元神さまと俺
師匠から渡された、というか押し付けられた彼女は、俺を悩ませる最大の存在だ。
その名は、ワルドレイ・セット・リュカイシュカイン・リダイルポイント・ゴッドという。
彼女は、古の神の一族であり、その唯一の生き残りである。
魔法戦争と呼ばれる、何千年前に行われた戦争で攻め滅ぼされたはずの一族で、すでにその種は絶えていると思われていた。
今でも、一般の人には、全員が処刑されたと思わせている。
俺は、師匠が救ったただ一人の生き残りを育てるという重要な役目がある。
師匠は世界最高の魔法品の取り扱い業者が集まっている商店街の魔法物品商店街会長だ。
ちなみに、俺は師匠の3000年ぶりの弟子で、新聞にも載った。
俺は、魔法品で博士号を取ったのはいいのだが、ここでそんな元神様と遊んでいる。
「ねぇ、遊ぼうよー」
「ちょっと待ってな」
何をしているんだろうと思いつつ、俺は魔法品を作っていた。
ヤジロベエでそのまま回転をし続けるようなものだ。
「……ほれ」
暇に任せて作ったようなものではあるが、それでも彼女は楽しんでいる。
「楽しそうだな」
「師匠、今日はどうされたのですか」
俺は立ち上がって、師匠を出迎える。
「様子見だ。飯や水は、ほぼ自動で補給されることになっているからな」
そうだ、俺らが今食っているものは、その自動で作られているものだ。
冷蔵庫や冷凍庫には、食った分だけ、寝て起きると補充されている。
ヤジロベエは、急速に回転数を上げて、それを楽しそうに彼女は眺めていた。
「ま、ほどほどに教育しておけよ」
「はい、わかりました」
何か教えてもらうということはないが、それでも師匠だ。
彼女の遊び道具を作るということも楽しい。
こういうのに向いているのかもしれないな、と俺はわずかに笑った。