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第4話 黒川レンジ、怒りの逆襲(失敗)

放課後の訓練が終わり、ユウは校舎裏のベンチでぐったりしていた。

今日も今日とて、転び、逃げ、泣き、そして偶然モンスターを倒した。


「……俺、なんで毎日こんなに疲れるんだろ……」


ため息をつきながら足元を見ると、地面に薄く焦げた跡が残っていた。

昨日レンジが剣を振った時についたものだ。

丸いような、丸くないような、よく分からない形。


(……なんか変な形だけど、まぁどうでもいいか……)


ユウは立ち上がろうとした。


その瞬間。


「天野ォォォォォォォ!!」


怒号が響き渡り、ユウは飛び上がった。


「ひぃっ!? な、なに!? 俺なんかした!? してないよね!?」


「したんだよ!! 俺の出番を奪ったんだよ!!」


黒川レンジが、炎をまとった剣を肩に担いで現れた。

その剣の刃先から、かすかに赤い火花が散っている。


「昨日のアーマードベア、なんでお前が倒してんだよ!!

 俺が倒すはずだったんだぞ!!」


「知らないよ!! 俺は転んだだけだよ!!」


「転んで倒せるわけねぇだろ!!」


「倒れたんだよ!!」


「倒れたんじゃねぇ!! 倒したんだよ!!」


「違うよ!!」


二人の言い合いは、もはや漫才だった。


そこへミナが駆け寄ってくる。


「レンジくん、ユウくんをいじめないで!」


「いじめてねぇよ!! 事実を言ってるだけだ!!」


レンジは剣を地面に突き立てた。

その瞬間、刃先から火花が散り、地面に焦げ跡が広がる。


ユウは思わず後ずさった。


「うわっ……また変な形……」


ミナも覗き込む。


「……昨日のと似てるね」


レンジは鼻で笑った。


「俺の《ブレードエンハンス》は高出力だからな。

 地面が焦げるのは当然だ」


「でも……なんか、模様みたいだよ?」


「模様じゃねぇよ。偶然だ」


レンジはそう言いながらも、ほんの一瞬だけ眉をひそめた。

自分でも説明できない“違和感”を感じたように。


ユウは焦げ跡を見つめた。

昨日のものより少し複雑な形に見える。


(……まぁ、俺には関係ない……はず……)


そう思った瞬間、地面が揺れた。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!


「な、なに!? 地震!?」


「違う……ゲート反応だ!!」


レンジが叫ぶ。


校舎裏の空間が歪み、青白い光が渦を巻き始めた。

小型ゲートが突然開いたのだ。


「なんでこんな場所にゲートが!?」


ミナが驚く。


レンジは剣を構えた。


「天野! 白石! 下がってろ!!」


ゲートから飛び出してきたのは、

金属の羽を持つ鳥型モンスター《メタルホーク》だった。


「ギャアアアアアアア!!」


レンジが前に出る。


「俺が倒す!!」


だがメタルホークは素早い。

レンジの剣をひらりと避け、ユウの方へ一直線に飛んでくる。


「ひぃぃぃぃぃぃ!!」


ユウは反射的に後ろへ飛び退いた。

その拍子に、足元の焦げ跡を踏んだ。


その瞬間、焦げ跡がかすかに赤く光った。

夕日の反射か、火花の残りか、よく分からないほど一瞬。


「えっ……?」


メタルホークの動きがわずかに鈍った。

レンジが叫ぶ。


「今だ!!」


彼の剣がメタルホークを一刀両断した。


ドシャッ!


モンスターは地面に倒れ、ゲートは静かに閉じた。


レンジは剣を振り払い、ユウを睨む。


「……お前、また何かしただろ」


「してないよ!! 踏んだだけ!!」


「踏んだだけで光るか!!」


「光ったんだよ!!」


ミナが焦げ跡を見つめる。


「……ユウくんが踏んだ時だけ、光ったよね」


「偶然だよ!!」


ユウは必死に否定した。


ミナは焦げ跡をじっと見つめた。

その形は、どこかで見たことがあるような……

でも思い出せない。


レンジも眉をひそめる。


「……なんか気味悪い形だな」


ユウは震えながら言った。


「ねぇ……これ、本当にただの焦げ跡……だよね……?」


ミナは答えなかった。


レンジも答えなかった。


ただ、夕焼けの赤が、焦げ跡の模様を静かに照らしていた。


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