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1-12:旅立ち

久しぶりに温かい、そしてまともな食事を食べたとの事でセリーヌも、子供達も笑顔が溢れている。

そんな中、子供たちはもう一人の大人の女性であるカーラさんにお願いして、キュアリー達は部屋の奥のテーブルで打ち合わせを始めた。

そして、まず確認できた事は、現在イグリアはすでに消滅しているとの認識は間違いではない。ただ、王族では唯一12歳になる王女が生き残っている事。そして、その王女を中心としてラビットラブリー、クマッタ騎士団などの残存者、一部の元国民が小さな村を築いている。ただ、その数は総数で100人に満たないとの事だった。

セリーヌも実際は騎士見習いであったが、騎士団最後の出撃の際に正式に騎士に任命され王女の護衛を指示され今日に至る。

今回、この街へとセリーヌ達が訪れた理由はやはりキュアリーを頼っての事だった。村においては今次第に作物が育たなくなってきた。村の精霊術士が言うにはどんどんと村から精霊の数が減少していってるとの事で、原因すらわからず対策の打ちようがない状況に追い込まれている。この為、可能であればキュアリーに会い助力を願う。不可能でもエルフから助言又は助力を得ようとしてセリーヌとカーラがこの街に向け旅立ったという事であった。


「あれ?そうするとあの子供たちは?」


今の話の中ではまったく出てこなかった子供達にキュアリーは不思議に思い尋ねる。


「あの子供達はこの街へ来る途中で拾ったんです。このエルフの街へと避難しようとした中、盗賊に襲われ大人達は殺され、子供達は奴隷にでもされる所を偶々私達が助けたんです」


そしてキュアリーはセリーヌの言った奴隷という言葉に反応した。


「今の世界には奴隷なんて制度があるの?」


「正式に制度があるかどうかというと無いと思います。でも実際には奴隷という呼び名がありますし、その為に入れ墨を入れられ首輪を嵌められた者達がいます。そして、無力なため奴隷になった者達も多数います」


「エルフの奴隷は高価らしいですよ?寿命も長いですし、容姿も良く衰えも少ないですから。ちなみに、エルフの森では奴隷は認めていません」


アリアが嫌悪感溢れる言葉でセリーヌの発言に同意した。


「エルフの森は豊かですから」


セリーヌは羨望の眼差しでアリアを見た。アリアはその視線を受け訝しそうにセリーヌを見返す。


「今、人族は戦後の復興に躍起です。中でも食料問題は深刻な事になっています。でも、このエルフの森は豊かですから、食料問題も見受けられませんし」


「ええ、私達エルフは森を必死に守ってきました。でも、貴方達人族は自然を壊し守る事をしなかった、その結果が今に現れているだけの事、それを今更言われても困ります」


その言葉にじっと俯くだけでセリーヌは反論しなかった。なぜなら、その意見は総じて間違いではなかったからだ。ただ、自然を破壊してしまった事に対する様々な思いはあるが、それを今言っても意味は無い事と思っていたのも事実だった。


「キュアリーさんにお願いしたいのは戦って欲しいなんて事ではありません、村の精霊がなぜ減っていくのか、どこかへ去って行くのか、消えて行ってしまってるのかの原因を教えて欲しいのです。そして、可能ならその現象を治す方法を教えていただきたいのです」


「うん、いいよ、誰かを殺せとか、敵討ちやイグリア再興なんかだったらベイチェンさんとの約束があっても無視するつもりだったけど、精霊絡みなら行った方が良いだろうしね」


そうキュアリーは告げると、そっと気が付かれないように空中にいる精霊達に対し何か情報があるか調べて欲しいとお願いした。

キュアリーの返事に安堵の笑顔を浮かべるセリーヌに対し、アリアは驚き、そして慌て始めた。この人族の依頼を請けるという事はキュアリーがこの森から旅立つことを意味している。そして、それは決してエルフ達にとって歓迎できる事ではなかった。


「あの、キュアリー様はこの森を出られるのでしょうか?」


「うん、そうなるのかな?セリーヌさんの村はどこら辺にあるの?」


キュアリーはあっさりと村の位置を話してくれると思っていた。しかし、セリーヌは黙り込んでアリアを見る。


「お話しないと不味いでしょうか?」


「あ~~、うんっと、もしかして隠れ里みたいになってる?」


「はい、あまり他人に知られたいとは思わないものですから」


セリーヌの言葉に、キュアリーは納得した。またアリアもその思いを理解できなくはない。ただ、理解はできるのだが、このままキュアリーを行かせる事は不味い事も理解できてしまう。この為、慌ててアリアはセリーヌにエルフの護衛をキュアリーに付ける事の了承を願い出た。


翌日、エルフの街の門の前には2台の大型馬車が待機していた。そこへセリーヌ達の馬車がガタガタと音を立てて近づいていく。


「おい、人族!その馬車はこっちに乗り換えろ、その馬車では速度が出ない!」


馬車の前にいた獣人の兵士がセリーヌ達に近づきそう怒鳴った。


「え?でもこの馬車は村でも貴重な物です。安易に捨てる事はできません」


「この馬車を一台やると言ってるんだ。文句はあるまい!」


その言葉に、顔を顰めてセリーヌは獣人の馬車を見た。


「このような大きな馬車は使い勝手が悪いです」


その言葉に獣人は苛立ちを隠そうともせずにセリーヌに詰め寄る。


「貴様の意見など聞いていない。これは確定事項だ!だいたい、そんな今にも死にそうなロバなど連れて旅など出来るか!」


獣人の兵士がそう告げると今にもセリーヌ達の馬車を破壊しそうな雰囲気を醸し出す。


「貴方に指図される謂れはありません!」


そう叫ぶとセリーヌは馬車を守るため立ち塞がった。


「貴様の意志など関係ない!馬車が遅ければそれだけ危険が増す!なぜそれが解らん!」


2人が言い争っている所へアリアとキュアリーが歩いてきた。そして、言い争う二人を見て視線を合わせた。


「コラル何を言い争っているのですか?」


アリアがそう声を掛けると、獣人の兵士はアリアに向かい跪き頭を垂れた。


「この人族が古い馬車とロバに固執しており新しい馬車に乗るように説得しておりました」


「説得ですか、セリーヌさんなぜその馬車に拘るのですか?」


「この馬車は村の財産です。勝手に破棄などできません」


「あたらしい馬車が貰えてもですか?」


「はい、あのような大きな馬車は村では使い道がありません」


敢えて固執するセリーヌに、どうしようかとキュアリーへと顔を向ける。すると、キュアリーはセリーヌの馬車に近づきロバを外し始めた。


「あ、あの!キュアリー様、何をされているのですか?」


慌ててセリーヌとアリアが近づく中、キュアリーは馬車の中にいた子供達に馬車から降りるよう指示をする。そして、みんなが馬車を降りたのを確認して空中に指を走らせ何かをし始めた。そして、みんなが何をしているのか理解できずに眺める中、馬車が突然消失した。


「「「え?!」」」


「アイテムボックスに収納したからセリーヌさんの村に到着したら取り出すね。生き物は入れれないから持ってく事になるけどね」


唖然とする一同に対し、キュアリーは何事もなかったかのように答えた。


「ところで、その人が同行者?」


「は、はい!この者ともう一名獣人族の者が、あとエルフからも2名の計4名が同行します」


「ふむふむ、とりあえずよろしく!」


キュアリーの軽い挨拶に戸惑いながらもコラルは慌てて敬礼をし辺りに響くように挨拶をした。


「今回護衛兼御者をさせて頂きますコラルと申します」


そして、その声に気が付いた他の同行する兵士達もこちらへと走ってきた。


「同じく、同行させていただきますサラサと申します。よろしくお願いいたします」


「同じく、ミドリと申します!」


「同じく、パステルと申します!よろしくお願いいたします」


エルフのサラサ、獣人のミドリ、そして最後にエルフのパステルがあわせて挨拶を続けた。

その3人に合わせて挨拶をしたキュアリーは、セリーヌ達に馬車に乗るように指示をした。


「カーラさん達はそちらの馬車で固まって乗った方がいいかな?セリーヌさんはあたしと先頭の馬車に乗ろう」


そして、馬車の扉を開いてキュアリー、続いてセリーヌが乗り込んだあと、更に続いてアリアが乗り込んできた。


「え?アリアさんも来るの?」


「勿論です!わたしはキュアリー様の担当ですから!」


そう言って胸を張るアリアを見て、キュアリーの頭の中には担当という言葉が不吉に響いてきた。


担当ってあたしなんか問題児みたいだなぁ


そんな事を思うキュアリーであったが、100人に聞いたら100人がキュアリーを色々な意味で問題児だと回答するだろうという自覚は残念ながら本人にはなかった。

ようやくエルフの街から旅立ちますね。

ただ、伏線の暗殺者はどうなった!

ただリンゴを頭にぶつけられて終わったのでしょうか?w

ようやくサラサとコラルも登場ですしね、最初に出てきて名前入りなのに置いてきぼりだった二人ですw

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