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本当の自分と嘘の自分

 白い靄の中から近づいてきた人影は五人。だが、その姿形は……


(え! お、俺!?)


 現れた五人は皆俺と同じ顔に同じ背丈……とにかく俺と全く同じ姿をしていたのだ。


(……いや、服とかなんか違うな)


 だが、それ以外は毎朝鏡で見ている俺と瓜二つだ。


「ディランと同じ……ふむ、これは」


 ヘイゼルも驚いた顔をしている。まあ、同じ顔をした人間が同じ場所にいるなんてまずない光景だよな。


(一体こいつらは……ん?)


 現れた俺そっくりの男達は剣を帯びていたり、弓矢や短剣を持っていたりと様々な格好をしている。それを見た俺の脳裏にふと何かが閃いた。


(もしかして……こいつらは俺のクラスか?)


 剣を帯びているのは『剣士』、弓矢や短剣を持っているのは『レンジャー』じゃないか?


「その通りだ」


 目の前の俺のうちの一人が俺の考えを読み取ったかのようにそう応えた。


(こいつは何のクラスなんだ?)


 声を発した俺は何も持っていない。着ている服も質素というか何の特徴もない服だ。


「我々はお前の力。つまり、お前そのものだ」


「俺そのもの……?」


 クラスが俺そのもの……? どう言うことだ?


「クラスはお前の可能性が形になったものだ。『剣士』は剣の道を選んだお前、『レンジャー』は野山で生きることを選んだお前と言うようにな」


 ……なるほど。だから、こいつらは俺と同じ姿をしているのか。


「ふむ。ディランは五つのクラスを持っているからそなたらは五人いるということか」


「……」


 何も答えない俺を見ながら、俺は誰がどのクラスなのかを考えた。


(あの聖職者っぽい服を来たのは『エクソシスト』だよな)


 『剣士』、『レンジャー』、『エクソシスト』は分かる。問題はここからだ。


(で、普通っぽい服を来た奴とあのバンダナを巻いたやつのどちらかが『リベンジャー』ってことになるが……)


 正直どちらもそれっぽくないが……


「我らは『リベンジャー』ではない」


 特徴のない服を来た俺がまた思考を読んだような返答をしてくる。まあ、それは良いとして……


(『リベンジャー』じゃないとしたら……あれ、数が合わなくないか?)


 とりあえずステータスを開いてみるか。


◆◆◆


エドワード Lv12(剣士Lv3) new!

力   20(+5)

防御  19(+5)

魔力  13

精神  14

素早さ 19


スキル

〈剣の道〉

〈ダブルスラッシュ〉

〈パリィ〉

〈ヘビーエッジ〉


◆◆◆


 あれ、何かクラスを手に入れたのか?


◆◆◆


 →アノニマスLv2

  リベンジャーLv1

  レンジャーLv3

  剣士Lv3

  エクソシストLv2

  シーフLv1 new!


◆◆◆


 えっ……シーフって泥棒か?


「そうだ。彼が『シーフ』だ」


 特徴のない服を着た俺がバンダナを巻いた俺を指す。


(泥棒……か)


 正直あまり良い気はしないな。クラスが自分の可能性だと聞いた後じゃ特に……


「彼のことが気に入らないか、ディラン?」

「……まあな」


 俺がそう言うと、特徴のない服を着た俺は肩をすくめた。


「好き嫌いは誰にでもある。が、彼はここにいる誰にも劣らない力を持っている。印象だけで安易に嫌うのはオススメ出来ないな」


 そう言われてもな……人から物を盗むのは犯罪だしな。


「じゃが、奴とてそなたの一部、そなたの力じゃろ? 好きだとか嫌いだとか言っても始まらないじゃろ」


『シーフ』も俺の一部、か。でも……


「……盗賊なんて、『シーフ』の俺なんて本当の俺じゃない」


 王子である俺は正しく、強く、皆を引っ張る存在になるべきなんだ。盗みを行うなんてもってのほかだ!


「……本当の自分、か。ふむ」


 俺の言葉を聞いたヘイゼルが考え込むが……何か変なこと言ったか?


「本当の自分なんて誰にも分からない。ましてや存在するのかも分からないぞ。本当の自分がいるなら嘘の自分がいることになってしまうからな」


 え……嘘の自分っておかしいのか?


(気を遣ったりとかで思ってもないことを言う時の自分って嘘の自分だよな?)


 勿論、それが駄目とか言うつもりはない。だが、思ってもないことを言うのは嘘じゃないのか?


「……まあ、彼との付き合い方は君に任せるとしよう。だが、忘れないで欲しい。クラスとは君自身であり、君の可能性だ。安易に切り捨てるのはオススメしない」


 安易に切り捨てるのはオススメしない……か。


「そうじゃ。どんな力も使い方次第じゃ。どんなスキルでも上手く使いこなせるものが勝利を掴むのじゃ」


 使いこなす……か。確かに”王族たるもの、いかなる人材も使いこなせるようになるべし“って教えもあるけどな。


(泥棒の力を使いこなす……それは本当に正しいことなのか?)


 悪事に手を染めてでもすべきこと、そんなことが果たしてあるのだろうか……

アンドリューからのお願い :

 代々伝わる初代国王様の手記にこのような力があったとは……まだまだ隠された力がありそうですな! 何にせよ、エドワード様のお役に立てれば良いのですが……

 さて、クラスの秘密も徐々に明かされ、ここから物語は加速しますぞ! 振り落とされないようにまだの方はブクマ&ポイントをポチッとしておくと安心ですぞ!



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