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新たな問題

 ナドゥの冒険者ギルドからの応援が村に着いてオリヴァーさんが回復魔法での治療を受けた後、俺達は簡単な引き継ぎをしてナドゥに戻ることになった。


「村を救って頂きありがとうございました」


「エレナお姉ちゃん、ディラン、ありがとう!」


 村人に盛大に送り出された俺達はギルドに戻り、詳細な報告をした。魔物の発生にオーガの討伐……駆け出しの俺達が出くわすとは思えないような大冒険にギルドの調査員は驚くやら感心すると忙しそうに表情を変えて話を聞いてくれた。


(乗り切れたのは皆のおかげだな……)


 ちなみにヘイゼルはほとぼりが冷めてから冒険者登録をしてもらうつもりだ。同じパーティーってことにすれば一緒に行動しやすいからな。


(特別報酬に加えて、闘技大会の参加も特例で認めてもらえたのも良かったんだが……)


 特別報酬として俺達それぞれに銀貨七枚。さらにここにオーガやゴブリンの討伐報酬が加わるという大盤振る舞いだ。まあ、それだけヤバい事態だったってことだな。だからこそ闘技大会にも冒険者ギルド推薦枠ということで参加を認めて貰えたんだろう。


(一気に問題が解決したかに思えたんだが……)


 そう。一気に解決したかに見えて、ここに来て再び振り出しに戻ってしまった。何故かと言うと……


「これは……」


 宿で鞘から出したルーンブレイドを見てエレナが絶句する。


「シュウフクはコンナン……」


 マシンGの言う通り、ルーンブレイドは刀身が完全に破損し、使い物にならなくなっていた。


(呪いとの激突に耐えられなかったのか……)


 いや、ヘイゼルを助けるために全力で頑張ってくれたと思うべきだ。


「すまぬな……妾のせいじゃ」


「そんなこと! 悪いのはヘイゼルに呪いをかけた人です!」


 俺達の事情を聞いたヘイゼルはそう言って項垂れる。が、エレナの言う通り彼女のせいじゃないし、たとえこういう結果になると分かっていても俺は同じことをしただろう。

  

「そうです。俺は後悔してません。むしろ、ヘイゼルを助けられてよかったと思います」


「それは嬉しいが……この剣がないと目標の闘技大会には出れんのじゃろ?」


 確かにその通りだ。ついでに言えば、闘技大会の予選は十日後ともう時間もあまりない。


(今から新しい剣を作って貰うのは無理だろうな……)


 なら買うしか……金ならあるが……


「オリヴァーさんに頼んでみるのはどう? 私達じゃ入れない店にもC級冒険者のオリヴァーさんなら入れるんじゃない?」


 確かにな……


「待て。妾のせいで壊れたのじゃから妾が何とかするのじゃ」


「いや、でもヘイゼル……」


 俺がそう言いかけたその瞬間──


 ピカッ!


 うわっ……ヘイゼルから光が!


「どうじゃ! ちょっと髪が銀色っぽくなったじゃろ!」


 そう言って髪を一房摘んで見せてくれるが、正直あまり変わった感じはしないな……


「む……分からぬか。じゃか他にも変わった部分があるかもしれぬ! 確認せねば」


 バサッ!


「ヘイゼル、待て!」


「駄目!」


「妾はちゃんと剣になれるのじゃ! 幻獣なんじゃからな!」


 それから小一時間ほど俺とエレナは服を脱ぎ捨てていくヘイゼルを必死で止める羽目になった……



 色々あったが俺達は闘技大会に受付に向かうことになった。書類とか先に貰っておかないといけないものがあるからな。


(ヘイゼルに剣役を任せるのはやっぱり無理だな……)


 やはりもし他に剣が手に入らなければマシンGをソードモードにして登録するしかないだろう。だが、そうなると


(常時剣に変形したままのマシンGのエネルギー消費はかなりのものになるだろう……)


 マシンGはアンドリューが込めたHPとMPをエネルギーにして活動しているから、エネルギーがなくなれば機能を停止する。つまり、そこでマシンGとはお別れということになる。


 カシャ……


 俺ははスリープモードにしてメダルのような形に変形したマシンGにそっと触れた。


(……なるべく長く傍にいて欲しいからな)


 戦闘面で頼りになるというのもあるが、正直マシンGがいるとアンドリューが傍にいるかのような頼もしさがあるのだ。あまり格好良い話ではないが、正直俺も先に不安はある。そんな中で大切な人の存在を感じさせてくれるマシンGは貴重な存在なんだ。


 ドン……


 考え事をしながら歩いていたせいだろうか。俺は子どもとぶつかってしまった!


「ごめん、大丈夫か?」


 謝りながらひっくり返った少年に手を伸ばす。が、その手はバシッと振り払われた。


「気をつけて歩けよ、バーカ!」


 そのまま走り去る少年をぼんやりと見送っているうちに俺はあることに気づいた。


(あれ……マシンGが……)


 実は今、変形したマシンGは胸ポケットに入れていたのだが……それがない!


「ディラン、さっきの子はスリだよ! 追いかけなきゃ!」


 な、何ぃ! 


筆者の独り言 : 

 この闘技大会はチーム制で、メインの出場者に加え、サポートが三人まで登録できます。割と重要な設定なのに修正しているうちに本文に入らなくなってしまいました(笑)

 さて、剣がなくては出場さえ出来ないのに頼みの綱のGまで盗まれた! どうするディラン!? まだの方はブクマ&ポチッとしつつ明日の更新をお待ち頂ければと思います!


(ヘイゼル : 設定は本文に入れ損なうのにお願いはしれっと入れられるのじゃな……)

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