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巫女と依巫  作者: 若宮 不二
第1章
12/49

12話 呼び方 ~sideシード

話が前に進まないのは解っているんです!

でも、どうしても書きたかったんです。


 真夜中、ユキハを警護する衛兵からの使いに起こされた。

 ユキハが俺に話があるらしい。


(一体、何だろう? 余程 重要な事なのか?)



 *********************************



 昼間、ユキハが俺の名前を覚えていてくれたのが、嬉しかった。


「シ……シー……ウェルド……さん?」


 ユキハが、とまどいながら俺の名前を呼んだ時は、

 他の者に呼ばれるのとは 違う感じがして……胸が熱くなった気がした。


(この感じは何だろう? もっと、ちゃんと呼んで欲しい。)


「シーウェルド」

(ユキハ、呼んでみて?)


「じゃ、シードさん」

 ユキハから思わぬ言葉を聞いて


「え?」

 つい、出てしまった。


「長いし、呼びにくいので」

 ユキハが、ダメかな?って顔をしている。


 シーウェルド……長いか?

 略称で呼びたいってこと?

 俺は他人に略称で呼ばれるのは好きでない。

 むしろ、馴れ馴れしい感じがして、イヤだ。


 家族は、俺をウィルと呼ぶが、それは親父が息子たち全員に 

『シー○○』と、名づけたからだ。

 単純に ややこしいから。

 仕方なく、我慢している。


 ユキハにもウィルって呼ばそうか?


(………………)


 いや。

 シードがいい。


 これは、名前を略したんじゃなく、

 ユキハが俺に付けてくれた名前。

 愛称だ。

 妙に くすぐったくて、嬉しい。

 ユキハだけが呼んでいい、特別な俺の名前にしよう。


 でも『さん』は余計だな。


「さんは無しで。 シードって呼んで?  俺もユキハって呼んでるから」

 俺の顔が、つい自然と笑顔になる。


 シード……いいんじゃないか? うん。

 さあ、ユキハ。

 呼んで。


 ユキハは赤くなって、モジモジしながら

「……ハイ。では……シード……」

 と言って、さらに耳まで真っ赤になった。


(かわいい……)


「よろしく、ユキハ」


 俺は、満足だった。

 呼び方一つで、こんなに心が浮き立つなんて。


「こんな子供に愛称よばれて喜ぶなんて、俺は変態か?」と、

 思わないでもなかったが、

 嬉しいものはうれしいし、可愛いものはかわいいのだ!

 そう開き直って、部屋を後にした。

 午後の仕事は、はかどりそうだ。



 *********************************



 部屋に着くとライアも来たところの様だ。

 ユキハの部屋で動きがあったのを、敏感に察したらしい。


「こんな遅い時間に 急に来てもらって……ごめんなさい」


 ユキハが青ざめた顔で、頭を深く下げる。

 (ただ)ならぬ様子……何があった?


「いいえ、いいんですよユキハ様。どうなさいました?」

 ライアがユキハを安心させるように、やさしく言い椅子に座らせた。


「すいません。レスコスさんにお願いがあって……

 その……急ぐので、早い方がいいかなと思って……非常識な時間だと分かってるんですが……

 ……どうしても聞いて欲しくて……」


 消え入りそうに、でも必死で何かを伝えようとしている。


(『レスコスさん』に戻ってる。シードって呼ぶって決めたろ?)

 と、まず言いたくなったが ぐっと飲み込んで


「どんな事でも 気にせず言って。ちゃんと聞くから」

 俺は、ユキハを励ますように言った。



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