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巫女と依巫  作者: 若宮 不二
第1章
11/49

11話 考えてみれば ~side雪羽

雪羽の ひとりごと

 …………ヒマである。


 あああああああ~~~ヒマだぁ!


 未だかつて味わったことのない、この暇さ!


 何もすることがない!!!


 午後をほぼ丸々眠ってしまったお陰で

 全然。眠くない!!

 だるいのも、ずいぶんましになって気にならない。


 することが無いって、こんなに苦痛だって事はじめて知りました……


 テレビもラジオも無いみたいだし!

 ゲームなんて勿論ない。 


(あたしは、したこと無いけど……)


 娯楽がないよね~

 あたしが知らないだけだろうけどね……


 窓から外見ても、夜だし真っ暗で何も見えないし。

 真夜中に、知らない建物(しかも中世の城っぽい所)をうろつく度胸はない。

 なぜか? 

 答え、何か出てきそうだから。


(どっちみち部屋の外には、出られないんだけど……)


 廊下に衛兵さんが、2人も立ってるんだよね。

 護衛ってライアさんは言うけど、見張りにしか見えない。

 別の人を召喚するかを検討中で、あたしは身柄拘束されてるみたい。

 俗に言う監禁中?

 国家機密で極秘人物だそうな。

 なもんで、出歩けない。


(あたしなのに……)


 しかし、こんな小娘に24時間見張りつけるなんて……

 依巫って何者?

 何、するんだろ? 

 そもそも、あたしに出来ることなのか?

 精霊とか見えてないし、神様も見えないし、声とかも聞こえないよ?



 ……静かである。

 壁が厚いせいなのか、建物の上層階だからか…… 物音がほとんどしない。

 やることが無くて暇で…… ついつい、いろいろな事に思いを馳せてしまう。

 今まで生きることに必死すぎて、

 碌々(ろくろく)考えることなんてしてこなかった。


(明日の事より、今日を自分が生き抜くことを第一にしてたもんなぁ~。)


 あたし、

 戦争に行かされるのかな? 

 敵を追い払うって 言ってたな。


 いや、無理だから。 

 出来る気もしない。


 人を殺したりするのかな?


 やだよ! 人を殺すなんて怖い。

 そもそも、戦争になったら、沢山の人を殺した方がいいなんて変。


 いやでも、やらされたりして……



 だんだん、不安になってきた。



 ……帰りたい



 元の世界に……帰りたい



 じわじわと、その思いが持ち上がってくる。

 あの非道(ひど)い世界に戻りたいなんて、どうかしていると自分でも思うんだけど、

 されているのと 自分がするのでは全く違う事だと思う。


 今まで自分の意思で人を傷つけたことはない。


 自分が気付かない内にしてしまっているかも知れないけど……

 それでも、自分から進んで傷つけに行ったことは無い。

 それを強要されるかもしれない。

 いくら親切にされても、(ルール)が分からない世界は、やっぱり居たくない。

 どうしたら、いいのかな?



 ………………。




 此処と自分の世界では、時間の流れが同じだと聞いた。


(じゃあ、今日は卒業式だったんだ)


 何も無ければ、今頃は卒業式も終わり 明日就職先の寮へ引っ越して、

 明後日は初出勤のはずだった。

 あの家から出られて、新しい世界で頑張ろうとしていたのに……


(まあ、此処も新しい世界には違いないけど……ね)


 自分はとことん運に見放されているのだろうか?

 いやいや、違う違う。

 自分は校舎から落ちたのだった。

 大怪我も負っていた。

 あのままだったら救急車で運ばれても、危なかったかもしれないし、助かっても病院のベッドの上だ。


(むしろラッキーだったのかも?)


 明日帰れたら、まだ間に合う。

 最悪、明後日までに帰れたら……言い訳とか大変だろうけど なんとかなるんじゃないかな?

 やっと見つけた、寮のある就職先なのだ。簡単に諦められない。

 この職場を逃したら、中卒で雇ってくれる所なんて無い。


(しかも、この容姿だし……)


 そう、自分で言うのも落ち込むんだけど、とても中3には見えない。

 小学4・5年生といったところにしか見えないのだ。

 まず背が低い。 140cmしかないのだ。

 そして体重も……25kg。 

 小学生並に小さくて、鶏ガラの様な酷い体。


(よく生きてこられたよね~。 中学校で給食なかったら餓死してたかも。)


 なんせ家で、あたしの食事は無い。


 新聞配達とかちょっとしたアルバイトが あたしの生活費だった。

 なるべく家に居ないようにして、寝るときは物入れの中だった。

 父親によく似た あたしの顔を見るのもウザイらしい。

 そんな母親(あのひと)から逃げ出せるチャンスだったのに。

 給料は少ないけど、寮があって食事もついてて、自分の金が貰えて……

 服買ったり、お菓子も買えるって 夢見てたのに……


(……なんだ? あたし帰らなきゃマズイじゃん!)


 急に、焦ってきたよ?

 のんびりしてる場合じゃないよね。


 よし。

 シードに言おう。

 元の世界に帰してって。

 ちゃんと説明して。

 自分の事だから……


 いい人かもしれないけど、協力できませんって はっきり言おう。


 でないと、取り返しがつかなくなるから。



巫女が出てこなくて すみません。

ええ~っと

まだまだ出てきません。


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