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禁じ手

「〈ダブルシュート〉!」


 俺はスキルを発動して腰に着けたダガーを放つ! それは確かにヘイゼル達を狙っていた男に命中したのだが……


 ブン……


 何と攻撃が当たった瞬間、光の壁が現れて俺のダガーは弾かれてしまった!


「は、はははっ! ひやっとしたが、本当にダメージを受けないぜ!」


「便利な魔道具だ! こんなものまであるなんて知らなかったぜ!」


 ドカッ!


 スキル発動後の隙をつかれて攻撃を受けた俺は後退する。くそっ、次から次へと……


(ダメージを防ぐ魔道具か? こんな貴重なものをどこから……)


 アーティファクトに近いレベルの魔道具……明らかにルール違反の代物だ!


(だが、防げるダメージに上限があるはずだ。それを上回る攻撃が出来れば……)


 対抗策を考えているうちに赤い雷が飛ぶ! ヘイゼルとエレナの悲鳴が俺をより一層焦らせる。


「見ての通り俺達に攻撃は通じない。諦めな。お前達はここまでだ!」


「ぎゃはは! まずはお前から潰してやる!」


 二人がかりの攻撃にうまく立ち回ろうとするも防御しきれず、ダメージを食らう。くそっ……攻撃が通じないから相手が怯んだり、迷ったりという局面が作れない!


「ディラン!」


 エレナが俺に向かって走ってくる。だ、駄目だ! それが奴らの狙いだ!


(次は一人になったヘイゼルが狙われる!)


 くそっ……どうしたら……


(この局面を切り開くには……)


 その時、闘技場の一番高い場所にある貴賓席でキラリと何かが光った。


(なにっ……)


 戦いの最中に別の物に気を取られるというあり得ない失態。だが、それはそんな常識とは別の意味で致命傷になった。


(アレクサンダー! それにシャーロット!?)


 そこにいたのはアレクサンダーと顔を伏せながら涙を流すシャーロット……一体何が!?


(許さない……許さないぞ、アレクサンダーッ!)


 次々と俺の大切な人を傷つけて……お前は必ず殺すッ!


(クラス変更……)


 憎しみと怒り……それらが混ぜこぜになったようなドス黒い感情が俺の心に満ちる。


”ぶちまけろ……お前の怒りを……“

“見せつけてやれ……お前の憎しみを……”


 誰かが囁く声のままに、俺はスキルを発動した……


「〈バーストレイジ〉ッ!」



「……&$@」

「&‰%#!」


 誰かが話している声がする。だが、何を話しているのかは聞き取れない。


(ここは? 試合は一体どうなったんだ?)


 記憶の糸を手繰り寄せようとするが、意識は混濁して言うことを聞かない。くそっ……なんだんだよ、しっかりしろよ!


「@$#%‰!」

「?℃®©€!」


 話をしていた二人は俺の意識が戻ったことに気づいたらしく、俺の元へ近付いてくる。


”ここは? 俺は一体……?“


 そう言ったつもりだったが、口から出たのは言葉にもならない弱々しい咳だけ。そのことに戸惑い、喉に手をやろうとするが、それさえもままならない。


 ガシャン!


 何かが割れる音がする。意図しない動きをした俺の腕が何かに当たったのか……


(くそっ……俺はどうなってるんだ? それに皆は!? シャーロットは!)


 さっきの音を聞いたのか、誰かが慌ただしく部屋に入って来る足音がする。誰が入って来たのかを確かめようとしたものの、俺の意識は既に暗転し始めて……



「……!」


 次に目覚めた時、俺は寝泊まりしている宿のベッドにいた。


(試合は!? 皆は!)


 起き上がると、入り口にもたれて寝ているオリヴァーさんとヘイゼルが目に入る。体にかかる僅かな重みに気がついて目をやると、俺にもたれかかるようにして寝ているエレナがいた。


(みんな無事……なのか?)


 皆が見た限り変わりはなさそうに見えることに安堵しつつ、俺は記憶を呼び起こそうと頭に手をやったのだが……


 ズキッ!


 腕に痛みが走り、意識が鮮明になる。それにより、俺は自分の全身が包帯でグルグル巻きにされていることに気がついた。


(何だよ、これは……)


 訳が分からない。俺は確か試合をしていて……


「ディラン、動かないで欲しいのじゃ」


 俺の意識が戻ったことに気づいたらしく、ヘイゼルがそう声をかけてくる。そして、エレナもまたもぞもぞと身動きをしている。


「とりあえず、皆無事じゃ。試合にも勝った。じゃが、手放しには喜べん。今から説明するからそのまま聞いて欲しいのじゃ」


 今まで聞いたことがないくらい固いヘイゼルの声に驚きながら俺は頷く。すると、彼女はまるで赤児を扱うように丁寧に俺をベッドに横たえた。


「落ち着いて聞いて欲しいのじゃ。落ち着いて対処すればまだ、何とかなる。じゃから、先ずは妾を信じて話を静かに聞いて欲しいのじゃ」


 今まで見たことがない顔でそう懇願するヘイゼルに驚きながら、俺は黙って首を縦に振った。


筆者の独り言:

 ちなみに試合開始時のディランのステータスはこちら!


◆◆◆



エドワード Lv14(アノニマスLv2)

力   22

防御  21

魔力  14

精神  15

素早さ 20


スキル

〔〈剣の道〉     〕

〔〈ダブルスラッシュ〉〕

〔〈パリィ〉     〕

〔〈レイジバースト〉 〕


◆◆◆



 試合はどうなったのか! ディランは今一体どんな状況なのか! 次話で顚末が明らかに! ブクマやポイントがまだの方は是非! 何せ次話ではまたまた急展開ですから!


……え、休みが欲しい? あ、どうしよう

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