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第6話 シェイドの罠

翌日の実技授業。

ユウは森の訓練場の入口で、すでに泣きそうだった。


「……今日も絶対なんか起きる……俺、帰りたい……」


ミナが優しく背中を叩く。


「大丈夫だよユウくん。今日は初級モンスターの討伐だけだよ」


「俺にとっては全部上級だよ……」


ミナはくすっと笑った。


「じゃあ、私が全部守るね」


「……ミナがいなかったら俺、学校来れないよ……」


「うん」


即答だった


「そこは否定してよ!!」


そんなやり取りをしていると、教官が笛を吹いた。


「よし、全員散開! 今日は“影属性モンスター”が出る可能性がある。気をつけろ!」


ユウは震えた。


「影属性って……なんか怖い……」


「大丈夫だよ。影に潜むだけで、そんなに強くないよ」


「影に潜むって十分怖いよ!!」


ミナが笑っていると、森の奥からひんやりした風が吹いた。


ユウは思わず身を縮める。


「……なんか寒くない?」


「そう? 私は平気だけど……」


ミナが首をかしげたその時だった。


「……やっと見つけた」


低い声が森の奥から響いた。


ユウはビクッと肩を跳ねさせた。


「ひぃっ!? な、なに!? 誰!?」


木々の影がゆらりと揺れ、そこから黒い人影が現れた。

長いコート、無表情の顔、そして影のように薄い存在感。


「……シェイド……」


ミナが小さく呟いた。


「え、知ってるの!?」


「敵側の……参謀みたいな人。人型モンスターだよ」


「参謀!? なんでそんなのがここに!?」


シェイドはユウをじっと見つめた。

その視線は冷たく、何も感じていないようで、何かを測っているようでもあった。


「……お前だな。計画を乱しているのは」


「え、俺!? なんで!? 俺、何もしてないよ!?」


「している。無自覚に、だ」


シェイドの影が地面に広がり、ユウの足元へ伸びていく。


ミナが叫ぶ。


「ユウくん、下がって!!」


ユウは慌てて後ろへ飛び退いた。


その瞬間だった。


影が、ユウの足元でふっと揺れ、形を崩した。


「……?」


シェイドがわずかに眉をひそめる。


「……おかしいな」


影が再び伸びる。

だがユウが一歩動くたびに、影はなぜか形を乱し、狙いが外れる。


ユウは必死に逃げ回る。


「ひぃぃぃぃぃ!! なんで追ってくるの!? 俺、何もしてないよ!!」


「している。お前は……邪魔だ」


「邪魔ってなに!? 俺、ただの無能だよ!!」


シェイドは影を操りながら、淡々と言った。


「……無能なら、なおさら排除すべきだ」


「ひどくない!?」


ミナが前に出る。


「ユウくんに触らせない!!」


光のバリアが展開され、影を弾く。

シェイドは一歩下がった。


「……光属性か。厄介だな」


ミナはユウの手を掴む。


「ユウくん、逃げよう!」


「逃げてるよ!! ずっと逃げてるよ!!」


二人は森の奥へ走り出した。


シェイドは追わない。

ただ、ユウが走り去った方向をじっと見つめていた。


「……あの男……何かがおかしい」


影が揺れ、シェイドの姿が森の闇に溶けていく。


森の出口まで走りきったユウは、地面に倒れ込んだ。


「はぁ……はぁ……死ぬかと思った……」


ミナが心配そうに覗き込む。


「大丈夫? 怪我は?」


「怪我はないけど……心が死んでる……」


ミナはそっとユウの手を握った。


「ユウくん……さっきの影、ユウくんに触れなかったね」


「え? そうなの?」


「うん。なんか……避けてるみたいだった」


「影が俺を避けるってなに!? 俺、嫌われてるの!? 影に!?」


ミナは笑った。


「嫌われてるんじゃなくて……なんだろうね。ちょっと不思議だった」


「不思議って言わないでよ……怖いよ……」


ミナはユウの手を離し、森の方を振り返った。


「……でも、ユウくんが無事でよかった」


ユウは小さく頷いた。


「……俺、なんで生きてるんだろ……」


ミナは答えなかった。

ただ、ユウの隣に座り、静かに夕焼けを見つめた。

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