エピローグ
パーシヴァル王国がヴァレンタイン王国に併合されて2年後、俺達は今迄本社のあったエルドラードを支社に変更して引っ越した。
行き先はヴァレンタイン王国の王都セントヘレナであり、これからはこちらに本社を置くのだ。
広告に留まらない仕事の規模の拡大は勿論だが、パーシヴァル王国という国が無くなった為、王都であったエルドラードという街に拘りを持たなくなった理由もある。
支社は存続させるし、この街は充分に活気付いたからと自分に言い聞かせながら、いずれは『世界のエクリプス広告社』にしたいという理由が1番大きかった。
夢は大きく、ヴァレンタイン王国で仕事の目処が立ったら、次はロドニア王国辺りへ進出だとも考えてもいた。
そして……王都に来て3ヵ月後
俺は漸く5人の妻達と結婚式を挙げる事になった。
普通の女性なら絶対に待っていてはくれなかったであろう。
ちなみに結婚式場は王都セントヘレナの創世神の神殿である。
独特な音色のオルガンが鳴り響く中で何故か顔を伏せた司祭が厳かな声で質問をする
「汝は5人の妻に変わらぬ愛を注ぐ事を誓いますか?」
「誓います!」
俺はここぞとばかりの大きな声で返してやった。
神殿中にオルガンの音色と同じ位、俺の大声が響き渡る。
出席している者が何人も顔を顰めたが構う事はない。
しっかりと愛の約束をしないと、後で嫁ズから怒られるのは必定だからだ。
次に司祭は未だ顔を伏せたまま花嫁達へ問い掛ける。
「ヴィクトリア、リリアーヌ、ケルトゥリ、カルメン、ドロシア、お前達はどうだ? 終生、夫へ変わらぬ愛を誓うか?」
「「「「「はい! 誓います!」」」」」
嫁ズも元気良く返事をしたところで、やっと司祭が顔をあげた。
「うふふ、よかったね。この世界に転生して! 結婚おめでとう!」
「あああっ!」
にこやかに笑いかける司祭の顔を見て俺は驚いた。
何と俺をこの世界に転生させた神エクリプスであった。
でも大人の身体に可愛い少年の顔なんて、なんという不気味なアンバラスさだ。
俺は呆然として大きく目を見開き、口をあんぐりと開けてしまった。
エクリプスは悪戯っぽく笑うと片目を瞑る。
『これからもこの世界に貢献出来るように全力で頑張ってね。あくまでも僕の神格を上げる為だけにだよ。うふふふふ』
どうやらこれは俺だけに聞こえる念話らしい。
そして少年の顔も見えていないようだ。
嫁ズ達に驚いた様子は無かったのである。
ずっとエクリプス様の下僕ですか?
でも良いか!
加護も一生受けられますよね!
俺はエクリプスの顔を見詰めて、困ったような表情をしながらも大きく頷いたのであった。
これでこの小説は終わりです。
ご愛読ありがとうございました。
こちらの作品はスピンオフとして連載を始めました。
宜しければお楽しみ下さいませ。
『超アイドルファンの神様に異世界でアイドル育成プロジェクトを頼まれました!』
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