決着と傷痕
“エドワードさま、アト280ビョウでりみっとデス”
マシンGが耳元でそう俺に警告してくれた。実はさっきの攻撃の前にマシンGのアーマーモードに隠されたある機能を発動していたのだ。
「分かった」
アーマーモードの切り札、ハイパーアシストによる身体能力強化による一撃はあいつにも有効だ。だが、体に強烈な負荷がかかるというリスクがある。それ故に使用出来る時間に制限があるのだ。
(どの道、時間はかけられない。即効で潰す!)
俺はステータスを操作し、クラスを変更し……
ドカッ!
次の瞬間、俺の体が宙を飛ぶ。殴られたのだと分かったのはそれから数秒経ってからだった。
「グッ!」
地面に体を打ちつけられた俺は慌てて起き上がり、追撃に備える。が、既にエレナは動いていた!
「〈竜拳〉!」
スキルを発動したエレナの攻撃! それは確かに男の体に突き刺さった。が、男は少し後退しただけで耐えきった!
「くらえ!」
俺は再び右腕から閃光を放つ! が、男は僅かに後退し、回避する!
(クソッ……)
舌打ちしながら走り出そうとしたその瞬間……
ビュッ!
これはヘイゼルの風魔法!
「わ、妾を無視するとは愚策じゃ……な」
男は何も答えずに俺達から距離を取る。俺の攻撃がいい具合にフェイントになったようでかなりの深手を与えたようだ。
「ヘイゼル、無理はするなよ」
「ふん、あの呪いに比べればこんなもの……」
ヘイゼルはそう強がるが、口調ほど余裕があるようには見えないな……
(早めに勝負をつけて怪我の具合を確かめた方が良いな)
常に身につけているアンドリューのマジックパックにはポーションが入ってる。早くヘイゼルに渡したいが、今それを出そうとすれば確実にやられる。やはり早めに決着をつけるしかないか。
(このまま行けるか……?)
俺とエレナで撹乱し、その隙をヘイゼルの魔法で追撃してもらう。ネタはバレていてもアイツも手負いだ。さっきまでと同じような動きは出来ないだろう。
「エレナ、行けるか?」
「……勿論だよ、ディラン」
エレナは男から目を離さない。その鬼気迫る様子には少し不安も感じる。が……
「くそっ、お前ら本当に面倒くせぇ……」
……男の雰囲気が変わった!
「こうなったら──何ぃ?」
男の体が急に動きを止める。それに伴って体が縮み、色が消えていく。
「くそっ……壊れ、やがった。脆いゴーレムだ」
な、何だ? あいつは生身じゃなかったのか?
「逃げる気か! この卑怯者ッ!」
エレナがそう怒鳴ると、形を色を失いつつあったゴーレムは口元だけをニヤリと歪めた。
「……なぁに、また直ぐに会えるさ。その顔、しっかりと覚えたからな。あいつの娘、今度こそ──」
ガチャン! ガラガラ……
ゴーレ厶は完全に機能を停止し、崩れ落ちた……
*
「ヘイゼル、大丈夫か?」
「すまぬ。少し休めば大丈夫じゃ」
俺はそう声をかけながらポーションを渡す。けして軽いダメージではなさそうだが、ポーションを飲んだヘイゼルの顔色は少し良くなった。
(……これで少しはマシになりそうだな)
だが……
(何て声をかけたら良いんだろう……)
俺には背を向けているエレナにかける言葉が見つからない。
(悔しいのか、それとも憎らしいのか……)
あるいはそのどちらかか。そして、それらはお父さんを想い出せば想いだすほど強くなる。けど、エレナがお父さんを忘れる時があるは思えない。
「エレナ、いずれ決着をつけよう。俺と一緒に」
出て来たのはそんな言葉だった。本当は俺はエレナにあんな下卑た男と関わりを持って欲しくない。復讐心や憎悪といった正しいとは言い辛い感情だって持ってほしくない。けど……
(それは俺のワガママだよな)
エレナはもう十分過ぎるくらい辛い目にあってきた。それでも前を向いて生きている彼女にはこれから幸せになって欲しいと思う。が、だからといってあの男のことを忘れることなんて出来るはずもない。
(だから、俺に出来るのは……)
俺に出来るのは一緒に戦い、傷つくことだけ。こんなことしか出来ないけど、これだけは出来る。
「ありがとう、ディラン。でも、今は前に進まなきゃだよね」
エレナはそう言ってぎこちない笑みを浮かべる。そんな表情も彼女には似合わないと俺は思う。が、エレナの傷は彼女のもの。だから俺にはどうにも出来ないし、しようと思っちゃいけないんだ。
「すまぬが、手を貸してくれぬか? 立ち上がりたいのじゃ」
「ごめん、ヘイゼル! 今行くね!」
そう言ってヘイゼルに駆け寄るエレナはいつも通りの彼女だ……少なくとも表面上は。
(今はこれで良しとするしかないよな)
だが、いずれ必ずエレナが心から笑えるようにして見せる。エレナのためにも、彼女のお父さんのためにも……
マシンGからのお願い :
ヒトまずテキはシリゾケましたガ、サイセンのカクリツは100%です。そのトキのエドワードサマのショウリツは……
(データベース検索中)
……ムムッ、ケンサクのケッカ、アナタが『ブクマ&ポイントをポチッとしているか』にカカッてイルとデマした。ブクマがナニカはワカリマせんが、ゼヒヨロシクおねガイシマス!




