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迷いの森

「ふむ……それはこの森の力かもしれぬな」


 俺が方向感覚を失ったことを言うと、ヘイゼルは考え込みながらそう言った。


「昔、この世には方向感覚を惑わせる森があると聞いたことがある。それに妾もどちらから来たのか今ひとつはっきりしない部分があるの」


 幻獣であるヘイゼルの感覚さえ惑わせる森……そんなものがあるなんて


「……そうなの? 私には普通の森に思えるけど。来たのはあっちの方向だし」


 そう言うエレナに教えて貰うと俺にも何となく来た方向と向かっていた方向が分かってきた。


「ふむ。獣人の血が流れているエレナにはこの森の力が効かぬようじゃな。なら、ディランと協力して進む方向を決めるのじゃ。前方の警戒は妾がしよう」


「イエ、ワタシにオマカセください」


 マシンGがソードモードから通常の人型に戻る。確かに魔法を多用するヘイゼルよりもマシンGの方が前衛に向いてるな。


「ふむ。良いかの、ディラン」


「勿論です。頼むぞ、マシンG」


「おマカセください。セントウジにはソードモードにもどリマス」


 ヘイゼルとマシンGからの気遣いに感謝とほんの少しの気まずさを感じながら俺は頭の中のマップへ意識を戻す。とにかく夜明けまでにこのアーティファクトから脱出するんだ!


「テキがチカヅイテキます!」


「むっ……数は分かるかの?」


「二、いえ三体?」


「ワタシもそうハンダンします」


 ソードモードに変形したマシンGを持った俺とエレナが前に出たところで相手が現れた!


(さっきの階層の奴と少し違うな……)


 前の階にいたのは人型に近いゴーレムだったが、今目の前にいるのは四足獣のようなゴーレムだ。


 ダッ!


 先行していた二体が俺達に飛びかかる! 速いぞ、コイツ!


「〈パリィ〉!」


 俺は〈パリィ〉で爪による攻撃を防御する。あわよくば反撃を……と思っていたのだが、ゴーレムは防御された瞬間に俺から飛び退いて距離をとる。


(厄介だが……好都合だ!)


 飛び退いたゴーレムが着地した瞬間……


 ビュッ!


 ヘイゼルの風魔法が奴の体を両断する。前の階にいた人型ゴーレムより素早い分、防御力は低いみたいだな!


 ザン!


 最後の一体がこちらへ来る前にエレナに加勢してさっき飛びかかってきたもう一体のゴーレムを破壊する。よし、これで……


「ディラン、逃しちゃ駄目!」


 エレナにそう言われて俺は咄嗟にクラスを『レンジャー』に変更し、〈ダブルシュート〉を発動! 短剣に変形したマシンGは逃げようとしていた最後の一体に突き刺さった!


「ギャオオオ……ン……」


 遠吠えのような声を上げながらゴーレムが機能を停止する。よし、これで……


「ディラン、気を付けて! 多分次が来る!」


 次? まさかさっきの遠吠えで仲間を呼んだのか!?


(劣勢になれば一旦引いて仲間を呼ぶ……形だけじゃなくて攻撃パターンもさっきの階のゴーレムとは違う!)


 前の階層の奴らは俺達を見れば襲ってくるだけの単純な奴らだったのに……厄介だ。


「これではきりがない! 一旦引くのじゃ! ディラン、案内を!」


「こっちだ!」


 さっきの倍以上の足音から逃げるように俺達は来た道を急いで引き返した……



 方向感覚を狂わせる森に、仲間と連携をとるゴーレム。これだけでも厄介なのだが、さらに困ったのが、ここの植物達の異常な成長速度だ。


(マッピングしていてもしばらくすると道がなくなっちゃうんだもんな……)


 だが、これもエレナの力に助けられた。彼女は森での生活が長かったらしく、彼女にかかれば生えたばかりの植物を見分けることなど朝メシ前らしかった。


(方向感覚を奪い、道まで変えていく……酷いダンジョンだな)


 まさに侵入を迷わせるためにあるようなダンジョンだ。エレナがいなければ俺達は永遠に彷徨っていたかもしれない。


「……大分時間は取られたが、何とかこ

こまで来れたの」


 今、俺達の前には前の階にもあった大きな扉がある。多分この先がボスの部屋だ。


(今度はどんな奴だ……?)


 この嫌らしい仕掛けのダンジョンのボスだからな。陰険な奴に違いない。いや、もしかしたら今度こそモンスターかも。


「行こう。準備はいいか?」


「勿論じゃ」「大丈夫!」


 二人が応えるのを確認して、俺は扉をゆっくりと押した。


 ぎぃぃぃ……


 鈍い音を立てて開いた扉の先にいたのは……


「あん……? 何だ、お前ら?」


 俺達の前にいたのは横になって酒を呑んでいるだらしない男だった。


「ゴーレムじゃねーな。ってことはまさか、お前らが標的か!」


 標的……やはりこいつがボスらしいな。けど……


(隙だらけだ……)


 だらしなく体を横たえている男からは俺達に対する備えを全く感じられない。にも関わらず攻撃が出来ないのは、隙があり過ぎる相手に戸惑っていたからだ。


「あの森を抜けられる人間なんているはずねぇんだが……面倒くせーが、仕方ねぇか」


 男がやる気のない声を出したその瞬間……


 ドン!


 俺は誰かに押されてバランスを崩す。が、その直後、さっきまで俺がいた場所を何かが通過した!


「ん……外した? 飲み過ぎたか?」


 何といつの間にかあの男が俺達の真ん中に立っている! な、何てスピードだ!


「ま、いいや。そのうち酔いも覚めるだろ」

 

 ヤバいぞ、こいつ……

エレナからのお願い :

 この人、強い! それに何ていうか…… とにかく油断しちゃ駄目。貴方も気をつけて! もしかしたら狙われるかも。

 え、ブクマとポイントがまだ? それは危険だよ! あいつは多分ブクマ&ポイントをポチッとしてない人から狙ってくる! 気をつけて!

 

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