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巫女と依巫  作者: 若宮 不二
第1章
18/49

18話 決心 ~side雪羽

雪羽の気持ち。


 

 人前で、

 泣いてしまった。


 ものすごく、久しぶりに……


 はずかしい。


 その上、熱まで出してしまったようです。


 普段考えない頭を使った所為(せい)


(知恵熱ってやつかな……)


 ホント、恥ずかしい。



 あの時、

 偉そうな男の人に、希望をバッサリ切り捨てられて、つい取り乱してしまいました……

 シードとライアさんが、あんまり優しいから お願いしたら帰れるかな~なんて事を考えてた あたしが甘かったんです。

 自分の立場を、今更ながら認識させられました。

 あたしには、決定権も自由もないってこと。

 この国の人にとって、あたしは道具でしかなく、役に立つか立たないかだけ。

 そうだね、そういえば最初に聞いたね。器だって。

 中身は関係ないんだよね。



 泣いてる間、ずっとライアさんが頭を撫でていてくれて……

 すごく慰められた。

 熱でうなされてる時は(あんまり覚えてないんだけど)おでこをタオルで冷やしてくれてた。

 アレって、ホント気持ちいいね!

 普通お母さんって、きっとこんな感じなんだろうな……って、うっとりしちゃったよ。


 ライアさん、きっと家では 優しいお母さんなんだろうな……

 愛情をたっぷり注いで子育てしてそう。

 あたしに付きっきりは困っただろうか?


 ライアさんの顔を そうっと見てみる。

 初めて見るライアさんの深刻な顔……

 目の下にクマまであるよ……

 ひょっとして、寝てない?

 世話係って言ってたし、あたしが泣いたり、熱出したりしたらずっと付いておかないといけない規則とか?

 それで、帰れてない?

 あたしって、こんないい人に酷いことしちゃってる?

 お仕事の規則とかでも、あたしの為に ごめんなさい。 申し訳ないです……


 あたしが、マイナスオーラ全開で、どう声を掛けようかと迷って様子を(うかが)っていると、考え込んでたライアさんが、フッと視線を下ろしたので、目が合ってしまった。


 咄嗟(とっさ)



「ライアさん……ごめん……なさい…………それ……と……ありが……と……う。」


 熱で喉が()れてしまって、無様な声しか出なかった。


 慌てて上半身を起こすと


 ムギュ~~~~~


 ふくよかなライアさんの胸に 思い切り抱き埋められた。


「ごめんなさい。 ごめんなさい……私達(わたくしたち)は間違っています。

 何も知らない貴方を、私達の国の都合で有無を言わさず連れ出して、用が済むまで帰さないなんて……勝手過ぎますわ……」



 ライアさんが泣いている。


 会って間なしで、しかも他人の あたしに同情して泣くなんて……

 なんて優しい人なんだろう……


 あたしの召喚も、別にライアさんが決めた事でもないだろうに……


 

 (ありがとう。 ライアさん。)


 いっぱい泣いたら、すっきりしたし、もう泣かない。

 もう、心配しないで、ライアさん。

 あたしは強いの。

 泣いたから、もっと強くなったはず!

 泣いてても、誰かが助けてくれる訳でももないし。


 これからの身の振りを考えたよ。


 あたしは、ここで暮らす。



 まだ、あたしを抱きしめて謝っているライアさんの腕から逃げ出して、真っ赤意に充血している ライアさんの目を見て、今度はしっかりした声で言った。



「ライアさん、ご迷惑かけました。 ありがとう。

 泣いてすっきりしました。

 今から元の世界に帰っても、あたしの居場所は無いので、此処に置いて下さい。

 あたし、ここで暮らします。」 



アクセス・お気に入り登録ありがとうございます。

今回は、雪羽の気持ちを書きました。

次回からは、シード側で進みます。

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