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影との戦い


 俺はヘイゼルの教えてくれた方法を試す前に準備を整えることになったのだが……


「ディラン、口開けて」

「いや、自分で──っ!」


 そう言ってスプーンを取ろうとした瞬間、腕に激痛が走る。顔をしかめた俺にエレナは眉を吊り上げた。


「だから言ったでしょ! 私、シャーロットさんからディランのことを任されてるんだから言うことはちゃんと聞いて!」


 そこまで言われると、黙って言うことを聞くしかない。”約得じゃねーの?“と小声で耳打ちをしてくるオリヴァーさんは、からかってると言うよりリラックス出来るように気を使ってくれてるんだろう。


(何せみんなに心配をかけてしまったもんな……)

 

 ちなみに俺とヘイゼルの怪我を治してくれたのは何とシャーロットだった。試合が終わった後、重傷を負った俺を見て、ヘイゼルが例の書類──マシンGがルーンブレイドと共に持って来てくれた物だ──を出して呼んでくれたらしい。


“シャーロットさんもディランの元に駆けつけるつもりだったからすぐに来てくれたよ”


 そう教えてくれたのはエレナだ。シャーロットは俺が目が覚めるまでいたかったらしいが、流石に数時間程度しか城を抜け出すことが出来なかったようだ。


(心配かけてごめんな、シャーロット)


 シャーロットだけじゃない。ヘイゼルもエレナもオリヴァーさんにも大分心配をかけてしまったと思う。が、今は謝るよりも明日の試合に向けて今の自分の状態を何とかしなきゃいけない。


(後はスキルを確認しておくか……)


 食事を取り、オリヴァーさんに手伝って貰って着替えた後、俺はステータスを操作した。正直あまり見たくはない。が、敵を知ることは大切だ。ましてやこれからすることを考えれば見ない訳にはいかない。



◆◆◆


〈アウェイキングシャドゥ〉

 自らの心の影を呼び起こす。


◆◆◆



(何だこのスキル……)


 一体どんなスキルなのかテキストを読んだだけでは分からない。


(まあ、とりあえず今は使うことはないか)


 少し身動きをするだけでも出血する今、こ使えばどのくらいダメージを受けるかは分からない。使えないスキルの効果が分からなくても大きく困ることはないだろう……と俺はザワついた自分の気持ちを誤魔化した。


(平常心……平常心……)


 ヘイゼルの説明は具体的ではあったが、不明確なものだった。と言っても、彼女を責めてるわけじゃない。つまるところ、心の問題というやつはそう言う性質があるんだろう。


(とにかく気持ちを整えるのが大切なんだったよな)


 ヘイゼルが提案してくれた方法、それは……


「ディラン、準備は出来たかの?」

「ああ」


 ヘイゼルの手には例の初代国王の手記がある。彼女の提案とはつまり、これを使うということなのだ。


(前にこの手記を開いた時、俺は不思議な空間でアノニマス達と出会ったことがあった……)


 あれは確かアレックスと戦う前だったが、その時『シーフ』のクラスを得ていることを知り、『アノニマス』とヘイゼルから助言を貰った。今回ももしかしたら……ってことだ。


(都合が良い考えかも知れない。でも……)


 でも、もしかしたらこの手記はダーククラスの被害を食い止めるためにあるんじゃないかと今は思えている。特に根拠がある訳じゃない。が、実はヘイゼルも同じ考えだった。


「なら、試してみるかの」

「ああ」


 ヘイゼルが俺の手に初代国王の手記を握らせてくれた瞬間、白い光が視界に広がった!



(ここは……)


 白い光が収まった後、俺は青空の中にいた。


(足はつくな……)


 よくわからないが、地面は鏡のようなもので出来ているのだろうか? よく見れば景色は地平線のようなもので丁度対称になっているように見える。


「よう……来たな」


 目の前にいたのはやはり『リベンジャー』だ。俺の顔に俺の剣、それに俺の装備。見た目は何から何まで同じだが、全く違う相容れない存在。それがコイツだ。


「つれねーじゃねーか。来ると思って待っててやったのによ」


 まるで俺の考えが分かるかのような言葉だが、多分それは気の所為だ。俺が何も言わないから、そんなことを言ったんだろう。


「クラスチェンジが出来ないのはお前の仕業か?」


「だとしたらどうする?」


 からかうような返事にも俺は動じない。話が通じるような奴じゃないことは分かってる。


(なら、力づくで聞き出すまでだ!)


 俺が黙って剣を構えると、『リベンジャー』は馬鹿にするように薄く笑った。


「力づくか? 良いぜ、俺との力の差を思い知らせてやるぜ!」


 俺が地面を蹴ると同時に『リベンジャー』も足を踏み出した!

筆者の一人言 :

 シャーロットとアンドリューがディランの治療に来た流れですが、大雑把に言うと


出し忘れていたと言って推薦状を受付に出す→アンドリューの元に確認の連絡がいく

→アンドリューにディランの居場所が分かる

→変装したシャーロットとアンドリューがディランの元に


 といった感じです。


『リベンジャー』の叫び :

 エドワード、エドワード、エドワード!

 遂にこの時が来たな、エドワード! 待ちわびたぜ、この時を! 


 さて、俺の力、俺の憎しみ、俺の怒りをたっぷり思い知らせてやるからな!


 ……ん? そういやあんた達はブクマ&ポイントはポチッとしてあるか? 俺の力は怒りと憎しみ。もしポチッとしてないなら今すぐした方がいい。じゃないてうっかりスキルがそっちに行っちまうかもしれないからな!

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