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修行

 カンッ! ガキーッン!


 ギルドの練習場で俺とオリヴァーさんの木剣が火花を散らす。流石C級冒険者、何て重い剣なんだ!


(それにしても特訓の相手まで引き受けてくれるなんて……)


 マシンGのことや俺の事情のことを話すと、オリヴァーさんは二つ返事で協力すると言ってくれた。しかも、本戦が開催されるまでこうして特訓を引き受けてくれるとまで言ってくれたのだ。


(鈍った体を戻すには丁度良いとか言ってたけど……絶対嘘だろ!)


 鈍ってるどころか絶好調じゃないか!


「もう怪我は良いみたいですね、オリヴァーさん!」


「ああ! だが、お前はまだ本気じゃないな、ディラン? 俺の見立てじゃお前はもっとスピードとパワーがあるはずだぜ!」


 いや、俺は全力だ。だが……


(クラス補正の影響だな)


 今の俺のステータスはこんな感じ。


◆◆◆


エドワード Lv12(アノニマスLv2)

力   20

防御  19

魔力  13

精神  14

素早さ 19


スキル

❲〈ヘビーエッジ〉 ❳

❲〈ダブルシュート〉❳

❲〈集中〉     ❳

❲〈忍び足〉    ❳



◆◆◆


『アノニマス』はクラス補正もなく、スキルを習得することも出来ない。が、他のクラスで得たスキルを自由に組み合わせることが出来るクラスだったのだ。


(クラスの枠に囚われずにスキルを自由に選択できる……クラス補正がないことを補って余りある長所だ)


 使い方次第では無限の可能性があるとさえ言える。そして……


(スキルの組み合わせ方、使い方。それを試すにはオリヴァーさんとの模擬戦はうってつけだ!)


 模擬戦では経験は得られるが、レベルは上がらない。が、今俺に必要なのはまさにこの経験だった。


「そろそろスキルを使っていくか、ディラン!」

「お願いします!」


 今までのは肩慣らしってことか。オリヴァーさんは本当に強いな。


「行くぞ、ディラン! 〈ダブルスラッシュ〉!」



「良かった。オリヴァーさん、一緒に出てくれるんだね」


「ああ。他にサポートに入ってくれる人の当てがなかったから、助かったよ。」


 夕方になって片付けをするセオさんの所へ向かった俺は先に来ていたエレナと合流した。


(オリヴァーさんは冒険者ギルドから引き受け手がいないクエストをやってくれって頼まれてて忙しいって言ってたから無理かもと思ってたけど……)


 ちなみに冒険者ギルドの方は予選落ちがほぼ確定した冒険者が戻ってきいて大分余裕が出来たみたいだ。


「ディランも予選に向けて修行が出来るみたいで良かったね」


「全くだよ。エレナに追い抜かれるんじゃないかとヒヤヒヤしてたからな」


 実はエレナは今、セオさんから拳法の指導を受けている。アレックスの件のお礼という意味合いもあるが、どうもエレナには光るものがあるらしく、是非技を伝授したいと言われたのだ。


「ほっほっほ、安心するのは早いぞ。この娘の飲み込みの速さは並みじゃないからの」


 またもや誰もいないはずの場所から声が……まあ、流石にこのパターンは慣れてきたな。


「……セオさん、普通に声をかけてもらう訳にはいきませんか?」


「癖での。皆には慣れてもらってる」


 つまり、俺も慣れるしかないってことか。


「ところで剣を見に来たんじゃろ? 保管庫に案内するからついて来てくれ」


「ありがとうございます」


 セオさんに連れられて建物に入ると、何だか誰かの怒鳴り声が聞こえてくる。これって……


「ちょっと五月蝿いが、あまり気にせんでくれ」


「えっと……彼は今……?」


「そこら辺に放っておく訳にも行かんからな」


 ううむ、何処かに閉じ込められてるのか。


(本拠地の留守を預かっていたジョシュア達を襲撃し、ミリーに毒をもったんだ。それくらいは当然か)


 いや、やったことを考えたら甘いくらいか。勿論、処分はリーダーが帰ってからということかも知れないが……


「甘いか?」

「あ、いや……」


 俺の表情をどう解釈したのか、セオさんはブツブツと話し始めた。


「ただ、ちょっと事情があってな……奴も根はまっすぐなんじゃが」

 

「根が真っ直ぐ……?」


 思っても見なかった言葉に俺が反応すると、セオさんは大きく頷いた。


「あやつは剣や魔法はそれほどでもなかったが、毒物の扱いは上手くての。組織ではそれを活かしておったのじゃが、悪く言う奴も少なくなくての」


「……確かに毒を使うってあまりいいイメージがないですね」


 エレナの言う通りだ。毒と言うだけでズルいとか卑怯だと言った印象がつきやすいな。


「手柄を立てても裏では悪く言うものもそれなりにはいてな。アレックスを慕う仲間もいるのじゃが……それが故に奴は自分の力を認めさせることに躍起になってしまっての」


 “仲間のためにも皆に認められなきゃ”ってことか……

筆者のつぶやき:

 アノニマスは得たスキルの数でクラスレベルが上がっていく仕様になっています。そして、クラスレベルが上がるとスロット(例のタップするとスキルが選択できる空欄です)が増えていきます。

 同じようにブクマやポイントが増えれば僕ももっと頑張れると思いますのでまだの方は是非よろしくお願いします!(コラ!)



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