アノニマス
ヘイゼルには服を着て貰った後、俺達はお互いに感じたことを共有し、状況を整理した。
「まさかディランがクラス持ちだったとはな。天から何らかの加護を受けているとは思っておったが……」
「ヘイゼルはクラスについて何か知っているのか?」
俺がそう尋ねると、ヘイゼルは残念そうに首を振った。
「いや、過去にそう言う力を持った者がいたということを聞いたことがあるだけじゃ。クラス持ちにあったのもディランが初めてじゃしの」
「そうか……」
幻獣であるヘイゼルも知らないのか……
「それより新たに得たクラスの力を見ておいた方が良いぞ。この後、あやつらの手伝いをするんじゃろ?」
「まあ、面倒事にはならないとは言われてるけど……」
とは言いながらもステータスを操作する。実はセオさんからは彼が出かけている間、ジョシュア達の護衛をして欲しいと言われているのだ。
(まあ、護衛で『シーフ』の力を使うことはないだろうけど)
しかし、『シーフ』の力は一体どんな時に役に立つというんだろう……
◆◆◆
エドワード Lv12(シーフLv1)
力 20
防御 19
魔力 13
精神 14
素早さ 19(+5)
※クリティカル率が上昇
スキル
〈盗賊の道〉
〈忍び足〉
◆◆◆
……スキルも見ておくか
◆◆◆
〈盗賊の道〉
短剣やダガーを装備している時に武器攻撃とスキルが強化される。また、〔危機一髪〕を得る。
◆◆◆
〈盗賊の道〉は『剣士』や『レンジャー』にある〈〜の道〉というスキルとほぼ同じだな。
◆◆◆
〈忍び足〉
足音を消し、敵に見つかりにくくなるシーフスキル。相手に攻撃したり、相手の攻撃を受けたりすると効果が消える。
◆◆◆
〈忍び足〉の方は……流石盗賊といった感じのスキルだ。
「妾も見せてもらっても良いかの? ふむふむ、これがステータスか……」
ヘイゼルが俺に断ってからステータスをのぞき込んだ。
「なるほど……確かに便利そうなクラスじゃな」
「そうか?」
正直使い所が分からないクラスだ。〈忍び足〉は攻撃をするか攻撃を受けると効果が消える。人の家に忍び込むには便利だが、戦闘向きではない。
「そう言えば、よく喋っとったあいつはどのクラスなんじゃ?」
あ、そう言えば……
(残ったクラスは『リベンジャー』と……)
何だったっけ? ああ確か……
「『リベンジャー』以外だと残りは『アノニマス』だな」
「アノニマス……一緒何が出来るクラスなんじゃ?」
「それが……よく分からないんだ」
「分からない?」
俺の言葉にヘイゼルが首を傾げる。まあ、見せた方が早いかな。
(クラス変更……『アノニマス』っと)
ちなみにクラス変更だけならわざわざステータスを開かなくても念じるだけで可能だ。だからこそ、戦闘中にクラス変更ができたりする。
◆◆◆
エドワード Lv12(アノニマスLv2)
力 20
防御 19
魔力 13
精神 14
素早さ 19
スキル
❲ ❳
❲ ❳
❲ ❳
❲ ❳ new!
◆◆◆
そういや調べてなかったけど、レベルが上がってよく分からない空欄(?)が増えてるな。
(この空欄……何か意味があるのか?)
後、一度も使ってないこのクラスのレベルが上がってるのも謎だ。要するにこのクラスについては分からないことだらけなのだ。
「この空欄みたいなのは何じゃ?」
ヘイゼルが俺のステータスに表示されている空欄( ❲ ❳ )を指差す。するとその瞬間……
ピッ……
ステータスの項目を選択した時に出る音がした。そして……
◆◆◆
❲ ❳
→〈弓の道〉
〈ダブルシュート〉
〈集中〉
〈鑑定:素材〉
〈剣の道〉
〈ダブルスラッシュ〉
〈パリィ〉
〈ヘビーエッジ〉
:
:
◆◆◆
えっ、これってまさか……
*
それからヘイゼルと一緒に色々と検証しているうちに約束の時間になったため、俺はやや興奮しながらエレナと合流した。
「何か良いことあったの、ディラン?」
「後で教えるよ」
俺はそう答えると、エレナと共にセオさん達の部屋に向かった。
「時間通りじゃな。じゃあ、よろしく頼む」
「分かりました」
部屋を出ていくセオさんにそう返事をするとジョシュアも”ミリーのことは任せとけ!“と叫ぶ。気合い十分だけど、最初からこんな調子で大丈夫かな……あ、ちなみにミリーというのはジョシュアと一緒にいた少女の名前だ。
エレナからのお願い :
ディランが言ってた良いことってなんだろう。気になるけど今はジョシュアとミリーを見ててあげなきゃね。でも、ジョシュアはずっと一人で無理していたのだろうにもう大丈夫なのかなぁ……
あ、恒例のお願いです! ブクマとポイントがまだの方はこの機会に是非よろしくお願いします。




