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巫女と依巫  作者: 若宮 不二
第1章
23/49

23話 やさぐれ ~sideシード

やさぐれる

意味・・・すねること、自暴自棄になること


 俺は今不貞腐(ふてくさ)れている。

 もう、やさぐれているのである。

 この怒りを何処にむけたらいいんだろう?




 庁舎最上階西館奥のテラスは、人が滅多に来ない俺の隠れ場所だ。


 そこに座り込み足を投げ出して、空にナッツを投げては指先に集めた空気をピンとはじいてナッツを粉砕させている。

 おかげで、テラスのあちこちにナッツの破片が飛び散っている。

 散らかしたってっ

 ど――せ鳥が片付けてくれる……




 俺が何をこんなにイラついているかというと―――――――




 ユキハの実家行きがキャンセルされたのだ。


 実家の都合で。


 っていうか、あのバカ三男のマシュー所為(せい)で!!!!!!


 何が



 彼女が妊娠したから結婚しま~す。

 住む所がないので、実家に住みま~す。

 兄貴、ごめんね。

 先越しちゃった。


 だ!


 両親も、長官も子供が出来るのだから仕方ないと……


 マシューの相手は17歳で、家事も(ろく)に出来ないらしい。

 それを見るにかねて、同居のはこびとなったそうだ。


 そりゃあ、さすがにマシューと彼女、生まれる子供の部屋を取ったら、ユキハの部屋はなくなる。

 うちは下級貴族で、家もロニーの家のような大貴族のお城ではないのだから……


 それにしても――――――17歳。

 末っ子五男のルイと同い年で、ユキハの2歳上……



 ………………どうなんだろう……?



 すごく、いけない事のような気がするのは、俺だけなのか?



 17は大人か?


 確かに、母さんは兄貴を17歳で産んでるから、抵抗はないんだろうけど……


 17が大人なら………………15は?



 ………………。



 ダメに決まってるじゃないか――――――! 俺は、変態じゃないぞ…………






 俺の実家がダメになって、ユキハはザンバルデアの所で、身の回りの世話をしながら この世界の勉強をする事に決まった。


 確かに、アースリンドに住むと決めて以来の、ユキハの学習能力の高さは驚くし、

 勉強したいというユキハの希望で決まったことなのだが……


 指輪は新しい依巫に渡さなければいけないし、指輪なしでは会話できないからと、

 ユキハはノートに意味を書き、指輪を外してライアに発音させて音を書き取り、

 自分で簡単な辞書を作ってしまった。


 図書館にあった古い異世界の女性が書いた辞書も持っていったが、あまり参考にはならなかったようだ。


 もう日常会話くらいなら、指輪無しでも なんとか話す事ができるようになった。


 文字を書くのがまだ苦手なようだが、ザンバルデアが教えれば それも時を()かず難なく出来るようになるだろう。


 ザンバルデアの(そば)はユキハのためには、とても良い居場所だ。

 俺の後は、高齢の為と言って弟子は取っていなかったが、弟子になって学びたいと望むものは、今でも引きも切らない。

 俺が言うのもなんだが、最高の師匠だと思う。


 思うんだ、けど……



 ユキハに会いに行き(にく)い。


 行けば絶対何か言われるし……


 でも、ユキハの顔は見たいし……で



 今、俺は イライラしているのである。




次回、王子登場です。

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