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決意

“このメッセージを見ておられるということは生きておられるということ。信じてはおりましたが、このアンドリュー、安心しましたぞ”


”無理しないでね、エド。私はいつまでも待ってるから“


 俺を思いやる二人の言葉に思わず胸が熱くなる。大丈夫……大丈夫だ。すぐに強くなってやるからな!


“色々お話ししたいことはありますが、Gが記憶できるメッセージの容量には限度があります。お伝えしなければならないことを手短に説明させていただきます”


 アンドリューは近日行われる闘技大会についてとその予選の内容について教えてくれた。


(名剣を用意するだと……何でそんなこと)


 何でも本選では剣を賭けて戦うのだとか。そのための件を一定期間内に用意するのが予選の内容らしい。


(まあ、優勝した時に剣がズラッと並んでいれば爽快ではある……か?)


 アンドリューは俺が参加できなくするための策略だと話してくれた。確かにそう言う側面はあるとは思う。が、それなら他にもやり方がいっぱいあるんじゃないか?


(……まあ、アレクサンダーの思惑は一先ず置いておくか)


 アンドリューはこのためにルーンブレイドを送ってくれたらしい。アンドリューには本当に世話になりっぱなしだ。


(ルーンブレイドがなかったら解呪は勿論、オーガにも勝てなかったからな……)


 ルーンブレイドは後で手入れをしておかないと。


「また、参加条件にある冒険者ランクについてはGに持たせた推薦状があれば何とかなると思います。ご不要かもしれませんが、連絡手段にもなるかもしれないのでご用意させて頂きました」


 なるほど……推薦状を出せば確認のためにアンドリューに連絡が行く。そうすれば俺が生きてることや今どこにいるかが伝わるってことか。流石だな、アンドリュー!


「エド、闘技大会なんて無理してまで出なくて良いのよ。アレクサンダーが何を言って来たって無視してやるんだから!」


 アンドリューが一呼吸おいたタイミングでシャーロットがそう言ってくる。俺を心配しての言葉だろう。アレクサンダーのスキルのヤバさは治療をした彼女が一番よく知ってるだろうしな。


(けど、俺は闘技大会に出る!)


 アレクサンダーとは俺自身の手で決着をつけなきゃならな──


“生温い……”


 !?


(今頭の中で声がしたような)


 いや、気のせいだろう。


「しかし闘技大会自体、エドワード様をおびき出すためのものやもしれません。こうして準備はしましたが、どうされるかは全てエドワード様にお任せします。では、そろそろ時間なので失礼します」


「エド、元気でね。私、エドのこ──」


 プツッ──


 映像はここで途切れた。シャーロットの最後の言葉が聞き取れなかったけど……


(会った時に聞けばいい。それにその時はすぐに来る)


 そう。遅くとも二週間後にはアレクサンダーとの決戦の地に立ってるんだ。シャーロットに会える日はすぐに来る。


”メッセージハイジョウです。キドクツウチをオクリます“

 

「マシンG、一言だけ伝えてくれないか」


 無茶な願いかもしれない。でも、どうしても二人に伝えたい……


“カシコマリマした。ナント?”


「勝つ……と」


“ウケタマワリマした”


 あまりに短いその言葉に俺の今の気持ちが全て込もっていた。勝つ……そう、俺は勝つ。必ず勝ってアンドリューとシャーロットを取り返すんだ!


(さて、そのためにもルーンブレイドの手入れをするか)


 メッセージを送ったマシンGをスリープモードにした後、俺は側に立てかけてあったルーンブレイドに手を伸ばしたのだが……


「えっ……これって……」


(アレクサンダー視点)


「殿下、こちらは……」

「捨てろ。もう要らない」


 部屋にあった乗馬用の鞍を見せる従者に俺はそう指示を出す。今、僕の部屋は絶賛模様替え中なのだ。


「し、しかし、この鞍は非常に見事な造りです。それに前はあんなに熱心に乗馬に取り組んでおられたではありませんか」


 僕の言葉が信じられなかったのか、従者はそう聞いてくる。全く、物わかりの悪いやつだ。


(”熱心に取り組んでいた“だと? そんなの母様が褒めてくれたからに決まってるだろ!)


 だが、乗馬ではあの忌々しい義兄には勝てなかった。だからもうしない。義兄に勝てなきゃ母様は認めてくれない。母様に認めてもらえない僕なんて意味がないんだ!


「いらん。早く捨てろ」

「……はっ」


 いつもなら首を傾げながら下がる従者を怒鳴りつけているところだが、今は何も言わずに済ませてやる。何故なら今、僕は最高に気分が良いからだ!


(母様に褒められた! 母様に褒められた!)


 闘技大会を開くというアイデア、それに闘技大会に向けて訓練をする俺は連戦連勝。それを知った母様は僕を褒めてくださったのだ!


“その調子よ、愛しい我が息子……お前はもうエドワードなの。そのスキルで偽物なんて切り捨てておしまい!”


 ああ、嬉しい。母様は俺は認めて下さった。


(母様に認められない僕なんて僕じゃない。母様に認められない僕なんて要らないんだ!)


 母様に認められない僕なんて無意味で無価値。そんな僕はもう要らない。だから……


(僕は剣の道に生きるんだ。そうすれば……)


 そうすれば、もう母様を失望させることもないはず!


(待ってろよ、義兄さん!)


 必ず……必ず僕がこの手で殺してやる。そうすれば僕は完全にエドワードになれる。そうすれば母様はきっとまた褒めて下さるはずだ!

アレクサンダーの叫び:

 うぉぉぉッ! 母様、俺は必ずやってみせるからねぇぇぇッ!

 ……ん? 聞いていたのか? それはそうとブクマとポイントはポチッとしてあるか? この俺と義兄の決戦は勿論だが、それまでにも色々見せ場があるからな。今のうちにポチッとしておいた方が良いぞ!

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