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ミス

 それから俺達は街に着き、門番に“冒険者になりに来た”というと、驚くほどあっさりと中へ入れてもらえた。


(アンドリューと来た時には手形の確認やら色々あったけどな……)


 普段思い出さないようにしているのに、何かにつけてアンドリューやシャーロットのことを思い出してしまう。けど、駄目だ! 今は感傷に浸ってる時間なんてない!


(ここは城にも近い。情報収集すれば、きっと二人についての情報が得られる。そうしたら、俺の無事も伝えられるかも……)


 そのためには、まずは生活の基盤を作らないと。だから、まずは冒険者ギルドだ!


(こちらから聞く前に道まで教えてくれるなんて親切だな……)


 無理やり意識を冒険者ギルドに向けながら歩く。すると、俺達はなんの苦も無く冒険者ギルドらしき建物の前までたどり着いた。


(教えて貰った建物はこれだと思うが……あ!)


 建物には”冒険者ギルド ナドゥ支部“と書かれた看板がある。ちなみにナドゥというのはこの街の名前だ。


「ここが冒険者ギルド!? 立派な建物だね!」


 エレナの言う通りギルドの建物はナドゥの他の建物よりも大きく立派なものだった。けど、何と言うかちょっと雰囲気が……上手く言葉には表せないが。


(ま、入ってみるか)


 どの道、ここで冒険者にならなきゃ何も進まない。俺は内心の不安を押し殺してドアを押した。


 カランカラン!


 開くと同時にドアについたベルがなる。中にいた数人が一瞬こちらに目を向ける。


(思ったより人がいないな……)


 冒険者ギルドってもっと人がいて賑やかな印象だったけど……って、まずは受付だ!


「お疲れさまです。御用は何でしょうか」


 受付嬢がそう言って出迎えてくれる。良かった。やっぱりここが受付なんだな。


「彼女と二人で冒険者になりに来たんだけど」

「畏まりました。冒険者登録ですね」


 受付嬢はにこやかにそう言うと、紙と水晶のようなもので出来た球体を取り出した。


「こちらに手をかざした後、サインをお願いします」


 俺は言われた通り、水晶に手をかざした。


(この水晶は何だろう。魔道具かな?)


 そんなことを考えながらサインをしていると……


「ディラン、凄い! 字が書けるんだ!」


 あ、しまった! 


(こう言うところで言うサインって拇印のことだった!)


 庶民は字を書けない人の方が多い。冒険者になるような行く宛のない人間ならなおさら。だから、インクを親指につけて押すことでその代わりにする事がほとんどなのだ。


「しかも綺麗! ね、私の名前も書いてよ!」

「あ、ああ……」


 受付嬢は相変わらずにこにこしているが、周りからは何やら視線を感じるな……揉め事を起こさないためにももうミスは許されないぞ!


「はい、確認しました。ディランさんにエレナさんですね。では登録料として銀貨二枚を頂きます」


「分かりました」


 銀貨二枚か。安いな。まあ、登録料が高ければ誰も冒険者になんてなれないよな。


(アンドリューのポーチの中にお金があってよかった……) 

 

 貴族や王族は基本お金を触らない。支払いは下々の者がすることだからだ。だが、俺はアンドリューと街に出る度にお金を使う練習をしているからこれくらいは朝飯前だ。


(銀貨は銀色で丸いやつだったな……)


 俺はポーチから財布を出すと、銀色の硬貨を二枚カウンターに置いた。すると……


「これは……まさか白金貨!?」


 え……?


「も、申し訳ありません。お釣りの用意が今すぐには……少しお時間を頂かないと……」


 あ、しまった! 間違えたぁぁぁ!


(白金貨は金貨の十倍の価値があるお金だ!)


 銀貨十枚で金貨一枚、さらに金貨十枚で白金貨一枚の価値がある。つまり、俺は言われたお金の百倍の額を出してしまったことになる!


「す、すみません! 間違えました! えっと……」


 慌てて白金貨をしまい、銀貨を探す。どっちも似た色だから見分けがつきにくいんだよな。えっと、確か銀貨と白金貨は模様が違ったよな。


(……どっちが龍だったっけ?)


 ややパニクりながら財布と格闘している俺に受付嬢は”焦らなくて大丈夫ですよ“と声をかけてくれるが、心なしかその笑顔が引きつって見えるのは気のせいだろうか……


「おい、兄ちゃん! さっきから聞いていれば随分世間知らずみたいだな!」


 背後から野太い声がかかる。振り向くと、そこには大きな剣を背負った大男がいた。


(強そうだな……)


 雰囲気は剣呑だが、かなりの場数をふんだ強者と見た。こんな場所で絡まれたくはない相手だ。


「どこぞの商家のボンボンか? 冒険者は遊びでやれるような仕事じゃねーぞ! あぁ?」


 男はこめかみに青筋を立てて凄んでくる……何やら怒らせてしまったらしいな。一体どうしたら宥められるのだろうか。


(つまり、俺が勉強不足だから怒ってるんだよな……)


 確かにサインについて間違えたり、銀貨と白金貨を間違えたりとミスばかり。戦力中のミスで命を失うこともあるのに、最初からこれじゃそりゃ怒られるよな。


「親切に教えてくれてありがとう」

「はぁ? おちょくってんのか、お前は!?」


 わっ……良くわからないけどさらに怒らせてしまったぞ!?


筆者の独り言:

 この世界の貨幣の価値は日本円に換算すると大体以下の通りです。ただし、流通はこちらと比べて圧倒的に劣るので、場所や物によって物価はかなり異なります。


白金貨  約百万円

金貨   約十万円

大銀貨  約五万円

銀貨   約一万円

大銅貨  約五千円

銅貨   約千円

小銅貨  約五百円

 

 ちなみに大銀貨、大銅貨、小銅貨は利便性のために特定の地域で鋳造及び使用されているものです。地域によっては名称等が違ったり、別の貨幣があったりもします。じゃあ、基本となる白金貨、金貨、銀貨、銅貨はどこで誰が作っているのか……それはまだ秘密ということで。


 後、銀貨二枚を安いと感じるディランの感覚は庶民からすれば大分おかしいです。流石元王子様!


アンドリューからのお願い:

 私めのことを思い出して下さるなんて、エドワード様は本当にお優しい……このアンドリュー、一生の誉れでございます(涙)

 おっと、失礼。年を取ると涙腺がもろくて困りますな。ちなみに設定がやたらと後書きにあるのは本編に入らないからだとか。理屈は分からなくはありませんが、後書きありきでは行けません。筆者には猛省して頂きたいッ!

 さて、恒例のあの時間です。みなまで申しません。もう聞き飽きておられるでしょうから。まだの方、出来ればよろしくお願いしますぞ!

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