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エピローグ 残響

この作品はサツキ様のボーカロイド曲「メズマライザー」にインスピレーションを受けて制作した作品です。

もし本家様の印象を崩されたくない場合は、閲覧をお控え頂けると幸いですm(*_ _)m

初投稿の作品なので、誤字脱字などがあればお知らせ願います


※登場人物や登場する会社名は実在しない架空の物です


あれから数か月が過ぎた。亞北商事のオフィスは相変わらず慌ただしかった。書類は積まれ、電話は鳴り、パソコンの画面が絶え間なく光る。けれど、出戸の心の中には、少しだけ余裕が生まれていた。

美久の席は、今も空のまま。彼女の存在は消えたわけではない。どこかに残っていて、出戸の行動の一つ一つに影響を与えている。

出戸は昼休みに屋上へ出た。風が吹き、灰色の空がゆっくりと揺れている。目を閉じると、あの日雨の中で肩を並べた感覚がよみがえった。

「笑ってないと、壊れそうだから。」

あの言葉が、胸に静かに響く。そして思う。

(壊れることは、悪いことじゃない。 でも、諦めることは選ばなくていいんだ。)

出戸は小さく笑った。ポケットの中の銀色のボールペンに指先を触れ、確かめる。それは、美久が生きた証であり、出戸に託された何かだった。

街を見下ろすと、灰色の空の合間に光が差していた。小さな花のように、確かにそこにある光。

出戸は深呼吸をして、ゆっくりと目を開けた。そして、足元の階段を下りながら、そっとつぶやいた。

「今日も、やってみよう。」

それは決して華やかな言葉ではない。けれど、確かな一歩だった。灰色の朝に、花は咲かないかもしれない。でも、人はその中で、静かに咲くことを選べる。

出戸の背中は、もう迷わない。美久の思いを胸に、歩き出した人として、静かに未来へ向かっている。


これにて「灰色の朝に花は咲かない」完結となります!

ご覧頂き誠にありがとうございました!

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