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その先にあったのは……

「ディラン! ってことはボスを倒したのか。すまんな、遅くなって」


 エレナとヘイゼルには休んでいて貰い、俺はオリヴァーさんの様子を見ればと第二階層のダンジョンに戻った。が、何とあの鬱陶しい森は全て消えていた。


「残しておいてくれた目印を頼りに進んでたんがな、とにかくややこしくて。しかも、ゴーレム達も厄介だしな」


 俺達があの男が操るゴーレムを破壊したからだろうか。とにかく今、この第二階層は何もない真っ白な空間になっていて、ここにいるのは俺と別れた時のままのオリヴァーさんだけだった。


「オリヴァーさん、無事で何よりです」


「大丈夫って言っただろ? ま、ちょっと手間取ったがよ」


 流石C級冒険者のオリヴァーさんだ。あの厄介な相手を一人で退けてしまうなんて。


「で、そっちはどうなんだ? ボスは倒せたんだろうが、二人は無事なのか?」


「ヘイゼルはダメージを負って、今ポーションを。エレナが付き添ってくれてます」


 他にも話すべきことはある。が、あの男とエレナの関係は今話すべき話ではないだろう。


「分かった。じゃあ、行こうか。時間もあまりないしな」


 第二階層のダンジョンを抜けるために予想以上に時間を食ったから残る時間はあと一〜二時間しかない。急がないと……



「これは?」

「何もない……!?」


 上へと上がる階段を登った俺達を待っていたのは何もない白い空間だった。


「上へ登る階段もない……か」

「行き止まりってことか?」


 オリヴァーさんの呟きにヘイゼルは油断なく見回しながら首を振った。


「いや、それはない。出るための手段は必ずあるはず。でなければ、脱出のための制限時間など表示されないはずじゃ」


 確かに制限時間だけあって肝心の出口がないって言うのはチグハグな話だ。勿論そう言う罠だとか色んな可能性も考えられなくもないが、それは今考えても意味がない話だ。


「とにかく何か手がかりがないか調べてみるのじゃ」


「俺は床を見てみる。ディランとエレナは壁を頼む」


 ヘイゼルとオリヴァーさんに言われて俺とエレナは壁を調べ始める。でも、白い壁には何も変わったところは見当たらない……


「ディラン、何か見つかった?」

「いや……」


 俺達はオリヴァーさんに合流して床も調べで見たが、何も見つからない。


(本当にここで行き止まりなのか……?)


 俺がそう思ったその時……


 ガタン!


 床が音を立て、何かが現れた!


「ふむ、石碑じゃな。部屋全体を調べたから現れたのか、それとも時間が関係していたのか……」


「とりあえず読んで見ようぜ……って何だこりゃ!」


 石碑を見たオリヴァーさんがそう言うのも無理はない。石碑は俺達の知らない文字で書かれていたのだ。


「古代語の一つじゃな。大丈夫じゃ、妾は読める」


 そう言うとヘイゼルは石碑に書かれていた文字のようなものを読み始めた。


「何々…”禍々しき我が呪い、それこそが道を切り開くたった一つの力“と書いてあるの」


 呪いが力……?


「これは……何かの謎かけか? それとも暗号か何かを言わなきゃいけないのか?」


 ダンジョンの中には冒険者の知恵を試すかのような謎解きがあるものがあると聞いたことがある。何故そんなものがあるのか……神の試練だとか何とか色んな説があるらしいが確かなことは分からないらしい。


「どうじゃろうな。呪いか……ふむ、そう言えば誓約(ゲッシュ)という呪いを受けた勇者が世界を救ったという話があったの」


 呪いを受けた勇者……? 初耳だ。


「聞いたことないな。二人はどうだ?」


 オリヴァーさんに聞かれて首を振る俺達にヘイゼルは苦笑した。


「知らないのも無理もない。何せ今の世界が生まれる前の伝承じゃ。人が知り得る歴史の範疇ではないからの」


 流石幻獣……そんな途方もない昔の話まで知っているのか。


「……といかんいかん。で、どうするかじゃな。ふむ、確か続きはこうじゃ。“我、呪いを与えしこの世界を愛す。願いが呪いに転じる理を愛す。故に我、世界の再生を乞い願う“」


 ゴゴゴ……ガタン!


 再び音がして現れたのは、上へと登る階段……出口だ!


「皆、待てよ。ヘイゼル、時間は後どれくらいある?」


「十五分じゃな。この部屋の捜索にかなり時間を使ったからの」


「よし……焦るなよ。ダンジョンならこれが罠で本物の出口が別にある可能性だってある。慎重に調べるぞ」


 な、なるほど。そんな可能性さえあるのか。


「みんな、何か気になることがあったら言ってくれ」


「ふむ……気になると言えば、この文字じゃな」


「文字って石碑の?」


 エレナがそう問うと、ヘイゼルは頷いた。


「この文字は▲というのじゃが、もはや扱える者などいないはずのものじゃ」


 このアーティファクトはアレクサンダーが起動したものだ。あいつやあいつの部下にそんな文字を読み書き出来る人材がいるのだろうか。


「それにこの石碑に書かれていた伝承……妾の知るものと同じものだとすれば、一体どうやって知り得たのかが気になるの」


 確か、ヘイゼルは“今の世界が生まれる前の伝承“と言ってたな。アレクサンダーの元にも幻獣がいる? いや、自分で言うのも何だが、幻獣と共に行動している人間なんて他にいるはずがないな。


「確かに。俺には想像もつかない話だ」


「ま、それは後でも考えられるの。今は脱出が先じゃ。出口は大丈夫そうかの?」


「特に変なとこはないよ。今までと同じように見えるけど」


 エレナがそう答えた瞬間、床一面に紫の光が走った!

ヘイゼルからのお願い :

 この光はまさか! アーティファクトといいこの光と言い、アレクサンダーという奴は一体何者なのじゃ? 


 ここから先は息つく間もないくらいの急展開なのじゃ! 本当じゃぞ? だから、ブクマやポイントがまだの方は今のうちにポチッとしておくのがオススメなのじゃ!


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