ」

「うん!」


 さっき体に魔力を廻らせたばかりなので、最初に撃ったときよりも早く魔弾マジックボールを撃てる。

 右手をカナリス先生のお腹に向けて、手の平に魔力を送った。


「ん! 魔弾マジックボール!」

「これまた早いな……。魔法障壁プロテクション


 カナリス先生のお腹へと向かった魔弾マジックボールは、軽く手をかざして創り出された魔法障壁プロテクションにあっさりと弾かれた。


 ちょっと物足りないけど、これはこれで何かいいかも……。


 少しぞくっとした体をさすりながらそんなことを考える。


「狙いは良いし、魔法を撃つ準備も早かったな。もしかして、連射も出来るか?」

「連射? 続けてうつってこと?」

「そうだ、出来そうか?」

「んー……。やったことないからわかんない」


 わかんないけど、楽しそうだね!


「それなら試してみるか。次は私の両手を狙って交互に撃ってみてくれ。もちろん出来る限り間隔をあけずにな」

「わかった! やってみる!」


 さっそく集中し直して、まずは右手、そして左手を狙って撃ってみることにした。


 もう魔力の流れはできてるから、そのまま自分の右手に集めて1発目を撃つ。

 続けてもう1度撃つために、魔力を集めるようとしてるけどすぐには撃てない。それならと、体に廻らせていた魔力の流れをさらに早くしてみると、みるみるうちに手に魔力が集まってきた。


「んんー! えい!」


 かけ声とともに、2発目が飛び出してカナリス先生の左手へと向かう。

 1発目をふせえていた先生は、次の魔弾マジックボールも余裕を持って防いでいた。


 んー、残念! 次はもっと早く撃たなきゃ!


「はやく撃てなかったから、次はもっとがんばる!」

「充分に早かったぞ」

「そうかな? あれ、2つ同時にうてればいいんじゃないかな?」


 今思ったけど、連射するよりも同時に撃てれば結果的に早くなるはず。


「え? ミリアは2つ同時に魔法を撃てるのか?」

「やったことないからわかんない! やってみてもいい?」

「いいぞー」


 元気よくやってみたいと言うと、カナリス先生はのんびりとした口調で答えてくれた。

 なのでさっそく両手を先生に向けて、撃つ準備をいそいそと始める。


 試してみてさっそく分かったことがあった。


「むむ……。むずかしい」


 そう、むずかしいのだ。

 両手に魔力を集めようとしても、利き手である右手に魔力が集まって、左手にはほんの少しの魔力しか集まらなかった。


「むむむむ!」


 それなばと、左手に多くの魔力を送り込む気持ちでやってみると、今度は右手から溜まっていた魔力が体から勝手に抜け出てしまったり、体の中に戻っていってしまう。


 んー……。利き手じゃないと魔力がたまるのおそい?


 それからどんなに頑張っても均等に魔力が集まる気配がしなかった。

 それでも左手には少しだけ溜まったので、試しに撃ってみることにした。


「むむむー! っとう!」


 魔弾マジックボールを出したつもりなのに、左手からは魔力だけが体から抜けるだけで何も出てこなかった。右手からは出たは出たのだけど、今まで撃ったものよりも小さくて、しかも飛んだと思ったら消えてしまった。


「あれれ? きえちゃった」

「……やっと普通が見れた気がした」

「ふつう?」

「いや、なんでもない。ミリア、魔法を同時に2つ撃つのは非常に難しいんだ。出来なくても落ち込むことは無いぞ」

「がんばれば出来るんだね! ならがんばる!」

「お、おう」


 カナリス先生の話を聞くと、同じ魔法を連続で撃つのは練習すれば出来るけど、同時に撃つのはとっても難しいみたい。

 さらに、別属性はもちろん、同じ属性でも別系統の魔法を同時に使うのはもっと難しいと言っていた。


「先生はできるの?」

「そうだな、同じ属性の魔法なら出来なくもないが、かならず成功する訳じゃないな」

「私できるようにがんばるね!」

「頑張ってくれ。凄い魔法使いになるんだろ?」

「うん!」



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