18話 決心 ~side雪羽
雪羽の気持ち。
人前で、
泣いてしまった。
ものすごく、久しぶりに……
はずかしい。
その上、熱まで出してしまったようです。
普段考えない頭を使った所為?
(知恵熱ってやつかな……)
ホント、恥ずかしい。
あの時、
偉そうな男の人に、希望をバッサリ切り捨てられて、つい取り乱してしまいました……
シードとライアさんが、あんまり優しいから お願いしたら帰れるかな~なんて事を考えてた あたしが甘かったんです。
自分の立場を、今更ながら認識させられました。
あたしには、決定権も自由もないってこと。
この国の人にとって、あたしは道具でしかなく、役に立つか立たないかだけ。
そうだね、そういえば最初に聞いたね。器だって。
中身は関係ないんだよね。
泣いてる間、ずっとライアさんが頭を撫でていてくれて……
すごく慰められた。
熱でうなされてる時は(あんまり覚えてないんだけど)おでこをタオルで冷やしてくれてた。
アレって、ホント気持ちいいね!
普通お母さんって、きっとこんな感じなんだろうな……って、うっとりしちゃったよ。
ライアさん、きっと家では 優しいお母さんなんだろうな……
愛情をたっぷり注いで子育てしてそう。
あたしに付きっきりは困っただろうか?
ライアさんの顔を そうっと見てみる。
初めて見るライアさんの深刻な顔……
目の下にクマまであるよ……
ひょっとして、寝てない?
世話係って言ってたし、あたしが泣いたり、熱出したりしたらずっと付いておかないといけない規則とか?
それで、帰れてない?
あたしって、こんないい人に酷いことしちゃってる?
お仕事の規則とかでも、あたしの為に ごめんなさい。 申し訳ないです……
あたしが、マイナスオーラ全開で、どう声を掛けようかと迷って様子を伺っていると、考え込んでたライアさんが、フッと視線を下ろしたので、目が合ってしまった。
咄嗟に
「ライアさん……ごめん……なさい…………それ……と……ありが……と……う。」
熱で喉が嗄れてしまって、無様な声しか出なかった。
慌てて上半身を起こすと
ムギュ~~~~~
ふくよかなライアさんの胸に 思い切り抱き埋められた。
「ごめんなさい。 ごめんなさい……私達は間違っています。
何も知らない貴方を、私達の国の都合で有無を言わさず連れ出して、用が済むまで帰さないなんて……勝手過ぎますわ……」
ライアさんが泣いている。
会って間なしで、しかも他人の あたしに同情して泣くなんて……
なんて優しい人なんだろう……
あたしの召喚も、別にライアさんが決めた事でもないだろうに……
(ありがとう。 ライアさん。)
いっぱい泣いたら、すっきりしたし、もう泣かない。
もう、心配しないで、ライアさん。
あたしは強いの。
泣いたから、もっと強くなったはず!
泣いてても、誰かが助けてくれる訳でももないし。
これからの身の振りを考えたよ。
あたしは、ここで暮らす。
まだ、あたしを抱きしめて謝っているライアさんの腕から逃げ出して、真っ赤意に充血している ライアさんの目を見て、今度はしっかりした声で言った。
「ライアさん、ご迷惑かけました。 ありがとう。
泣いてすっきりしました。
今から元の世界に帰っても、あたしの居場所は無いので、此処に置いて下さい。
あたし、ここで暮らします。」
アクセス・お気に入り登録ありがとうございます。
今回は、雪羽の気持ちを書きました。
次回からは、シード側で進みます。