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誘い

 翌朝、目が覚めた俺は起き上がると、昨日見た夢について考えた。


(結局『リベンジャー』って何なんだ?)


 クラスとは俺の可能性が形になったもので、俺の一部なんだと『アノニマス』は言っていた。が、『リベンジャー』は他のクラスと何もかもが違い過ぎる。それが”ダーククラス“と言われる理由なのかも知れないけど……


(大体、『リベンジャー』はどんな可能性が形になってるんだ?)


 最初はアレクサンダーに対する復讐心が形になったものだと思っていた。が、それにしては何だが色々とおかしい。


(確か最初に会った時、『リベンジャー』は少年の姿だったな)


 拷問や虐待を受けている少年、それが最初に会った『リベンジャー』の姿だった。そしてその傷について尋ねると、彼は俺に激高した。


(『リベンジャー』がアレクサンダーに対する復讐心なら俺に怒る理由なんてないんじゃないか?)


 他にも分からないことはある。が、俺は妙にこの『リベンジャー』が俺に向ける敵意の理由が気になっていた。何だが、全ての謎がそこに隠されている気がして。


「ヘイゼル、早く!」

「わ、分かっとる!」


 あ、エレナとヘイゼルだ。二人はもう起きてるのか!


「もうッ! 寝坊なんてするから!」

「最近調べ物をしとっての……つい」


 何だが忙しそうだ。俺もそろそろ起きて支度しないとな。



 何だかんだで支度を終えた俺達は無事迎えの馬車に乗り、王宮へと向かった。


(ここに入るのも久しぶりだな……)


 案内された大広間も俺はよく知っている。当たり前だ。俺はここで生まれ育ったんだから。


「す、凄い場所だね」

「ふむ、中々のものじゃな」


 エレナとヘイゼルはそれぞれの感想を口にする二人を見ながらオリヴァーさんはそっと俺に耳打ちした。


“ディラン、お前はどっちがタイプなんだ?”

“タ、タイプって……”


 ちなみにヘイゼルは普段流している長い髪を結い上げ、裾が長い赤のドレスに身を包んでいる。


(流石ヘイゼル、迫力あるな。貴族……いや、王族の美姫って感じだ)


 ちなみにエレナは結うほど髪が長くないためか髪飾りを挿し、膝丈くらいの水色のドレスを来ている。こちらも可憐な感じが出ていてよく似合ってる。


(森の妖精みたいで可愛いな)


 ちなみに俺とオリヴァーさんは決まりきった黒の礼服だ。普段着同様、こういう服も男のものにはあまりバリエーションがない。


「いや、本当に二人ともよく似合ってる! 見違えたよ」


「あ、ありがとうございます」


 俺達の視線に二人が気づくや否や、オリヴァーさんは雑談を打ち切り、二人を褒め始めた。何度目か分からない褒めにもエレナは頬を赤くする。


「ありがとう。しかし、お主も似合っとるの。こう言う場所にも慣れているようじゃし……元は貴族か何かなのか?」


「まさか! 全部はったりだよ」


「む……そうか?」


 確かにオリヴァーさんは俺の目から見ても何と言うか、慣れた感じがする。昨日だってほとんど俺の助言なんて必要なかったくらいだ。


「お集まりの皆様、まもなくエドワード王子がお越しになります。盛大な拍手を!」


 アレクサンダーか。まあ、この舞踏会の開催者何だから当たり前だな。


(……これが役に立つかは分からないけどな)


 俺は顔に着けた仮面に軽く触れ、装着具合を確かめた。アレクサンダーや城の者に素性がバレないためだ。口元以外を完全に隠すタイプなのでよほど俺のことをよく知っている相手でも分からないだろう。


(他にも仮面を着けている人がいて良かった……)


 悪目立ちするかと心配したが、参加者の中には他にも仮面をつけている人がチラホラいる。舞踏会と言えば仮面……みたいなイメージがあるからだろうか。実際には仮面舞踏会なんてあんまりないみたいだけど。


 パチパチパチパチ!


 拍手に片手を上げて応えながらアレクサンダーが現れた。


(……落ち着け。ここではマズイ)


 ヘイゼルとエレナの心配そうな視線で俺は知らず知らずのうちに拳を握りしめていたことに気づく。いくら仮面をしていたって、殺気立っていたら正体を暴露しているようなものだ。


「今ここにいる者は激戦を勝ち抜いた者ばかり。この先の勝敗に関わらず、君達はこのアイゼムアース王国の未来を支える人材だ!」


 名を偽っていることはおくびにも出さずに堂々と演説をするアレクサンダー。まともに聞いていると腹が立って仕方がない!


(……聞きながすしかないか)


 そうやってこの場を凌いでいると、突然誰かが肩に手を置いた。


「終わったぜ、ディラン。次は舞踏会だと」

「あ、ああ」


 アレクサンダーの演説は終わっていたらしい。奴もいつの間にか席に着いている。


(後は座ってるだけ、か)


 舞踏会といっても皆が皆、ダンスを踊らなきゃいけない訳じゃない。今回のように貴族以外の人も参加出来るものだと特にそうだ。だから、目立ちたくない俺達は当然踊る予定はない。


「あの……貴方がディラン様でしょうか?」


 だから、そう声をかけられた時には驚いた。いや、驚いたのは言われた内容じゃなくて……


「初戦からの戦いぶり、見事でしたわ。よろしければ一曲お相手頂けないでしょうか?」


 そう言ってダンスに誘って来たのは白いドレスの女性……素性を隠すように仮面をつけているが、見間違えようはずもない。


(何でここに!?)


 あまりに予想外な展開に混乱する心とは裏腹に、俺の体は女性の手を取ってゆっくりと立ち上がった。


ヘイゼルからのお願い :

 ドレスアップした妾はどうじゃったかの? 何? 何で人間の服装に詳しいのかじゃと? まあ、昔色々あって人間の生活に詳しくなったのじゃ。じゃが、それも少し前の話じゃからな。最近の国の動向とか政治の様子とかはよく分からん。


 ところでブクマ&ポイントはもうポチッとしてくれたかの? まだの方は早起きして艶姿を披露した妾に免じて前向きに考えて欲しいのじゃm(_ _)m

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