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昼食

「ふぅ……」


 長い報告が終わった後、俺達はようやく開放された。


(オーロラはギルドで預かって貰えて良かった)


 何でも冒険者ギルドとしてはまだ話を聞きたいことがあるらしい。何だかオリヴァーさんが神妙な顔をしていたのが気にはなるが……


「とりあえずお腹空いたね。昼ご飯にしようよ」「そうだな」


 クエストを終えた後も何やかんやあったため、既に大幅に昼を過ぎている。俺達はギルド内にある食堂へ向かった。


(……流石に空いてるな)


 時間が時間だから人の姿はまばらだ。俺達は料理を注文すると適当な席に座った。


「クエストは失敗だったけど、ゴブリンの討伐報酬が出てよかったね」


 実はアンドリューから受け取った荷物の中にはかなりの額のお金がある。が、駆け出しの冒険者が羽振りの良い生活をしていれば誰もが怪しむ。だから、生活は冒険者として稼いだお金で回していこうと二人で話し合ったのだ。


「そうだな。それにオリヴァーさんから色々教えて貰えたし、良かったよ」


 イレギュラーなこともいっぱいあったが、まあ結果オーライってやつだろう。


「街で暮らすには色んなこと覚えていかなきゃだね」


 そう言ってエレナは辺りを回した。全くもって彼女の言う通りだ。俺は街の暮らしに詳しい方だと思ったが、全然知識が足りないな……


(エレナもあまり街の暮らしにはには詳しくなさそうだし……しっかり覚えていかないとな)


 辺りには色んなビラやチラシが貼ってある。こう言うものに目を通しておくのもいいかもしれない。


「へぇ~、闘技大会とかあるんだ」


 そんなことを考えながら料理を待つまでの間、物珍しそうにあちこちを見ていたエレナが壁の張り紙に目を止めてそう呟いた。


「闘技大会?」


 エレナの言葉につられて俺は壁に貼られた張り紙に目をやる。そこには……


「ぶはッ!」

「わっ! 大丈夫!?」


 張り紙を見るなり俺は思わず飲んでいた水を吐き出してしまった。何故なら……


(エドワード王子開催の闘技大会だって!?)


 つまり、俺が主催する──ということになっている──闘技大会だったのだ。


「ゲホゲホ……」

「あっ……ごめん。びっくりしたよね」


 俺が吹き出した理由に気づいたエレナが背中をさすってくれる。それにしても闘技大会? 何でそんなことを……


「闘技大会に興味がおありですか?」


 注文した料理を持ってきた女性がそう声をかけてくる。


「いえ、初めて聞いたものですから」


「素敵ですよね。エドワード王子はこの大会で優勝して婚約者のシャーロット様に求婚するんですって」


 な、何だって!?


「求婚……って、結婚はしばらく延期になったんじゃ……」


 声を失った俺の代わりにエレナがそう尋ねると、女性は首を傾げた。


「そうなんですか? とにかくエドワード様は自分がシャーロット様に相応しい強さを持つことを証明するために闘技大会を開催するって聞きましたよ」


 な、何ぃ!?


「……それって誰でも参加出来るんですか?」


「Dランク以上の冒険者なら誰でも参加出来ますよ。賞品も豪華ですからうちの冒険者もみんな参加しちゃって……商売あがったりです」


 それで何だか冒険者ギルドに活気がなかったのか……いや、それよりも!


(これは十中八九、アレクサンダーの企みだ……あの野郎ッ!)


 恐らく国中の雰囲気を盛り上げてシャーロットが拒否出来ない状況を作る気だ! 何て卑怯な!


(絶対にアイツを優勝させる訳にはいかない!)


 そのためには俺がその闘技大会に出るのが確実だ。が、さっきの女性は参加できるのはDランク以上だって言ってたよな。


(今からDランクになるのにどれくらいかかるんだ……)


 俺達は今、最初のクエストを失敗したばかり。冒険者ランクは冒険者としての実績で決まると聞いたけど、俺達はこの闘技大会までにDランクに上がれるのか……?


「どうしよう、ディラン……」


 女性が置いていった料理を前に俺とエレナは途方にくれた。


(とにかく冒険者ランクを上げないと!)


 闘技大会の本選は二週間後。それまでとにかくクエストをこなしていくしか……


(でも、そんなので間に合うのか……)


 そんなことを延々と頭の中で考えていると突然、明るい声が背中にかけられた。


「おっ、いたいた! まだギルト内にいてくれて良かったぜ!」


「……オリヴァーさん」


「何だ何だ? 暗い顔してんな。まさか初クエスト失敗に落ち込んでるんじゃないよな?」


「そう言う訳じゃないんですが……」


 オリヴァーさんは俺達が座っていたテーブルにつくと、大声で注文した。


「何だよ、話してみろよ。力になるぜ」

「実は……」


 エレナは途方に暮れている俺の代わりに詳しいことは伏せながらオリヴァーさんに事情を説明してくれた。すると……


「何だ、そんなことか! なら渡りに舟ってやつだな、こりゃ!」


 えっ……何だって!?


冒険者の知恵袋:

 冒険者ランクは、冒険者としての実績──こなしたクエストの数や倒した魔物の強さなど──によって決められる。


オリヴァーの助言:

 まっ、最初のクエストに失敗ってのは誰でも落ち込むわな。けど、最初から上手くいく奴なんていねーからな。俺が励ましてやらねーと……って何か訳ありか?

 おっと、ブクマやポイントはまだなのか? ゆっくり考えたら良いと言いたいところだが、そろそろ急展開だからな。俺ならここでポチッとしておくな。良ければ考えてみてくれ。じゃあな!

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