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 ガガガッ! バリバリ!


 紫のオーラを帯びたアレクサンダーの剣と〈バーストレイジ〉の閃光を帯びた〈リベンジャー〉がぶつかり合う! 


(くっ……押しきれないッ)


 何がどうなっているのかは分からないが、今のアレクサンダーは凄まじいパワーだ。気を抜くと押し切られてしまう。


”根性見せろよ、王様ッ!“


(ああ! 最後まで気は抜かないぜ!)


 発破をかけてくる『リベンジャー』に心の中で返事をしながら俺は意識を前に向ける。大切な人を守るため……俺は絶対に負けない!


「アレク、もっとチカラを! デナイト……」

「わ、分かったよ、母さん!」


 アレクサンダーがそう言うと、紫のオーラの力が増した!


 ぐぐっ!


 力を増した紫のオーラに押されてジリジリと場外へと押されていく。それと同時に結界の軋みもひどくなっていく!


”くそッ……ポッと出の癖に全部ひっくり返そうだなんて許さないからな!“


 剣の形状が変わり、〈バーストレイジ〉の閃光が力強さを増す! だが……


(まだ押されている!)


 くそッ! 『リベンジャー』がこんなに頑張ってくれてるのに……負けるわけにはいかないのに!


「アレク……あとイッポです。アトのコトなどカンガエズにスベテをダシキリなさい! サモナイと……」


「言う通りにするよ! だから……」


 アレクサンダーの体から何かが吸い出され、紫のオーラへと吸収されていく……


 ズズズッ……


 アレクサンダーから何かを吸い出した紫のオーラはさらには広がり、『リベンジャー』へと重くのしかかってくる。くっ……


(大丈夫か、『リベンジャー』!)


“まさか心配される時が来るなんてな。お前は王様だ! 気にせず俺を使えばいい!”


 お前……


(もしかしたら、気付かないうちに今までもこうやって助けて貰ってたのかも知れないな……)


 アンドリューの強さや母様の賢さや優しさに憧れて稽古や勉学に励む日々。けど、そんな毎日の中で寂しさがなかった訳じゃない。


(父さまを恨めしく思わなかった訳じゃない……)


 けど、それを認めるわけには行かなかった。だから目を背け、一層稽古や勉学に打ち込んだ。それが『リベンジャー』を傷つけ、奴が俺を憎む理由になった訳だけど……


(見方を変えれば、お前は我が身を割いて俺に前を向かせてくれたとも言えるな)


 そんなこと言ったら、お前はまた怒るだろうか? いや、多分そんなことはないな。だって……


(お前は俺だもんな、『リベンジャー』!)


 お前は俺で……


 バリッ


 赤黒い光が小さく爆ぜる!


(俺はお前だ!)


 バリッ!


(だからこれからも一緒に行こうぜ、相棒!)


 バリバリ! バリバリバリバリ!


 赤黒い閃光がどんどん広がっていく!!!


「ナ、ナニィィィ!?」


 赤黒い閃光が爆発し、紫のオーラを包み込む! それに伴い、『リベンジャー』は徐々にアレクサンダーを押し返す!


「なにこれ母さん!」


「アレク、モットチカラを! レベルをササゲルのデス!」


「で、でもそうしたら押し負けて……」


「ワタシのイウコトがキケナイの!?」


「わ、分かったよ! 母さん!」


 紫のオーラが再び勢いづく! が……


「させねーよっ!」


 押し返そうとする紫のオーラを赤黒い〈バーストレイジ〉が押し止め、さらには押し返していく! 


「今だ王様! タイミングを合わせるぞ!」


 その短い言葉には大事なものが省略されている。が、それでも俺には奴の意図が伝わった!


「「〈ブレイジングサン〉!!!」」


 俺と『リベンジャー』、二人のスキルが発動した!


 ドッカーン!!!


 一瞬の爆音の後、俺の目の前から全ての音光が消え失せた……



「う……」


 気がついた時、視界に入ったのは闘技場の石畳。そして……


「おう……早かったな」


 ボロボロになった『リベンジャー』が傍にいる。そして、少し離れたところにアレクサンダーが倒れている。


「立てるか?」

「ああ」


 俺は立ち上がり、『リベンジャー』と並ぶ。すると、『リベンジャー』が簡単に状況を説明してくれた。


「気を失ってたのは五〜六秒ってとこだ。紫のオーラは消えて、アレクサンダーはピクリとも動かねぇ」


「そうか……ありがとう」


「気にすんな。けど、流石に俺も限界だ。後は任せたぜ、王様!」


 そう言うと、『リベンジャー』の姿は溶けるように消えた。多分〈アウェイキングシャドウ〉の効果が切れて俺の中に戻ったんだろう。 


(ゆっくり休んでくれ、『リベンジャー』……)


 今度また、ゆっくり話を聞かせてくれ。お前にはいっぱい借りがあるんだからな。


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