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ダーククラス

 ズキッ……


 俺は頭痛と共にふとあの地下牢のような場所にいた少年のことを思い出した。


(あの子は一体……)


 そう言えば最初に『リベンジャー』のスキルを使った時にも声が聞こえた気がする。あれはあの少年の声だったのだろうか?


(ダーククラスって一体何なんだろう……)


 初代国王の手記にもダーククラスのことは載ってなかったし、代償も大きいから後回しにしてきた。もっとクラスについて詳しくなって、強くならなってからじゃないと使いこなせない気がしてたんだ。


(けど、駄目だ。もっとちゃんと考えないと)


 ダーククラスは他のクラスと違いすぎる。『リベンジャー』には普通のクラスとは違う何か重大な秘密があるんじゃないか?


(もう一度調べてみるか)


 俺がそんなことを考えていると、再び……


 ズキズキッ……


 また頭痛がした。くそっ……これもダーククラスを使った反動か?


「うむ……やはりこの恩、きっちり返さねば幻獣としての沽券に関わるな」


 頭痛はどんどん激しくなる。くそっ……一体なんなんだよ!


「いえ、勝手にやったことなので……」


 視界が霞む……周りの音が遠くなる……


「よし、決めた! 我は──」


 そこで俺の意識はプツリと途切れてしまった……



 ……暖かい……


 微睡む俺が感じたのは暖かさと柔らかさ。多分ベッドに寝かされているんだろう。


(最近このパターンが多いな……)


 ゆっくりと開けた目に入って来たのはやはり見たことのある天井……これはオーロラの村の村長さん家だな。


(とりあえず起き……ん?)


 起き上がろうとしたが、何故か体が重い。それに……


(腕に何か乗っかってる……)


 いつの間にか柔らかな何かが腕に乗せられてる。


(一体何が……って、え!?)


 顔を横に向けた俺の目に入って来たのは何と見知らぬ女性! しかも、何故かいつの間にか俺と同じ布団に──


「えええ――っ!」


 俺が思わず大声を上げると、女性はあくびをしながら起き上がった。


「ううむ、いかんな。寝てしまったか」

「………」


 理解できない展開に声も出せずにいると、女性は俺を見てニッコリと笑顔を浮かべた。


「良かった。目が覚めたのじゃな! 急に倒れるから心配したのじゃ」


 見知らぬ女性はどうやら俺を心配してここにいたらしい。何故同じ布団にいるのかは分からないが……


(いや、まず誰だよ!)


 眼の前にいるのは輝くような銀髪にくすんだ赤みがかったた黄色の瞳の美人……もちろん記憶にはない。


「……なるほど。その反応、妾が誰か分かっておらぬと見える」


 全くもってその通り……でも、誰か分かったからと言って納得できる状況でもないけどな。


「妾は──」


 女性が名乗ろうとしたその瞬間、突然ドアが蹴破るような勢いで開き、エレナが姿を現した!


「ヘイゼル様ッ! 一体何を!」


「体が冷えとったから暖めようとしたらつい寝てしまって……」


「ついじゃありませんッ! というか、問題はそこじゃないです!」


 えっ……今、ヘイゼル様って言った? どう言うことだ?



 一騒動の後、俺はようやく事情を説明してもらえた。


(つまり、この女性はヘイゼル様ってことだな)


 ヘイゼル様は呪いを解いたお礼に俺達を助けてくれるつもりらしい。で、元の姿のまま一緒に行動する訳にはいかないから人の姿になったと。


(幻獣のサポートが得られるなんて無茶苦茶心強いけど、良いのかな?)


 何だか恐れ多いな……


「ほれ、とりあえず従魔契約じゃ。手を出すのじゃ」


「えっ、あっ、はい」


 正直戸惑いもあったのだが、ヘイゼル様は全く取り合わず話は淡々と進んでいった。


「妾のことを幻獣扱いするでないぞ。旅の仲間と思え。敬語も禁止じゃ」


 ヘイゼル様はそんなふうに言ってくるけど……そりゃ無茶だろ。


(でも、それこそ幻獣の命令だしな……)


 何だか何が正しいのか分からなくなってきた。というか、ヘイゼル様……いや、ヘイゼルは性格変わってないか?


「エドワードさま。アンドリューサマよりメッセージをアズガッテオリます」


 マシンG! そう言えばそう言ってたな。オーガやヘイゼルの呪いの件でバタバタしてたから後回しになっちゃってたけど!


「今のうちに確認しておいたら? 私はオリヴァーさんの様子を見にに行ってるね」


 そう言うとエレナは”妾もみたいのじゃ“とか言ってごねるヘイゼルを引っ張りながら部屋を出ていった。


「マシンG、アンドリューからのメッセージを見せてくれ」


「カシコマリマした」


 アンドリュー……元気になったのだろうか。期待と不安で心臓をバクバクさせる俺の前にマシンGがステータスのようなウインドウを出現させた。


“ご無沙汰しております、エドワード様”

”エド、怪我はない? 元気なのよね?“


 ウインドウに写ったのはアンドリューとシャーロットの変わらない姿……ああ、良かった……

 

ヘイゼルからのお願い:

 む、口調が幻獣の時と違う? それは単に気分の問題じゃ。そなたらもカチッとした服を着ている時はそれらしい言葉遣いや所作になるじゃろ? それと同じじゃ。


 ところでそなたらはブクマとポイントはもうポチッとしておるか? まだなら是非頼むのじゃ。

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