成長
「よくも仲間を!」
「まとめてやっつけてやる!」
向かって来ていた奴らをヘイゼルとマシンGが残らず倒してしまうと、また大声を上げながら男達が迫ってきた。
(……装備から見てさっきの奴らのリーダーかな?)
オリヴァーさんから色々教わった中には装備についての知識もある。冒険者の武具は魔物の素材を使ったものも大きいから、武具を見れば相手の力がある程度分かるのだ。
(D級の上位くらいか?)
ってことはレベルは多分20弱。俺よりも6〜7レベルは高い。クラスは今クラス補正がない『アノニマス』だから武具も加味するとパラメーターは大分負けているだろうな。
(……だからこそ、いい実験になる!)
俺はヘイゼルを庇うように前へと出た!
「次はディランが何か見せてくれるのかの? 楽しみじゃ!」
「ごブウンを、エドワードサマ!」
二人の声援を背に受けながら俺は迫る男達と相対する。さっきの奴らもそうだが、コイツらはあまり連携が取れておらず、一人が先行している。まずはこいつからやるか……
「せっかくなら思いっきり試してみろよ、ディラン!」
「無茶したらお説教だからね、ディラン!」
オリヴァーさんとエレナから対照的な声をかけられることに内心苦笑いをしながら俺は剣を構える。そして……
「〈バーストレイジ〉!」
赤黒い閃光が剣から奔る! それは先行する一人を打ち倒した後もさらに飛び、後ろにいた男二人も飲み込んだ!
(やっぱスゲー威力……痛ッ!)
反動はある。が、今までと違って立てないほどじゃない。
(やっばり今まで『リベンジャー』を使った後に倒れていたのはあのスキルのせいだったんだな……)
実は『リベンジャー』には今まで使っていた〈レイジバースト〉以外にも〈大罪:憤怒〉というスキルがある。そのテキストはこれだ。
◆◆◆
〈大罪:憤怒〉
あらゆるスキルの効果を爆発的に高める。しかし、その代償としてHPが継続的に減少する。HPが継続的に減少する状態の継続期間やその減少量はスキル発動時間や発動数等に影響される。
◆◆◆
つまり『アノニマス』で『リベンジャー』のもう一つのスキル、〈バーストレイジ〉だけをセットすればスキルの威力は下がるが、俺が受けるダメージはかなり減るのだ。ちなみに〈バーストレイジ〉のテキストはこんな感じ
◆◆◆
〈バーストレイジ〉
武器や拳に怒りの閃光を宿して自身の攻撃を強化する。また、閃光を飛ばして遠距離から攻撃することも可能。ただし、対価としてHPを失う。
◆◆◆
この〈バーストレイジ〉は実は色々な使い方が出来るスキルだ。HPが減るからドンドン使うわけには行かないが……
「がっ……何だよ、このスキル!」
「冒険者になりたてのカモだって話じゃ……」
後ろにいた二人のダメージも軽いものではないらしく、既に足元がおぼつかない。が……
(ん? 俺達のことを知っているのか?)
誰から聞いたのか……というか、こいつらは誰かに言われて俺達を狙って来たのか?
「どうやらこいつらには後で聞かなきゃいけないことがあるみたいだな」
「ですね!」
俺とオリヴァーさんは目配せを一つすると、ふらつく二人を気絶させた。
「凄い威力のスキルじゃの! あれは確か解呪の時に使ったやつかの?」
「サスガです、エドワードサマ!」
「あのスキル……ディラン、体は大丈夫なの!?」
三者三様に声をかけてくるヘイゼル、マシンG、エレナに答えながらも周りの様子に気を配ることは忘れない。これはアレックスに習ったことだ。
(“戦場は常に俯瞰して見るべし”、だな)
既にかなりの数の参加者が倒れており、残っているのはあと僅か。俺達が戦っている間にも他の場所でも戦闘があったんだから、当たり前と言えば当たり前だが……
(ひょっとして、攻撃の余波でやっつけちゃった人もいるのかな……)
エレナが最後に使ったスキルやヘイゼルの攻撃は強力な分、周りへの影響も大きいからな。
「何かもう終わりそうですね」
「ま、いいじゃねえか。楽に勝てたってのは良いことだ」
エレナの呟きにオリヴァーさんがそう答える。確かに皆、まだまだ余力はありそうだ。
(修業の成果も確認できたし、二回戦に向けて良いスタートを切れたな!)
そんなことを話していると、係員が魔道具で試合終了を告げる声が聞こえてきた。よし、これで二回戦に進めるな!
ディランからのお願い :
幸先のいいスタートを切れたな! この調子で勝ち上がるぞ!
そういやさっき使ったスキル、〈バーストレイジ〉は最初”レイジ“が先で”バースト“が後だったらしい。けど、それだとそのまま過ぎてヤバそうだから今の形になったらしい。けど、ほとんど変わってないよな?ちなみに筆者は無印より2の方が好きらしいぜ。
おっと、大事な話を忘れてた! ここからはノンストップ! 筆者のテンションが上がって緊急投稿……って可能性もあるからな。見逃さないようにブクマやポイントがまだの方はこの機会に是非よろしく頼む。




