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一難去って……

(アンドリュー視点)


「……とりあえず今日はこんなところでしょうか」


 シャーロット様はそう言うと、額の汗を拭われた。そんな一見何でもない仕草さえ絵になるお方だ。


(まさしくエドワード様にお似合いの女性……)


 おっと、そんな不純なことを考えている場合じゃない。私が瀕死の重傷を負ってからシャーロット様は毎日こうして〈セイクリッドヒール〉を発動し、私の傷の手当てをして下さっているのだ。


「私などの為に毎日ご苦労をおかけして申し訳ありません」


「何を言うのです、アンドリュー! あなたはエドワード様の大切な方。なら、私にとっても大切な存在です」


 こんな老骨に何とお優しいお言葉……この美しい心もまたエドワード様の奥方に相応しい。


(だから……いや、だからこそお守りしなければならない)


 エドワード様が戻られるまでシャーロット様を守り抜く。これが主君であるエドワード様に命を救われるという不様をさらした私の出来る唯一の贖罪なのだから。


「どうかしましたか?」

「あ、いえ。少し今後のことを」


 今、シャーロット様は微妙な立場にある。エドワード様になりかわったアレクサンダー様は王の命令により徐々にエドワード様として扱われつつある。


(しかも、元々天恵の儀を終えたあとは結婚という段取りでしたからな……)


 既成事実を作りたい王は本来なら即アレクサンダー様とシャーロット様の結婚を断行したいところだが、ここに来て一つ問題が出来てしまった。


「ふふふ……癇癪を起こした甲斐がありましたね」


「……シャーロット様」


 私は涼やかな笑みを浮かべながら短い髪を手で漉くシャーロット様にそう言うことしか出来なかった。絶対絶命のシャーロット様を救ったのは実はこの短くなった髪なのだ。


「こんななりでは結婚式には臨めませんからね」


 更にアレクサンダー様によるエドワード様に対する暴挙もある。国内有数の大貴族の御息女であるシャーロット様が髪と私の治療を理由に結婚を延期すると言われれば、例え王であっても無視することは難しい。


「髪が伸び切るまで半年というところでしょう……エドワード様はそれまでにお戻り下さるでしょうか」


「勿論ですとも!」 


 少し不安げな顔を浮かべるシャーロット様に私は自信満々にそう答える。現実的にはエドワード様が生きておられる可能性はかなり厳しい。が……


(あのエドワード様を天がお見放しになる訳がない!)


 母に先立たれ、実の父に疎んじられるという逆境の中でも真っ直ぐ育たれたあのエドワード様。そんなエドワード様を天がお見放しになる訳がない。初代国王様の力を受け継がれたのがその証だ。


(このアンドリュー、信じておりますぞ)


 エドワード様、私達だけではありません。城中の誰もが真の第一王子の帰還を待っておりますぞ!


(エドワード視点)


(……体は大分動くようになってきたな)


 軽くストレッチをしながら俺は自分の状態についてそう判断した。これなら明日からは軽く素振りやランニング程度ならしても良いかもしれないな。


(しかし、ここまで回復するのに一週間もかかるなんて……ダーククラスのリスクは半端ないな)


 得られる力は強大なのだが、その後一週間近く寝たきりになるって言うのはあまりに代償が大きすぎる。


(奥の手としてはアリだが……もっと違う手段で強くならないとな)


 意識を取り戻してからは、アンドリューから貰った本を読んだり、ステータスを見たりしてクラスについての知識を色々と得た。しかも、この森での生活で一つクラスを獲得してる。


(一応確認しておくか)


 まあないとは思うが、クラスレベルが上がっている可能性もあるからな。


◆◆◆


エドワード Lv1(レンジャーLv1)

力   9

防御  8

魔力  6

精神  7

素早さ 8(+10)


スキル

〈弓の道〉


◆◆◆



 ちなみにこの『レンジャー』というクラスの説明はこんな感じ。



◆◆◆


レンジャー

 森や荒野で生きるためのクラス。索敵や潜伏が得意なクラスへと派生する可能性がある。


Lv1

〈弓の道〉

 ダガーや弓などを装備している時に武器攻撃とスキルが強化される。また、〈ふんばり〉を得る。


◆◆◆



 中〜遠距離の戦いが得意なクラスなのかな。まあ、まだどんなスキルが得られるのか分からないから何とも言えないが。


「食事の用意が出来ましたよ〜」

「ありがとう! 今行く!」


 とりあえず食事にするか。



初代国王手記 : スキルの章


〈セイクリッドヒール〉

 かつてこのアイゼムアース王国を建国に尽力した聖女イザベラのスキル。傷を一瞬で完全に回復する法外な効果を発揮するが、対象が瀕死の重傷であったり、生命力が弱い場合、または使用者の熟練度が低い場合は継続的な治療が必要なこともある。


初代国王手記 : クラスの章


クラスレベル

 クラスにはそれぞれそのクラスにどのくらい習熟したのかを示すクラスレベルというものがある。ステータスでクラスを選び、クラス毎の条件を満たすと熟練度が溜まり、レベルが上がっていく。クラスレベルが上がることでスキルを手に入れることもある。


クラス補正

 現在選択しているクラス毎にパラメーターに補正がかかる(例外あり)。これをクラス補正という。パラメーターが上がるだけでなく、下がることもあり、例えば魔法系クラスになると魔力や精神に+補正がかかる一方、力や防御、素早さには−補正がかかることも多い。


エドワードからのお願い:

 いや、本当にダーククラスのリスクは半端ない。一体何のためにあるんだよ、ダーククラスって……

 まあ、”王族たるもの、誰よりも勤勉であるべし“だからな。クラスについてはこれからも色々探っていかないとな!

 ところでブクマやポイントってもう入れてくれてるか? まだなら是非よろしく頼む。筆者がエタってアレクサンダーを倒す前に連載が終わると困るからな! よろしく頼む!


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― 新着の感想 ―
生きてましたかアンドリュー。 シャーロットも今後どうするのかと思いきや、先の断髪シーンが幸いでしたね。 ダーククラスのリスクを考えれば、戦闘の組み立て方もいろいろ考えら必要性が、 新たなクラスを得て…
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