表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
巫女と依巫  作者: 若宮 不二
第1章
10/49

10話 呼び方 ~side雪羽

甘くなりました。

 軽めの昼食を取って お茶を飲んでいると、レスコスさんが来た。

 昼休みに、顔を見に寄ってくれたらしい。

 

 あのホラーな格好を見られなくて良かった。

 

 今は、青色と白の細かいストライプの生地(うすい水色に見える)の

 さっぱりした飾り気のないワンピースを着ている。

 これが似合うかどうかは別にして、人に恐怖を与える事は無いだろう。

 

(ライアさん、ナイスなセレクトです!)

  

 着替えるときに傷跡を見たけど、すごく薄くなっていた!

 何回かしないと、本当には消えないそうだけど、これでも十分ましになったよ!

 

(もぉ!感謝だよ~!)

 

 純粋に、嬉しい。

 コレに関しては、心底、こっち来て良かったと思える。

「ありがとうございます」ってライアさんに言ったら、

 

「当然の事ですわ。完全に消えるまでしましょうね」と微笑まれた。

 

(当然なのかぁ。あたしにとっては、すごい事なんだけどな)

 アースリンドの基準は分からないから、お言葉に甘えさせてもらいます。

  

 部屋に来たレスコスさんは、今日は昨日と違う格好をしていた。

 フード付きマントは無しで、黒いガクラン?みたいな詰襟っぽいのを着ていた。

 神父さんの服の方が近いかも・・・

 ズボンも黒、黒の皮ブーツを履いてる。 聞いてみると、こっちが普通なんだそうだ。

 昨日はたまたま仕事の都合で着ていたらしい。

 あっちが正装?

 こっちはサラリーマンのスーツみたいなもんかなと、勝手に解釈した。

 

 レスコスさんは、お茶を飲みながら この世界の色々なことを あたしに話してくれた。

 

 この世界も1年365日で同じペースで時間が流れているらしいとか

 巫女も依巫(よりまし)も、元の世界に(おく)り帰せるとか

  

(浦島太郎には、ならないって訳ね)

(ちゃんと、帰れるんだ・・・)

  

 昔にいっぱい女の人が召喚されて、この国が気に入って この世界で暮らしてたこと。

 その子孫しか、この世界にはいない事。

  

 レスコスさんは話してみると、中々気さくで、いい人だった。

 話し易かったし。

 

(美形で、性格もいいから モテるだろうな~)

 などと、なんとなく考えていたら

 

「堅苦しいから、名前で呼んでくれないか?」

 などと難易度の高い事を 言われてしまった……

 

 ファーストネーム呼び捨てはちょっと……

 刺激が強すぎます。

 

(ええっと……なんて名前だっけ? 記憶力は良い方なんだけどな……長いし覚え難いんだよね)

 

「シ……シー……ウェルド……さん?」

(長い。舌噛みそう。合ってるのか?)

 

「シーウェルド」

(合ってたか。)

 

「じゃ、シードさん」

(ちょっと略してもいい? でも、年上なのでさん付けでお願いします……)

 

「え?」

 

 

(ちょっと びっくりしてる? やっぱ、失礼か……)

 

(そういえば、機関車トー〇スの鉄道会社オーナーもいちいち『トップハム〇ット卿』って呼ばれてたな)

 

(アメリカ人以外は愛称で呼ばないのか?ハリウッド物しか良く知らないから、会ってすぐにも略すと思ってたけど違うのか?)

 

(英語の教科書では、ジョンとかマイクとかボブとか 短かったよ?)

 

 

「長いし、呼びにくいので……」

(言い訳してみた。)

 

 ああ~ 判った。って顔をする。

(こっちでは やっぱり長いまま呼ぶんですか?)

 

 微妙な間が開いて

 レルコスさんが、にって笑って

 

「さんは無しで。シードって呼んで?」

「俺もユキハって呼んでるから」

 

 

(殺人的笑顔を浮かべて言った! 悩殺されます! まぶしいデス……美形の笑顔は眩しくて耐えられません!)

 

(ううううう……ごめんなさい、抵抗なんてできません。 呼びます、呼ばせて頂きます。 目がやられるので、そんな笑顔を向けないで下さい……)

 

(ええ、そりゃもう、あたしなんて、勿論呼び捨てで結構です。)

 

「……ハイ。 では……シード……」

 

「よろしく、ユキハ」

 

(何の挨拶だよ。コレ……)

 

 

 そして、シードはご機嫌で帰って行った。意味不明。

 あたしは、なんだか疲れて 午後を丸々昼寝に 使ってしまった。

 


前回に引き続き、眠り落ちです。すみません。

雪羽も、他にすることもないですし、今まで好きに眠ってもいい環境に無かったもので『寝たいときに眠る』を ただいま満喫中です。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ