呪い
道中、俺はついてきたエレナとマシンGにヘイゼル様のことを話した。よく考えたらヘイゼル様のことはまだオリヴァーさんにも話してないや。
(そう言えばマシンGのことも話してないな)
オリヴァーさんにはまとめて説明しないとな……
「ゴブリンにオーガ……森の異常はその幻獣様が原因だったんだ……」
エレナは驚いたら良いのか納得したら良いのか分からないという感じだ。まあ、確かに幻獣なんて話に聞いたことはあっても見たことがある人なんて滅多にいないからな……
(それにしても何で幻獣が魔物に追われていたんだ?)
幻獣は世界の根幹に位置する存在。魔物も歪んだ形とはいえ世界の一部なんだ。普通なら幻獣に敵対するなんてことないはずなんだけど……
(まあでも、あのオーガは倒せたんだから大丈夫だろ!)
そんな風に考えながら進み、俺達はヘイゼルの元へとたどり着いた。が……
「無事あのオーガを倒すとは見事だ、ディラン……」
そう褒めてくれたヘイゼル様は前出会った時よりも大分弱っている。一体何があったんだ?
「ヘイゼル様、だ、大丈夫ですか?」
「セイメイハンノウ、びじゃく。キケンなジョウタイです」
エレナもマシンGもヘイゼル様の異常を感じとったらしい。
(ひょっとしてあの鎖の影響か……)
俺はヘイゼル様の動きを封じていた紫の鎖を思い出した。幻獣の動きを封じるなんてただの魔法じゃないとは思っていたが……
「何……追手が死ぬとその怨念の力で我を縛っている鎖の力が強まる仕掛けになっておってな」
なっ……
「では何故あのオーガを倒せとお命じになられたのですか!?」
今の話が本当なら、ヘイゼル様は自分の命が危うくなるような命をわざわざ俺に下したことになる。一体何故そんなことを……
「あのオーガは邪な加護により周りの世界を歪める力を与えられておったからな。他の命を守るためには必ず排除せねばならん」
つまり他の命を守るためにってことか? でも……
「とはいえ、ここまで鎖の力が強力になるとは思っていなかったがな。約束通りこの辺りに結界を張りたいが、生憎叶いそうにないな……」
命が危ないってのにそんなこと言ってる場合か!? とにかく何とかしないと……
「何か手段はないのですか!?」
「難しいな……この鎖は呪いの一種だからな。単純に力や魔力で破れるものではない。そうでなければここまで苦労させられることもなかったのだが……」
呪いか……
(アンドリューのポーチにはポーションとかも入ってるけど……)
〈気功術 : 木〉で回復させようとしているエレナにポーションを渡すが、これでは根本的な解決にはならないな。何か手はないか……
(……一応ステータスを確認してみるか)
オーガを倒してレベルが上がったかもしれないし、今出来ることを確認してみよう。
◆◆◆
エドワード Lv12(剣士Lv3) new!
力 20(+5)
防御 19(+5)
魔力 13
精神 14
素早さ 19
スキル
〈剣の道〉
〈ダブルスラッシュ〉
〈ヘビーエッジ〉
〈パリィ〉
◆◆◆
やっぱりレベルが上がってるな。一気に三つも上がってる。
(ん? クラスに何か変化があるのか?)
見てみるか。
◆◆◆
→アノニマスLv2
リベンジャーLv1
レンジャーLv3
剣士Lv3
エクソシストLv2 new!
◆◆◆
『エクソシスト』のクラスレベルが上がったのか。なら何かスキルを覚えてるかもな。
(クラスを『エクソシスト』に変更……と)
◆◆◆
エドワード Lv12(エクソシストLv2)
力 20(-5)
防御 19(-5)
魔力 13(+10)
精神 14(+10)
素早さ 19
スキル
〈祓魔の技〉
〈ホーリーレイ〉
〈リムーブカース〉new!
〈〉new!
◆◆◆
〈リムーブカース〉、このスキルはもしかして!
(テキストを確認してみよう)
もしかしたら……もしかするかもしれない!
◆◆◆
〈リムーブカース〉
呪いを除去する魔法。ただし、強すぎる呪いの場合、解除出来るかどうかは術者の力量次第。
◆◆◆
やっぱり! このスキルならヘイゼル様の呪いを除去出来るぞ!
「ヘイゼル様、俺、もしかしたらその呪いを解けるかも知れません」
「何?」
「もしかして新しいクラス?」
それぞれの反応を返すヘイゼル様とエレナに俺は〈リムーブカース〉のことを説明した。
「とにかくやってみます。構いませんか、ヘイゼル様?」
「うむ、頼む」
どのくらい魔力を使う魔法なのかは分からないが、休んだばかりだから魔力は満タンのはず。
「行きます、〈リムーブカース〉ッ!」
その瞬間、白い光がヘイゼル様を包みこんだ!
シャーロットからのお願い:
幻獣にこんな仕打ちをするなんて一体誰が……エド! 貴方の力で助けて上げて!
エドの解呪が上手くいくように皆さんも応援をよろしくお願いします。ブクマやポイントがまだの方はポチッとして頂ければきっとエドの力になると思います。




