3話 幸福な誤解 ~side雪羽
(―――――うーん)
なんだか、ポカポカする……
あったかい。
ふしぎだなぁ……
背中が柔らかい。
ふかふかの、おふとん?
じゃあ、ここは保健室かぁ……
でも、いままで、こんなに フカフカだったかなぁ?
それに、すごく、いい匂い。
洗濯洗剤の匂いじゃないね。
………………。
目を開くと、それは、知らない天井だった。
真っ白い 漆喰みたいなのが
天井と壁にも塗られている。
部屋を見渡す。
広さは6畳程。
窓、1つ。
石の壁が窓の形にくりぬかれてて、細かく区切られ少し歪んだガラスが嵌め込まれたステンドグラスみたいな窓がついてる。
木の机と椅子が1つ。
床はフローリング。
そして、あたしが今居るのは
木のしっかりした造りのベッドで
フカフカのお布団の中。
なんだか、テレビで見たヨーロッパの古城ホテルみたい……
石づくりの建物みたいだし……
ここ、どこ?
なんで、あたし
ここにいる?
思い出そう。
ええ~っと。
あたしは学校の屋上で殴られてた。
いつものように。
で、3日後が卒業式で
すぐ住み込みの仕事に就くから、髪の毛をそろえたんだけど
それが、どうもあれらの気に入らなかったらしく
ジャキジャキと刈られ
卒業記念に犯っちゃえ
とか言って
制服脱がされ…… ってか破られたっ!
擦り切れた下着を見て嘲われ
その隙に逃げて、
(それは、イヤ!イヤ!イヤ!! 絶対絶対絶対絶対絶対!イヤ!)
(最初の人は、好きな人!無理やり、集団でなんてありえない!し考えたくない!)
(冗談じゃない! やだ!! やだやだやだやだやだやだ!)
屋上の柵超えたら
生意気!
とか言われてモップの柄で突かれた。
絶えてたんだけど
誰も屋上見てくれる人もいなくて……
あいつらもだんだん興奮してきて
鼻にクリーンヒット。
目の前に火花も飛ぶよ。
思わず、
反射的に、
のけぞった。
で、
落ちて大怪我したはず。
病院じゃないよね? ココ。
(………………。)
そういえば、体、痛くない。
すっごい!
あんなに痛かったのに!
直ってるよ?
昨日殴られた青タンとかも消えてるし!
ありえないし……
(死んだな。)
これは、もう、決定?
でも地獄の感じじゃないよね?
じゃあ、ここは天国ですか? 洋風だし……
いや~ははははははは
イイ!!
良いです!!!
死後の世界、最高!!
傷のない世界!
今までどっか痛いところあったからね~。
そして
布団で寝れるなんてぇ~
気っ持ちいい~!
ごろん、とふかふかの布団に寝そべったら、
なんだか眠くなった……
(あ―――― 眠ってもいいんだよね。だって死んでるんだもん。)
あの女に蹴り付けられないんだよね……
(なんか、大事なこと忘れてる気がするけど……)
(思い出せない…… 眠い)
あたしは再び眠りに落ちた。