第21話 奇跡の連鎖・後編
体育館での影の軍勢襲撃から数時間後。
ユウは保健室のベッドで、天井を見つめていた。
「……俺、なんで毎日こんな目に遭うの……
学校ってもっと平和な場所じゃないの……?」
ミナが椅子に座り、心配そうに覗き込む。
「ユウくん、今日は本当に大変だったね」
「大変どころじゃないよ!!
軍勢が来たんだよ!? 軍勢!!
俺、軍勢に恨まれるようなことしてないよ!!」
ミナはくすっと笑った。
「でも……ユウくん、生きてるよ?」
「それが一番不思議なんだよ!!」
そんなやり取りをしていると──
校舎全体が、
ゴゴゴゴゴ……
と低く震えた。
ユウは即座に叫んだ。
「なんでぇぇぇ!! 俺、まだ休んでる途中だよ!!」
ミナが窓の外を見る。
「ユウくん……あれ……」
ユウも窓から外を見る。
校庭の中央に、
巨大なゲートが再び開き始めていた。
しかも──
昨日よりも大きい。
ユウは泣きそうになった。
「なんでぇぇぇ!! なんでサイズアップしてるの!?
ゲートって成長するの!? 嫌だよ!!」
ミナがユウの手を握る。
「ユウくん、逃げよう!」
「逃げてるよ!! ずっと逃げてるよ!!」
校庭。
教官の神崎が叫ぶ。
「全員、避難しろ!!
これは……まずいぞ……!」
ユウは震えながら走る。
「なんで毎回“まずい”の!?
俺、平和に帰りたいだけなのに!!」
ミナが後ろから追いかける。
「ユウくん、こっち!!」
だが──
ユウは足元の“古い鉄の杭”につまずいた。
「うわああああ!!」
盛大に転ぶ。
その拍子に、
杭が地面に刺さり、
地中に埋まっていた“古い円形の装置”のスイッチを押した。
カチッ。
装置が起動した。
ミナが驚く。
「……ユウくん、今の……」
神崎が駆け寄る。
「これは……古代の“円環装置”……?
なぜこんな場所に……?」
ユウは泣きながら叫んだ。
「俺じゃないよ!! 転んだだけだよ!!」
その瞬間──
巨大ゲートが、
ぐらり……と揺れた。
影の軍勢が溢れ出す。
ミナが叫ぶ。
「ユウくん、逃げて!!」
「逃げてるよ!! ずっと逃げてるよ!!」
ユウが走ると、
なぜかゲートの揺れが弱まる。
影の軍勢の動きが乱れる。
ミナが驚く。
「……また……ユウくんの周りだけ……」
神崎も呟く。
「……天野……お前……何者だ……?」
ユウは泣きながら叫んだ。
「何者でもないよ!! ただの無能だよ!!
なんで俺の周りだけ自然現象が暴れるの!?
嫌われてるの!? 世界に!? なんでぇぇ!!」
影の軍勢は、
ユウが逃げるたびに形を崩し、
動きが乱れ、
やがてゲートの中へ吸い込まれるように消えていく。
ミナが光の魔法で追撃する。
「《ライトバースト》!!」
影が霧散する。
神崎が叫ぶ。
「よし、押し返した!!
天野……お前の“流れ”が……ゲートを乱している……!」
ユウは地面にへたり込んだ。
「……俺、何もしてないよ……
逃げただけだよ……」
ミナがユウの手を握る。
「ユウくん……すごいよ」
「すごくないよ!! 転んで逃げただけだよ!!」
ミナは優しく微笑んだ。
「でも……ユウくんが生きてると、私は嬉しいよ」
ユウは顔を赤くした。
「……ありがとう……」




