表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/24

第15話 影の再襲撃、そしてまた逃げる

夕方の帰り道。

ユウは校門を出た瞬間、空を見上げて深いため息をついた。


「……今日は何も起きなかった……奇跡だ……」


ミナが隣で笑う。


「ユウくん、今日は平和だったね」


「うん……このまま家に着くまで何も起きないで……」


そう言った瞬間だった。


風が止まり、影が伸びた。


ユウは即座に叫んだ。


「やだやだやだ!! 影は嫌だ!! 影は俺を嫌ってる!!」


ミナがユウの腕を掴む。


「ユウくん、落ち着いて!」


「落ち着けるわけないよ!!」


その時──


街灯の下の影が、

ゆらりと揺れた。


影の中から、

黒いコートの男が現れる。


「……また会ったな」


シェイドだった。


ユウは絶叫した。


「なんでぇぇぇぇ!! なんで影から出てくるの!? 普通に歩いてきてよ!!」


シェイドは淡々と言った。


「……お前の“流れ”を確認しに来た」


「流れってなに!? 俺、川じゃないよ!!」


ミナが前に出る。


「ユウくんには触らせない!!」


シェイドはミナを一瞥し、

すぐにユウへ視線を戻した。


「……やはり、理解できん」


「理解できないってなに!? 俺そんなに変!? 変かもしれないけど!!」


シェイドは影を操り、

ユウの足元へ伸ばす。


ユウは反射的に後ろへ飛び退いた。


その瞬間──


影が、

ふっと形を崩した。


まるでユウを避けるように。


シェイドは眉をひそめた。


「……まただ」


ミナが叫ぶ。


「ユウくん、逃げて!!」


「逃げてるよ!! ずっと逃げてるよ!!」


ユウは全力で走り出した。

シェイドの影が追う。


だが──


ユウが走るたびに、

影はなぜか形を乱し、

狙いが外れる。


街灯の光が揺れ、

影が伸びたり縮んだりする。


ユウは泣きながら叫んだ。


「なんで影が俺を避けるのぉぉぉ!!

 嫌われてるの!? 影に嫌われてるの!? なんでぇぇ!!」


ミナが後ろから光魔法を放つ。


「《ライトショット》!!」


光が影を弾き、

シェイドが一歩下がる。


「……厄介だな」


ユウは角を曲がり、

公園の遊具の間に逃げ込んだ。


その拍子に、

足元の“古いマンホールの蓋”につまずいた。


「うわああああ!!」


盛大に転ぶ。


マンホールの蓋がガコンッと外れ、

中から冷たい風が吹き上がる。


シェイドの影がその風に触れた瞬間──

影が一瞬だけ揺らぎ、

形を保てなくなった。


シェイドは低く呟いた。


「……またか。

 お前の周囲だけ……“流れ”が乱れる」


ユウは泣きながら叫んだ。


「乱れてるのは俺の人生だよ!!」


ミナがユウの前に立つ。


「ユウくんは渡さない!!」


シェイドはしばらく二人を見つめ、

やがて影に溶けるように消えた。


「……今日は引く」


静寂。


ユウは地面に倒れ込んだ。


「……死ぬかと思った……」


ミナが駆け寄る。


「ユウくん、大丈夫?」


「大丈夫じゃないよ……影に嫌われてるんだよ……」


ミナは優しく微笑んだ。


「嫌われてるんじゃなくて……

 ユウくんは、なんか……特別なんだよ」


「特別じゃないよ!! 無能だよ!!」


ミナはユウの手を握った。


「でも……ユウくんが生きてると、私は嬉しいよ」


ユウは顔を赤くした。


「……ありがとう……」


その時。


マンホールの蓋の裏側に刻まれた、

丸いような、丸くないような模様が、

夕日に照らされてほんの一瞬だけ光った。


誰も気づかない。


ユウも、ミナも、シェイドも。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ